1章 魔法大学入学 バトルロワイヤル4
再びリアム君です。
リアム対カイル:疲弊と追撃
ヴィクトリアとの激戦を終えたばかりのリアムに、カイルは冷静沈着な魔法を放ち続ける。リアムは強大な魔力で応戦するものの、度重なる魔法の行使で、その体に疲労の色が濃く現れ始めていた。彼の放つ火球は威力を増せず、水流も勢いを失いつつある。
「ちっ、しつこい奴め!」
リアムは苛立ちを募らせた。カイルの防御は堅く、このまま消耗し続けても勝ち目がないと直感する。すでに魔力の残量も心細い。この試験は3日間続くのだ。ここで無理をするのは得策ではない。
「くそっ…!」
彼は悪態をつき、背を向けた。残った魔力を振り絞り、自身の周囲に煙幕のように火花を散らして視界を奪う。その隙に、リアムは一目散に廃屋を飛び出した。彼の狙いは、より広大で隠れる場所が多い廃坑だ。
リアムが去ったのを確認し、カイルは深く息を吐いた。彼の魔力もまた、かなりの量を消耗していたが、リアムを撤退させられたことに安堵する。
(よし、これで一息つける…)
ふと、カイルは自分が今、期末試験の真っ只中にいることを思い出した。相手を戦闘不能にするのが目的のバトルロワイヤル。リアムを逃がしてしまっては意味がない。
「待て!逃がすか!」
カイルは慌ててリアムの消えた方向へと走り出した。彼もまた、慎重に、しかし確実に廃坑の入口へと向かった。
廃坑入口の共闘工作
その頃、廃坑の入口付近では、不穏な空気が漂っていた。
ヴァルガス・クロウとゼクロスは、普段からつるんでいることが多く、この試験でも自然と合流していた。二人は廃坑の入口近くの薄暗い通路で、今後のプランについて密談を交わしていた。
「この広さだ。まずは隠れて、他の連中が消耗するのを待つべきだろう」ヴァルガスが冷酷な目で言う。「そして、頃合いを見て漁夫の利を狙う」
「賛成だ、ヴァルガス」ゼクロスが影のような表情で頷く。「特に、ミルディアスをどう排除するか。あいつの動きは読めないからな」
彼らは、他の生徒の魔力反応を警戒しつつも、自分たちの狡猾な作戦に集中していたため、背後から忍び寄るブラッド・ヴァンスの接近に全く気が付かなかった。ブラッドは、かつてアリスに苦渋をなめさせられた雪辱の機会を虎視眈々と狙っており、このバトルロワイヤルで名を上げようと血気にはやっていた。
「見つけたぜ、お前ら」
唐突に響いた声に、ヴァルガスとゼクロスはハッと振り返った。その時には既に遅い。ブラッドは出会いがしらに、得意の闇の魔法であるダークペインを放っていた。それは鋭い痛みを伴うが、殺傷能力はない。
「ぐっ!」
「しまっ…!?」
二人は、予想外の攻撃に驚き、体を痙攣させる。しかし、その痛みは一瞬で収まり、彼らはすぐにそれが手加減されたものであることを悟った。ブラッドは、ニヤリと不敵な笑みを浮かべていた。
「どうだ? 悪くねえだろ?」ブラッドが言う。「こんなところで単独行動するより、俺と組むのはどうだ? お前ら、ミルディアスが気に食わないんだろ? 俺もだ。あいつを叩き潰すのに、お前らの力が必要だ」
ブラッドの言葉は、ヴァルガスとゼクロスの耳には魅力的に響いた。確かに、ブラッドの攻撃魔法は強力だ。そして何より、彼らが共通して嫌悪するミルディアスを標的にするという点において、利害は完全に一致していた。
「…面白い」ヴァルガスが口角を上げた。「乗ってやる、ブラッド。だが、足手まといになるようなら容赦しねえぞ」
「へっ、任せとけ」ブラッドは肩をすくめた。「これで、俺たちの『狩り』が始まるぜ…」
廃坑入口での新たな激突
ヴァルガスとゼクロスがブラッドの共闘を受け入れた矢先のことだった。
廃坑の薄暗い入口通路の奥から、複数の足音が勢いよく近づいてくるのが聞こえた。音の主は、先ほどまで廃屋で激戦を繰り広げていたカイルとリアムだ。二人は激しい消耗戦の後、互いに廃坑へと撤退してきたのだ。
リアムが通路に飛び出してきた瞬間、彼は廃坑入口で密談を交わしていたブラッド、ヴァルガス、ゼクロスの三人の姿を視界に捉えた。
「なんだ、集まってやがったのか」リアムは舌打ちした。
「リアム!そしてカイル!」ブラッドが気づき、警戒態勢に入る。「まさか、こんなところで鉢合わせるとはな…」
カイルもまた、不測の事態に眉をひそめた。廃屋での消耗戦で満身創痍の状態で、いきなり三人組との遭遇は最悪のシナリオだ。
「変なことになったな…」カイルは呟きながら、すぐさま防御魔法を展開する準備に入った。
リアムも同様だった。彼は先ほどのカイルとの戦いで魔力を消耗している。しかし、ここで引くという選択肢は彼の中にはない。
「上等だ!まとめて相手してやるぜ!」
リアムは火炎の魔力を両手に集め、その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。ブラッド、ヴァルガス、ゼクロスの三人組と、カイル、リアムの二人組。廃坑の入口という狭い場所で、互いの魔力が複雑に絡み合い、火花を散らす準備が整った。
これから、廃坑入口で新たな五人による激戦が始まる。
なんだかんだで戦闘おきているのに、あんま人減っていない、、、
なんでだろう。




