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1章 魔法大学入学 バトルロワイヤル10

一気に行きます。

第三日目:フレッドとミルディアス、盟友の激突、廃坑に轟く決戦

試験の第三日目、廃坑の闇は重く、湿った空気が張り詰めていた。微かに滴る水滴の音が響く中、かつての友が持つ最強の力への、決死の挑戦が今、始まろうとしていた。


フレッド、決意の狼煙と魔力網の破砕

廃坑の深部、レオンたちとの激戦で疲弊したチームフレッド(フレッド、レイモンド、アリス、コレット、ズィガ)は、束の間の休息を取っていた。しかし、彼らの心には、廃坑全体を覆う重苦しいプレッシャー、ミルディアスの魔力網の存在が、確かなものとして感じ取られていた。フレッドは、この魔力網がミルディアスの仕業だと確信していた。


フレッドとミルディアスは、学園に入学して以来、互いの才能を認め合い、時には厳しく、時には支え合う良き友人だった。野外活動や模擬戦を通し、フレッドはミルディアスの圧倒的な魔力と、それを効率的に運用する知性を誰よりも近くで見てきた。そして、チームフレッドの面々もまた、ミルディアスの実力を深くリスペクトしていた。だからこそ、この試験で相対することになった今、彼らは中途半端な戦いを許さなかった。友情や尊敬があるからこそ、その全ての力をぶつけ、全力で当たることを選んだのだ。


静寂の中、異変は突然訪れた。チームの最前衛で警戒していたズィガの召喚獣であるボルカが、突如として見えない糸に絡め取られたのだ。ボルカは、全身を透明な、しかし強靭な魔力の糸に締め付けられ、苦悶の唸り声を上げた。その糸はみるみるうちに増殖し、ボルカを完全に捕縛しようとする。


「なっ…!ちっ、脱出は難しいか!召喚解除!」

ズィガは瞬時に判断した。ボルカがこれ以上拘束されれば、魔力網の分析と脱出に時間がかかりすぎる。彼は魔力を集中させ、ボルカの姿を光の粒子に変えて消滅させた。そして、その場にほとんど間髪入れずに、再びボルカを再召喚した。新しいボルカは、魔力網が構築される前の空間に姿を現し、見事に脱出を果たした。ミルディアスの魔力網が、生物の捕獲に特化しているとはいえ、召喚獣の即座な再召喚というイレギュラーな行動には、流石に対応しきれなかったのだ。


この一件で、ミルディアスの魔力網の存在と、その支配が確実なものとなり、チームフレッドの行動は早かった。

「皆、作戦を開始する!ミルディアスに勝つぞ!」フレッドの号令が、闇の中に響き渡る。


フレッドたちは即座に魔力網対策へと移った。

「レイモンド、アリス、頼む!」フレッドは指示を出した。

「任せて!」レイモンドが右手を前に突き出すと、周囲の空気が振動し、目に見えない幾筋もの風の刃が放射状に広がった。ウィンドカッターだ。鋭い風の刃は、坑道の壁、天井、そして床を問わず、無差別に切り裂いていく。


「見えない網でも、切ってしまえば同じよ!」アリスも弓を構え、魔力を矢に込める。彼女の放つ光の矢は、ウィンドカッターによって目視できないはずの魔力網の微細な振動を捉え、その弱い箇所を狙って撃ち抜いた。坑道には風切り音と、光の矢が魔力の糸を寸断するかすかな音が響き渡る。微細な魔力の糸が切断される感触が、レイモンドとアリスの手元に伝わり、空間の圧迫感がわずかに緩む。彼らは目に見えなくとも、そこに魔力網があるならば、物理的に切り刻んでしまえば無力化できるはずだと考えたのだ。


作戦遂行:ミルディアスを追い詰める波状攻撃

ウィンドカッターによる自身の魔力網の損傷に気が付いたミルディアスが、トロッコでこちらへ向かってくるだろう。フレッドはそれを計算し、メンバーを招集し、入念に作戦を立てていた。ミルディアスが辿るであろう経路の先に、彼らは完璧な罠を仕掛けた。


