1章 魔法大学入学 バトルロワイヤル
魔法大学の期末試験です。
気が付いたら魔法戦闘科という科に設定していたようなので、
試験はたたかります。
「いやっほー!」俺は今廃坑をトロッコで高速移動していた。なんで廃坑になっているかといえば前期がそろそろ終わり夏休みに入るのだが、その前に期末試験というものがあって、クラス全員で模擬戦闘をしろということだった。つまりバトルロワイヤルだ。
廃墟の期末試験:リアム対ヴィクトリア
試験開始の合図が、魔法大学から丸一日馬車で揺られた廃墟の町全体に響き渡った。その声が消えぬうちに、各所に配置されたクラスメイトたちは、一斉に臨戦態勢に入った。中でも、町の廃屋に配置された三名のうち、リアム・フレイとヴィクトリア・ブレイズは、即座に互いを敵と認識し、火花を散らした。
リアムは、好戦的な笑みを浮かべ、右腕を軽く振るった。彼の掌から凝縮された火の塊が放たれる。対するヴィクトリアは、その高慢な顔をわずかに歪め、手首を翻した。たちまち彼女の周囲に目に見えない風の渦が発生し、リアムの火の塊を飲み込み、そのまま方向を変えて彼へと押し返そうとする。
「へっ、風か。お上品なこったな、ヴィクトリア」
リアムはニヤリと笑い、押し返されてくる炎を、さらに強大な魔力で迎え撃った。彼の魔力が炎に注ぎ込まれると、火の塊は瞬く間に肥大化し、ヴィクトリアの風の渦を吹き飛ばして、廃屋の壁に激突する。壁は轟音と共に崩れ、砂埃が舞い上がった。
「っ…!」
ヴィクトリアは咄嗟に身を翻し、崩れ落ちる瓦礫を間一髪で避ける。彼女の足元には、先ほどまで立っていた場所だったところに、火の塊が残した焦げ跡がくっきりと残っていた。
「まだまだだぜ!」
リアムは間髪入れずに、今度は左手を掲げた。掌から青白い光が放たれると、瞬く間にそれが凝縮され、水の槍となってヴィクトリア目掛けて一直線に突き進む。高速で迫る水の槍に対し、ヴィクトリアは冷静だった。彼女は詠唱することなく、己の魔力を指先に集中させると、見えない風の刃を生み出し、水の槍を寸断しようとする。しかし、リアムの放った水の槍は、ただの水ではなかった。魔力が凝縮され、まるで鋼鉄のような硬度を帯びていたのだ。風の刃は水の槍の表面を削るだけで、その勢いを止めることはできない。
「くっ…!」
水の槍はヴィクトリアの肩をかすめ、廃屋の奥の壁に深々と突き刺さった。彼女のローブが裂け、わずかに皮膚を傷つけられた箇所から血が滲む。
「やるじゃねえか。だが、俺はまだ本気じゃねえぞ」
リアムは、嘲笑うように言った。彼の顔には余裕が浮かんでいるが、その目は獲物を捉えた獣のようにギラついていた。彼は一歩足を踏み出すごとに、床に残された瓦礫が魔力で弾け飛ぶ。
ヴィクトリアは、痛みに顔をしかめながらも、冷静さを保っていた。彼女は瞬時に周囲を見渡し、この廃屋の地形を把握しようとする。朽ちた柱、崩れた天井、散乱する家具。これら全てが、彼女にとっての武器となりうる。
「舐めるな、リアム!あなたのような脳筋魔法使いに、私のアーツが通じないはずがない!」
ヴィクトリアは叫び、両腕を大きく広げた。彼女を中心に、廃屋全体に強烈な風が吹き荒れる。それは単なる突風ではない。風は瓦礫を巻き上げ、塵や埃を巻き込み、視界を遮る竜巻へと変貌する。同時に、周囲に散らばっていた木片や石ころが風の刃と化し、リアム目掛けて無数に飛来した。
「ちっ、鬱陶しいな!」
リアムは舌打ちし、飛来する瓦礫を火炎の壁で焼き尽くし、水の盾で弾き飛ばす。しかし、ヴィクトリアの狙いは攻撃だけではなかった。竜巻によって視界が奪われた隙に、彼女は素早く位置を変える。
「そこにいるな!」
リアムは勘でヴィクトリアの気配を捉え、地面に掌を叩きつけた。地面からいくつもの水柱が噴き出し、廃屋の低い天井まで届く勢いで立ち上る。水は天井に当たって四方に飛び散り、廃屋全体を水浸しにした。
「これで逃げ場はないぜ、ヴィクトリア!」
リアムの狙いは、ヴィクトリアを捕らえることだけではなかった。彼が得意とする水魔法は、水が多い場所でその威力を増す。水浸しになった床は、リアムにとって絶好の戦場へと変わったのだ。
ヴィクトリアは、水に濡れた床に足を滑らせながらも、その場に留まろうと必死に風の足場を作り出す。しかし、そこへリアムの猛攻が襲いかかる。水面から無数の水の触手が伸び、ヴィクトリアの四肢を捕らえようと絡みつく。彼女は風の刃でそれを切り裂こうとするが、水はすぐに再生し、絡みつきを強めていく。
「くっ…こんな…!」
身動きを封じられたヴィクトリアに対し、リアムは容赦なくフィニッシュブローの詠唱を開始した。彼の魔力が右手に集中し、禍々しいほどの炎が渦を巻く。
「終わりだ! 爆炎水流!」
リアムの手から放たれたのは、灼熱の炎と激流が混じり合った、まさに水と火のユニゾン魔法だった。それは一直線にヴィクトリア目掛けて殺到する。ヴィクトリアは恐怖に顔を歪ませ、最後の力を振り絞って風の壁を張ろうとするが、既に拘束された状態ではそれが間に合わない。
爆炎水流は、ヴィクトリアの細身の体を飲み込み、そのまま廃屋の奥の壁に叩きつけた。轟音と共に壁が崩壊し、ヴィクトリアの体は瓦礫の中に埋もれていく。
「…戦闘不能! ヴィクトリア・ブレイズ、リタイヤ!」
上級生の審判の声が響き渡った。
リアムは、荒くなった息を整えながら、吐き捨てた。
「へっ、こんなもんか。せいぜい精進しな」
彼の足元には、大量の水と焼け焦げた木材、そして煙が立ち上っていた。一瞬の静寂の後、リアムは次の標的を探すべく、瓦礫の山を乗り越えて廃屋の出口へと向かった。
クラスメイトを全員登場させる予定なので面倒だけど頑張ろう




