1章 魔法大学入学 バトルロワイヤル5
ブラッドとリアム線なのかな続きです。
廃坑入口の激突:五つ巴の乱戦
廃坑の薄暗い入口通路で、不穏な空気が張り詰める。ブラッド・ヴァンス、ヴァルガス・クロウ、ゼクロスの悪しき企みを共有する三人組と、激戦を終えたばかりで疲労の色濃いカイルとリアム・フレイの二人が対峙する。互いの魔力がぶつかり合い、火花が散る寸前の緊張感が支配していた。
「上等だ!まとめて相手してやるぜ!」
疲弊しているにも関わらず、リアムは闘志を漲らせ、不敵な笑みを浮かべた。彼の両手には、再び炎の魔力が凝縮され始める。対するブラッドは、ニヤリと口角を上げ、闇の魔力を指先に集中させた。
「やれるもんならやってみろ!この廃坑がお前らの墓場になるんだよ!」
ブラッドの言葉を合図に、戦闘が始まった。
まず動いたのは、リアムだった。彼は疲労を悟らせないかのように、二つの巨大な火球を生成し、ブラッドとヴァルガス目掛けて放つ。ブラッドは咄嗟に闇の壁を展開して火球を受け止め、ヴァルガスは冷酷な目で火球の軌道を見切り、紙一重でかわした。
その隙を突いて、カイルが動く。彼は防御を得意とするが、隙を逃さない観察眼を持っていた。ヴァルガスが火球を避けた瞬間のわずかな体勢の崩れを見逃さず、地面から鋭い岩槍を突き上げる。
「チッ!」
ヴァルガスは間一髪で岩槍を回避するが、その動きはゼクロスによって補完される。ゼクロスは影から現れたかのようにヴァルガスの背後に回り込み、彼が体勢を立て直すのを助けながら、ブラッドに合図を送る。ゼクロスの魔法は直接攻撃よりも、相手の感覚を惑わせ、影から奇襲を仕掛けることを得意としていた。
「無駄だ!」
ブラッドはそう叫ぶと、両手を広げ、周囲の空間に無数の闇の棘を生成した。棘は高速で飛び回り、カイルとリアムを同時に襲う。リアムは炎の盾で棘を焼き払い、カイルは強固な土の防御壁でそれを防いだ。しかし、闇の棘は攻撃だけでなく、相手の視線を誘導し、狙いを定めることを困難にする。
(連携してきやがったか…厄介だな!)
リアムは内心で毒づいた。単独での力押しは通じないと悟り、彼の頭の中では、次の攻撃の組み立てが始まっていた。彼は地面に掌を叩きつけ、坑道の床から水を噴き上げさせる。水は狭い通路を瞬く間に満たし、足元を滑りやすくした。
「舐めるな!こんな水で足元をすくわれるか!」
ヴァルガスは憤慨し、地面に氷の膜を張って滑りを抑えようとするが、水は彼の足元を絡め取り、動きを鈍らせる。ゼクロスは闇に紛れて移動し、水に影響されないよう壁を伝ってカイルに接近する。
「貴様は俺が相手だ!」
ブラッドはリアム目掛けて、より強力なダークブレイズを放った。漆黒の炎が唸りを上げてリアムに迫る。リアムは疲弊しているにも関わらず、その炎を迎え撃つべく、両手を前に突き出した。
「馬鹿め!そんな攻撃、この俺には効かねえ!」
リアムの掌から、爆発的な火炎が噴き出す。ダークブレイズとリアムの炎が衝突し、廃坑の入口が閃光に包まれる。互いの魔力が拮抗し、押し合いへし合い、激しい爆音が通路全体に響き渡った。
その隙に、ゼクロスがカイルの背後を取った。カイルはゼクロスの気配を感知し、素早く振り返って防御魔法を構築しようとするが、ゼクロスの闇魔法は彼の動きをわずかに鈍らせた。
「終わりだ!」
ゼクロスはカイルの死角から、闇の鎌のような魔力を振り下ろす。カイルは寸前で身を捻り、致命傷は避けたものの、ローブを切り裂かれ、脇腹から血が滲んだ。
「くそっ…!」
カイルは痛みに顔をしかめながらも、冷静さを失わない。彼はゼクロスが影に潜むことを得意としていることを理解し、その動きを封じる策を講じた。カイルは両手を地面に叩きつけ、廃坑の岩盤全体を震わせる。その振動は坑道の壁を伝わり、闇に紛れて移動するゼクロスの動きを乱した。
「何だ!?」
