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1章 魔法大学入学 第二話 魔法大学入学

魔法大学入学です。

これからいろいろ学んで暴れる予定です!

無事卒業できるのか楽しみですw

翌朝、国立魔法大学の荘厳な正門前は、期待に胸を膨らませた新入生と家族でごった返していた。桜並木のトンネルを抜ける風が、新たな季節の訪れと、希望に満ちた学園生活の始まりを告げている。


「坊ちゃま、どうかお気をつけて。リーネ、坊ちゃまの付き添い、頼みますよ」


クラウスが指示を出す。彼はいつものように、ミルディアスの身の安全を案じていた。


「はい、クラウス様!坊ちゃま、行きましょう!私、案内係の場所も聞いてきましたから、ばっちりです!」


リーネは元気よく返事をして、ミルディアスの隣に並んだ。彼女の手には、大学の構内図がしっかりと握られている。その表情は、まるで初めてのお使いに出かける子供のように、喜びと張り切りに満ちていた。


「ありがとう、リーネ。心強いよ。何かあったら、君が一番に助けてくれるだろう?」


ミルディアスはにこやかに答えた。彼の言葉の端々には、使用人たちへの深い信頼と感謝が滲み出ていた。この数週間の旅路と、昨夜の温かい食事を経て、彼と使用人たちの絆は一層深まったように感じられた。


「坊ちゃま、どうぞご無事で。わたくしたちは、いつでも坊ちゃまのご活躍を心より応援しております」


フローラが深々と頭を下げた。その声は優しく、希望に満ちていた。彼女の眼差しは、母が子を見守るように穏やかだ。


「もし何かございましたら、屋敷にご連絡を。わたくしたちが駆けつけます」


エステルもまた、静かにミルディアスを見送った。その瞳には、彼への純粋な応援の気持ちが溢れている。彼女の言葉には、いざという時の覚悟が込められていた。


「おう、坊ちゃま!がんばってな!アルフも、お留守番がんばる!」


アルフが、小さな声ながらも、精一杯の励ましを送った。そのぶっきらぼうな口調とは裏腹に、彼の目はミルディアスの無事を強く願っていた。


ミルディアスは、彼ら一人ひとりに笑顔を向けると、リーネと共に、新入生たちの波に溶け込んでいった。クラウスとフローラ、エステル、そしてアルフは、彼の後ろ姿が見えなくなるまで、その場に立ち尽くしていた。彼らの顔には、一点の曇りもなく、ただただ坊ちゃまの新たな門出を祝う喜びが満ち溢れていた。


「……必ずや、坊ちゃまはその才能を開花させるでしょう。私たちには、それが分かります」


フローラが、確信に満ちた声で呟いた。彼女の言葉は、まるで揺るぎない予言のようだった。


「ええ、その日が来るのが楽しみでなりませんな。坊ちゃまは、あのお方の子息ですから」


クラウスは、遠ざかるミルディアスの背を見つめながら、静かに、しかし確信に満ちた声で答えた。


国立魔法大学の広大な敷地に入ると、学生たちの熱気が肌で感じられた。荘厳な石造りの校舎が立ち並び、中庭では新入生たちが希望に満ちた表情で語り合っている。ミルディアスたちは、案内板に従って魔法戦術科のオリエンテーション会場である大講堂を目指した。


入学式の喧騒の中、新入生たちは期待と不安の入り混じった顔で、それぞれの所属する学部に分かれていく。ミルディアスが向かうのは、もちろん実践的な魔法戦闘の訓練が行われる魔法戦術科だった。この大学の中でも特に活気のある学部であり、将来、国の防衛を担う魔法騎士や魔術師を多く輩出する。


大講堂に到着すると、既に多くの新入生が集まっていた。席に着くと、周囲からは魔法の腕自慢や、これから始まる学園生活への期待に満ちた会話が聞こえてくる。


「なあ、お前、魔力測定はどれくらいだった?俺は去年の首席よりちょっと下くらいだったぜ!」

「へえ、すごいじゃん!私は普通だったかな。でも、ここに来たからには、絶対『禁呪』をマスターしてやるんだ!」

「魔法戦術科は厳しいって聞くけど、その分、成長できるってことだよな!」


そんな会話を聞きながら、ミルディアスは自分の番を待っていた。彼の心臓が、少しだけ高鳴る。これまで、どんな魔術師も、彼の魔力について正確な数値を出せたことはなかった。ただ「規格外」「常識外れ」という言葉ばかりが繰り返される。この国立魔法大学の最高峰の測定器なら、何か分かるかもしれない。そして、もしかしたら、魔法を使えない原因へのヒントが見つかるかもしれない。


