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1章 魔法大学入学 ジャガーノート4

そろそろジャガーノート

緊急依頼

ダンジョンからの帰還後、ミルディアスはガルド、リリア、エリックと共に、ギルド併設の酒場で談笑していた。冷えたエールが喉を潤し、疲労した体に染み渡る。ダンジョンでの緊張感から解放され、彼らの顔には安堵と達成感が浮かんでいた。


「いやー、しかしミルズのおかげで、今回は本当に楽だったぜ!あんなにスムーズにグローリー・カメレオンが手に入るなんてな!」ガルドが豪快に笑いながら、ジョッキを傾けた。

リリアも深く頷いた。「本当に。ミルズさんの索敵と、あの魔力腕…まるで別のパーティーと組んでるみたいでした。普段ならもっと消耗してるはずなのに」

エリックはグラスを手に、思案顔で言った。「特にあの魔力の卵は画期的でしたね。ダンジョン内での睡眠の質がここまで向上するとは…今後の冒険者の常識を変えるかもしれません」


ミルディアスは彼らの言葉に淡々と応じた。「貴方方の連携も優れていました。私の魔術も、実戦で試す良い機会となりました」彼はエールを一口飲み、静かに周囲を見渡した。酒場は、ダンジョンから帰還した冒険者たちの喧騒で満ちている。


その時、ギルドの入り口が開き、一人の男が慌ただしく入ってきた。ギルド職員のロバートだ。彼は普段の穏やかな表情とは打って変わり、額に汗を浮かべ、深刻な面持ちでギルドのカウンターへと急いだ。


「ロバートさん、どうしたんですか、そんなに慌てて?」カウンターにいたベテラン職員が声をかける。

ロバートは息を切らしながら答えた。「ダンジョンに…異変が起きています!それに、冒険者パーティー**『黒猫の夜会』**が、昨日から消息を絶ったままだと…!」


酒場にいた冒険者たちの喧騒が、一瞬にして静まり返る。「黒猫の夜会」は、中堅どころでは名の知れたパーティーだ。彼らが消息を絶ったという報せは、酒場に重苦しい空気を漂わせた。


ギルド職員が眉をひそめた。「異変とは、具体的にどのような?」

「詳細はこちらも掴めていませんが、ダンジョン深層部から、これまで確認されていない大規模な魔力の変動が観測されていると…それに、浅層でも魔物の出現パターンが異常になっていると報告が上がっています」ロバートの声には、焦りが滲んでいた。


その会話を、ガルドたちは耳にしていた。ガルドは顔をしかめ、ジョッキをテーブルに置いた。「ダンジョンの異変だと?それに黒猫の夜会が…」

リリアも不安げな表情を浮かべた。「あのパーティーが消息不明なんて…ただ事じゃないわ」

エリックは眼鏡を押し上げ、真剣な眼差しでカウンターの方を見ていた。「大規模な魔力変動…何か、ダンジョンそのものに影響を及ぼすような事態が起きているのかもしれません」


ギルド職員はロバートと短い会話を交わした後、真っ直ぐにガルドたちの席へとやってきた。その顔には、緊急の依頼を伝えに来たことがありありと見て取れた。


「ガルドさん、リリアさん、エリックさん、そしてミルズさん。ちょうど皆さん揃っていらっしゃるとは、都合が良い。緊急の依頼があります」職員は、普段の事務的な口調とは異なり、どこか焦りを滲ませていた。


ガルドは腕を組み、真剣な表情で応じた。「何だ?ダンジョンの異変のことか?」

「はい、その通りです。実は、二つの緊急依頼を、貴方方に持ちかけたい」職員は周囲に聞こえないよう、少し声を潜めた。「一つは、ダンジョンの異変について。詳細な調査と、可能であれば原因の特定、そして対処をお願いしたい。特に深層部での魔力変動が懸念されています」


リリアが眉をひそめた。「深層部ですか…それは、かなり危険な依頼ですね」

エリックが冷静に質問した。「具体的な指示は?どのような調査を望まれるのですか?」

「まずは、変動の中心と思われる深層部への到達。そして、魔力の変動がどのような性質のものか、可能であればその発生源を特定していただきたい。対処については、状況に応じて判断していただくことになります」職員は説明した。


そして、職員はもう一つの依頼を切り出した。「そして、もう一つ…実は、第三王女殿下が、数日前からダンジョンに入られたまま、連絡が途絶えております」

ミルディアスの表情が、わずかに動いた。やはり、あの香りは王女のものだったのか。

ガルドは驚きを隠せない様子で言った。「王女殿下がダンジョンに!?しかも連絡が途絶えているだと!?」

「はい。殿下は護衛を伴っておられましたが、どうやら今回のダンジョンの異変に巻き込まれた可能性が高い。ギルドとしても、最優先で殿下の捜索と救出を行いたい」職員の言葉には、切迫感が漂っていた。「殿下の捜索は、異変の調査と並行して行っていただきたい」


リリアが焦ったように言った。「王女殿下を捜索しながら、ダンジョンの異変の調査も…それはあまりにも荷が重すぎます!」

エリックも同意した。「我々だけでは、困難を極めるでしょう。特に、深層部での活動となると…」


職員は、ミルディアスに視線を向けた。「そこで、ミルズさん。貴方の力をお借りしたい。貴方の魔力感知能力と、あの圧倒的な戦闘力があれば、この依頼は遂行可能だと判断しました。もちろん、報酬は破格の条件を提示させていただきます」


ガルドはミルディアスを見た。ミルディアスは静かに考え込んでいた。夏季休暇中に深層を目指すという自身の計画と、目の前の緊急事態。そして、王女の安否。


ミルディアスはゆっくりと顔を上げた。「承知しました。依頼、引き受けましょう」

彼の言葉に、ガルドたちは安堵の息を漏らした。

「本当に助かるぜ、ミルズ!お前がいてくれりゃ、どんな依頼だってこなせる気がするぜ!」ガルドが力強く言った。

リリアも笑顔を見せた。「ありがとうございます、ミルズさん。心強いです!」

エリックは深く頭を下げた。「感謝いたします。貴方がいなければ、この依頼は引き受けられなかったでしょう」


職員も安堵の表情を浮かべ、深々と頭を下げた。「ありがとうございます、ミルズさん。そして、ガルドさん、リリアさん、エリックさん。この依頼は、ギルドの、そして王国の未来に関わる重要な任務です。どうか、よろしくお願いします」


こうして、ミルディアスは、ガルドのパーティーと共に、ダンジョンの異変と第三王女の捜索という、新たな、そしてより危険な任務へと身を投じることになった。彼の夏季休暇は、思わぬ方向へと進み始めたのだった。

やっと始まりました。というか始めました。

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