ゼクロスは予期せぬ振動にバランスを崩し、その姿が闇からわずかに浮かび上がった。その瞬間を見逃さず、カイルは地面から土の鎖を伸ばし、ゼクロスを拘束しようとする。ゼクロスは素早く身を翻し、鎖をかわすが、その動きは以前ほど自由ではなくなった。
「ヴァルガス!援護しろ!」
ブラッドが叫ぶ。リアムとの炎の衝突で、彼の魔力もまた大きく消耗していた。ヴァルガスは冷静に状況を判断し、ゼクロスを援護するため、氷の魔法でカイルの足元を凍らせようとする。しかし、リアムはそんなヴァルガスの動きを見逃さなかった。
「てめぇの相手は俺だ!」
リアムは、ブラッドの闇の炎との押し合いを続けながらも、ヴァルガス目掛けて強力な水弾を放つ。水弾は凍結を試みるヴァルガスの足元を打ち砕き、氷の魔法を阻害する。
五人による戦闘は、まるで泥沼のようだった。ブラッドの闇、ヴァルガスの氷、ゼクロスの影、そしてリアムの火と水、カイルの土。それぞれの魔法が複雑に絡み合い、狭い廃坑の入口を戦場と化していた。
しかし、次第に状況はブラッドたち三人組に有利に傾き始める。リアムとカイルは、ヴィクトリアとの戦いからの連戦で、既に魔力も体力も限界に近づいていた。特にリアムは、その消耗が顕著だった。彼の火と水は以前ほどの勢いを失い、攻撃の精度も落ちてきている。カイルもまた、ゼクロスの奇襲とヴァルガスの牽制で、思うように防御を展開できずにいた。
「もう限界か?リアム!」ブラッドが嘲笑う。「所詮、力任せの脳筋野郎はこれだから困るぜ!」
ブラッドは、リアムの隙を見て、強烈な闇の波動を放つ。疲弊しきったリアムは、それを完全に防ぎきることができず、波動が彼の脇腹を掠めた。激痛が走り、リアムの体が大きくよろめく。
「くそっ…!」
カイルもまた、ゼクロスとヴァルガスの連携攻撃に追い詰められていた。ゼクロスが闇に潜りながら背後を狙い、ヴァルガスが冷気を放って動きを封じる。カイルは土壁を築くが、その壁も以前より薄く、脆くなっていた。
「これで終わりだ、カイル!」
ヴァルガスが冷たく言い放ち、カイルの防御壁目掛けて鋭い氷の槍を放つ。槍は防御壁を貫通し、カイルの肩を深々と貫いた。
「ぐあああ!」
カイルは膝をつき、激しい痛みに呻いた。これで彼の戦闘は不可能だ。
「よし!一人脱落!」ブラッドが歓声を上げた。
リアムは、カイルが倒れたのを見て、激しく動揺した。疲労困憊の体で、無意識に助けようと駆け寄ろうとするが、ブラッド、ヴァルガス、ゼクロスの三人が彼を取り囲む。
「無駄だぜ、リアム。お前も終わりだ」ゼクロスが冷たい目で言う。
しかし、リアムはまだ諦めていなかった。彼は残された全ての魔力を左手に集める。その掌には、通常の火球の何倍もの大きさを持つ、灼熱の炎が凝縮されていく。
「ふざけるな!俺は…俺はまだ終わってねえ!」
リアムは叫び、その巨大な火球を、三人の誰かを狙うのではなく、廃坑の天井に向けて放った。火球は轟音と共に天井に激突し、岩盤を砕き、大量の土砂と瓦礫を降らせた。
「馬鹿な!自滅する気か!」
ブラッドが驚愕の声を上げた。通路全体が土砂と瓦礫で埋め尽くされ、視界は完全に塞がれる。これは、攻撃というよりは、一時的な撤退のための目くらましだった。
混乱に乗じて、リアムは残された力を振り絞り、瓦礫の山を飛び越え、さらに廃坑の奥へと姿を消した。ブラッドたちは、降り注ぐ瓦礫と砂埃の中で、その姿を見失う。
「ちっ、逃がしたか!」ヴァルガスが舌打ちする。「あの瓦礫じゃ、追うのは危険だ」
ブラッドは、悔しそうに拳を握りしめた。しかし、リアムは確かに消耗しきっている。この廃坑のどこかで息を潜めているはずだ。
「まあいい。どうせ動けねえだろう。それより、あいつを回収してもらうぞ」ブラッドは倒れているカイルを指差した。
上級生の審判が姿を現し、戦闘不能となったカイルを安全な場所へと転移させた。
こうして、廃坑入口での激しい五つ巴の戦いは、ブラッドたちの勝利と、リアムとカイルの撤退という形で幕を閉じた。
カイルはリタイヤになったようです。
リアムは、、、不明ですね。
退場者
ヴィクトリア
カイル