フレッドたちの作戦はこうだ。

「人数はこちらが多い。向こうに攻撃の隙を与えないよう、手数が間に合わないほどの波状攻撃を畳みかける。防御に専念させたところで、地形を利用した罠で動きを封じる!」


廃坑の狭い通路は、彼らにとって絶好の舞台だった。

坑道のカーブを曲がったミルディアスのトロッコが、高速で迫ってくる。フレッドの号令と共に、作戦は実行された。


【第一の罠:落とし穴】

ミルディアスのトロッコが所定の位置に差し掛かった瞬間、フレッドは地面に魔力を叩きつけた。「砕けろ!」彼の土魔法が瞬時に発動し、トロッコの真下、坑道の床が脆い土塊へと変化し、そのまま大きく陥没した。直径数メートルもの落とし穴が突如として口を開く。


「何…!?」

ミルディアスは一瞬、眉をひそめた。トロッコが前のめりになり、彼は操縦桿を強く握りしめるが、回避は間に合わない。トロッコはそのまま穴へと滑り落ちていく。ミルディアスの顔に、この試験で初めてとも言える焦りの色が浮かんだ。彼が築き上げた完璧な支配網の中に、まさかこれほど直接的な物理攻撃が仕掛けられているとは予想していなかったのだろう。


しかし、その焦りは一瞬だった。落とし穴の底へ落下していく中で、ミルディアスは即座に反応した。彼の体から無数の漆黒の魔力の糸が放たれ、落下中の坑道の天井や壁へと瞬時に食い込む。糸はまるで強靭な鉤爪のように岩肌を掴み、落下中の体を無理やり固定しようとする。ギギギ…という摩擦音を立てながら、彼は落下速度を殺し、そして天井に固定した糸を己の腕力で手繰り寄せ始めた。まるで蜘蛛が巣を伝うように、彼はゆっくりと、しかし確実に落とし穴から脱出しようとする。彼の肉体はすでに極限まで強化されており、その腕力は常人の比ではなかった。


【第二の罠:泥沼と凝固】

落とし穴から抜け出したミルディアスを待ち受けていたのは、足元に広がる粘性の高い泥沼だった。それは、コレットが地下水脈から引き出した水を、フレッドが土魔法で泥へと変化させたものだ。坑道の幅いっぱいに広がる泥沼は、ミルディアスの足を確実に捕らえようとする。


ミルディアスは泥沼に足を踏み入れた瞬間、その足が深く沈み込むのを感じた。

「…ッ」

彼はその場に沈み込まず、即座に両足の底から、そして周囲の泥沼の底から、半透明の魔力網を放射状に展開させた。網は泥沼の中で瞬時に広がり、まるで水中で張り巡らされた巨大な蜘蛛の巣のようになる。ミルディアスは、その魔力網を自らの足場として利用し、泥沼に完全に沈み込むのを防いだ。彼は網の上でバランスを取りながら、ゆっくりと、しかし着実に泥沼の中を進む。泥沼は粘性が高く、彼の動きを著しく阻害するが、魔力網が確かな足場となっているため、完全に拘束されることはない。


しかし、フレッドはそれも計算済みだった。

「コレット!凝固だ!」フレッドが叫ぶ。

コレットは即座にフレッドの指示に応じ、自身の魔力を泥沼へと流し込んだ。彼女の魔力は、泥の分子構造に干渉し、液体だった泥を瞬時に凝固させ始める。ミルディアスの足元で、泥沼がまるでセメントのように硬くなり、彼の下半身を固めようとする。彼は身体強化で凝固に抗い、足元の魔力網をさらに強化して破砕しようとするが、泥の凝固速度は速く、彼の動きは急速に鈍っていく。


【第三の罠:水攻め】

ミルディアスが泥の拘束に苦しむ間に、最後の罠が発動した。

「レイモンド!水攻めだ!」フレッドの指示に、レイモンドが応じる。

レイモンドは両手を広げ、坑道の奥に溜まっていた地下水を魔法で一気に引き寄せた。轟音と共に、大量の水が濁流となって押し寄せ、泥沼で身動きの取れないミルディアスへと襲いかかる。水は瞬く間に彼の全身を覆い、坑道の低い部分を満たしていく。


ミルディアスは、泥沼と水の二重の拘束に晒された。呼吸ができない。

しかし、ミルディアスはここでも驚くべき対応力を見せた。彼が完全に水没する寸前、彼の口元から半透明の魔力の卵が形成された。それは、ミルディアスの魔力を凝縮して作られた、ごく小さな空気のドームだった。彼はその中に顔を埋め、空気を確保し、水攻めに耐えようとする。魔力の卵は、水の重圧にも潰れることなく、ミルディアスの生命線を保ち続けた。全身を泥と水に浸されながらも、彼は依然として倒れる気配を見せない。