やがて、魔法戦術科の初日のオリエンテーションが始まった。まず、各自の魔力量を測定することからだ。大理石の床に複雑な魔法陣が刻まれた広大な測定室に、新入生たちは順番に呼ばれていく。魔力の多寡は、魔法使いとしての才能を測る重要な指標であり、学生たちは皆、緊張と期待が入り混じった面持ちで自分の番を待っていた。


「ブルークアル!ミルディアス・ブルークアル!」


教官の声が響く。ミルディアスの番だ。彼は深呼吸をし、クリスタルへと歩み寄った。リーネは、会場の隅でじっとミルディアスを見守っている。彼女の小さな拳は、ぎゅっと握りしめられていた。


測定用のクリスタルに掌をかざすよう指示され、彼は言われた通りにした。途端、室内の空気が一変した。測定用のクリスタルは不穏なまでに激しく輝き始め、室内の魔力計がけたたましい警報を鳴らす。それは、単なる計測器の音ではなく、魔力そのものが激しく共鳴し合うような、耳鳴りを誘発するほどの轟音だった。


「な、なんだこれは……!?」


測定を担当していた年配の教授が、目を剥いて叫んだ。魔力計の針は、それまでに測定されたどの学生の数値をも大きく振り切り、危険領域を示す赤色のゾーンを突き破って、遂には「測定不能」の表示と共に振り切れてしまったのだ。計器の目盛りは完全に限界を示し、これ以上の測定は不可能だと雄弁に物語っていた。


「計器の故障か?いや、そんなはずは……この測定器は、王立魔術院の最高技術で建造されたものだぞ……!」


教授は何度も計器を叩き、首を傾げる。だが、ミルディアスの掌がクリスタルから離れると、計器の針はゆっくりと落ち着きを取り戻し、クリスタルも輝きを失った。


「もう一度だ、ブルークアル君。今度はゆっくりと、魔力を流し込むイメージで」


教授の指示に従い、ミルディアスは再び掌をかざした。結果は同じだった。いや、前回よりもさらに激しい光がクリスタルから放たれ、室内の魔力計は再び悲鳴を上げる。あまりの魔力に、測定室の壁に張られた強固な結界術式が微かに軋む音すら聞こえた。まるで、彼の内なる魔力が、この部屋の限界すら超えようとしているかのように、脈動しているのだ。


「信じられん……信じられんぞ!こんな魔力量は、古文書にも記されていない!一体、君の体はどうなっているのだ、ブルークアル君!?」


教授の興奮した声が、室内に響き渡る。他の新入生たちもざわめきだし、好奇と驚愕の視線がミルディアスに集中した。


「おい、見たかよ今の!?クリスタルが割れそうになってたぞ!」

「マジかよ、あのブルークアル侯爵家の次男坊が……とんでもない才能の持ち主なのか?」

「歴代最高の魔力量って本当か?あいつ、将来はきっと、この国を代表する大魔術師になるぜ!」

「すっげー!あんな魔力、私も欲しいなあ!」


そんな感嘆の声が、彼の耳にも届く。中には、羨望や、少しばかりの嫉妬の混じった視線を向ける者もいたが、その誰もが彼の途方もない魔力に畏敬の念を抱いていた。リーネは、会場の隅で「坊ちゃま、すごい!」と小さな声で叫び、興奮して体を震わせていた。


周囲からの期待の眼差しと、自分に向けられる賛辞。ミルディアスは複雑な表情でそれらを受け止めた。確かに、魔力量は桁外れだ。そのことは、幼い頃から自覚していた。だが、その膨大な魔力を、彼は魔法として形にすることができない。その理由が、彼にはまったく分からなかった。この測定結果が、彼にとってどれほどの希望と同時に、どれほどの絶望をもたらすのか、彼は痛いほど知っていた。


(この膨大な魔力が、まともに使えるのなら……)


彼は、自由自在に魔法を使える日を夢見ていた。それがこの大学に入学した唯一の理由だった。


お疲れ様です。

どんどん行きまーす。

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