波状攻撃、そしてミルディアスの反撃

「攻撃を緩めるな!こちらが息切れしたら負けだ!」フレッドの叱咤が飛ぶ。

チームフレッドは、ミルディアスの常識外れの対処能力に驚愕しつつも、容赦なく魔法をぶつけ続けた。


フレッドは、次々と土壁を生成してミルディアスの視界を遮り、彼の魔力感知を妨害する。


レイモンドは、水の流れを操り、泥沼と水を常に撹拌し、ミルディアスを休ませない。同時に、風の刃で攻撃を続ける。


アリスは、光の矢を精密に放ち、ミルディアスのわずかな隙間や魔力障壁の薄い部分を狙う。


ズィガのボルカは、泥沼の中を巧みに動き回り、ミルディアスを物理的に攪乱する。


コレットは、仲間の魔力消費を補うように回復魔法を絶え間なくかけ続け、彼らの波状攻撃を維持する。


まるで無限にも思える波状攻撃が、ミルディアスに降り注いだ。一つ一つの攻撃は決定打とならないが、その数がミルディアスの魔力障壁を削り、身体強化を維持する魔力を奪っていく。ミルディアスは、泥の中で身体強化と魔力障壁を維持し、水の抵抗を受けながら、迫りくる魔法を捌き続けた。彼の顔には、わずかな疲労の色が浮かび始めていたが、その瞳の光はまだ衰えていなかった。


フレッドたちは、自分たちの魔力が底を突きかけるまで、まさに全力で攻め続けた。しかし、ミルディアスは彼らの攻撃をすべて耐えきった。そして、フレッドたちの波状攻撃がわずかに緩んだ、その一瞬のタイミングを、ミルディアスは逃さなかった。長時間の防御と魔力障壁の維持は、彼にとっても消耗だったが、その消耗はフレッドたちをはるかに下回っていたのだ。


一瞬の静寂が訪れたその時、ミルディアスの魔道具の杖が閃光を放った。彼は、これまでの防御に徹していた反動かのように、一点集中型の強力な魔力弾を放った。彼の魔力は、泥と水で満たされた空間を切り裂くように、一直線に伸びる。


狙われたのは、魔力感知と攻撃に集中していたレイモンド。彼は、反撃が来ることを予測し、風の障壁を張ろうとした。しかし、疲弊した体では、ミルディアスの速度に対応しきれない。レイモンドの胸に、魔力弾が炸裂した。


続く魔力弾は、アリスへと向かった。アリスは身を翻し、光の盾を展開しようとするが、前のめりになった体勢では防御が間に合わない。光の盾が形成されるよりも早く、魔力弾がアリスの肩に命中し、彼女は大きく吹き飛ばされた。


コレットは回復魔法を展開していたが、仲間の被弾を見て、咄嗟に防御に回ろうとした。しかし、その動きはミルディアスに見抜かれていた。魔力弾はコレットの回復魔法の光を貫き、彼女の腹部に着弾する。


そして、ズィガとボルカへと最後の魔力弾が向けられた。ボルカがズィガを庇うように前に出るが、複数の魔力弾がボルカを貫通し、そのままズィガの脚に着弾した。


爆発音と閃光が坑道を揺らし、生存者たちの体が次々と吹き飛ばされる。


「レイモンド、リタイヤ!」

「アリス・ブランシェ、リタイヤ!」

「コレット、リタイヤ!」

「ズィガ、リタイヤ!」


上級生の審判の声が、次々と闇の中に響き渡った。


残されたのは、フレッドただ一人。仲間たちの脱落を目の当たりにし、そして自身の魔力も限界を迎えていた。体中の魔力が底を突き、もはや魔法を発動する力は残っていなかった。フレッドは、泥と水にまみれたミルディアスが、まるで何事もなかったかのように立ち上がり、静かにこちらを見据えているのを見た。その圧倒的な力を前に、フレッドは静かに、しかし明確に敗北を悟った。


「…降参する」


フレッドは、友の前に、力尽きたことを認めるように告げた。

やっと終盤ですね。

退場者

ヴィクトリア

シモン

カイル

ブラッド

ヴァルガス

ゼクロス

ディアナ

レオン

フレッド

レイモンド

エリオット

アリス・ブランシェ

コレット

ズィガ


、、、退場者じゃなくて生存者書いた方がよかったかな

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