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1章 魔法大学入学 週末冒険者1

冒険者らしい活動書いていなかったので、少し書こうかなと

冒険者活動:因縁の盗賊団討伐

週末の冒険者ギルドは、平日に比べて活気に満ちていた。学生冒険者や普段は別の仕事を持つ者たちが、それぞれの目的のために依頼掲示板を覗き、雑談に花を咲かせている。ミルズもまた、その喧騒の中にいた。大学の授業やサークル活動で忙しい毎日だが、週末の冒険者活動は、自身の能力を試す貴重な機会であり、何よりも彼自身の探究心を刺激する時間だった。


「お、ミルズじゃねーか、今週も来ているな!よしよし」


ギルドのカウンターで依頼書を眺めていると、聴き覚えのある声が聞こえた。振り向けば、屈強な体格のベテラン冒険者、ガルドがニヤリと笑っている。彼は、ミルズが冒険者活動を始めてから何度か共闘したことのある、信頼できる仲間の一人だ。ガルドのパーティーは、他に小柄だが素早い動きを見せる女剣士のリリア、そして後衛で回復魔法と支援魔法を扱うエリックの三人組だ。


「ええ、ガルドさん。何か面白そうな依頼はありますか?」ミルズは尋ねた。


「面白いかどうかは分からねえが、厄介なのはあるな」ガルドが顎で掲示板の奥を指す。「例の『闇牙やみきばの残党』だ。また動き出したらしい」


『闇牙』。その名を聞いて、ミルズの表情がわずかに引き締まった。数か月前、ミルズがたまたま遭遇した村で略奪を働いていたのが、この盗賊団だった。その時は、彼が単独で一部を無力化し、撃退に成功したものの、残党が各地に散らばり、根絶には至っていなかったのだ。


ガルドが続ける。「最近また、近隣の村や街道での被害が相次いでる。ギルドも討伐隊を組んでるんだが、連中、足取りが掴みにくくてな。罠の仕掛け方も巧妙だし、まともにやり合ったら損害も大きい。それで、厄介払いのためにも、ギルドは本腰を入れてるってわけだ」


ミルズの脳裏に、あの村で怯えていた人々の顔がよぎった。あの時、完全に駆逐できなかったことへのわずかな後悔が、彼の胸に去来する。


「私も、その依頼を受けましょう」ミルズは迷いなく言った。


「そうか、お前なら心強いぜ」ガルドは力強くミルズの肩を叩いた。「俺たちのパーティーも、今からその討伐隊に合流するところだ。一緒に行くか?」


「ええ、喜んで」


ミルズとガルドのパーティーは、ギルドから提供された最新の情報を元に、盗賊団の活動範囲とされる森へと向かった。


盗賊団の活動範囲とされる森に到着すると、既に他の冒険者パーティーがいくつか散開し、索敵を開始していた。しかし、森は広大で、盗賊団の痕跡は巧妙に隠されている。


「相変わらず、連中の隠れ方は一流だな」ガルドが周囲を警戒しながら言った。「通常の追跡術じゃ、なかなか尻尾を掴ませねえ」


ミルズは、返事をせずに、ゆっくりと目を閉じた。彼の強化された五感が、森の情報を次々と拾い上げていく。風の匂い、土の匂い、腐葉土の匂い…その中に、微かに混じる、不自然な薬品の臭いと、焦げ付いたような獣の匂い。そして、風に乗って運ばれる、ごく微細な人間の体臭。強化された聴覚は、鳥の鳴き声や風の音に紛れて、遠くでかすかに聞こえる、金属が擦れるような音と、地面を軽く踏みしめるような振動を捉えていた。


「この先、北西の方向です。微かに火薬の匂いと、獣の臭いがします。おそらく、彼らが飼っている魔物の匂いでしょう」ミルズは目を開け、迷いなく方向を指し示した。「さらに奥から、微かに金属の音が聞こえます。おそらく、簡易的な鍛冶場か、武器の手入れをしている音かと」


ガルドは驚いてミルズを見た。「何だと? 俺には何の匂いも聞こえねえが…」


リリアが眉をひそめる。「まさか、そんな遠くの匂いまで…? エリック、何か感じるか?」


エリックは目を閉じ、魔力の流れを感じ取ろうとしたが、首を振った。「いえ、微弱すぎて、僕には何も…」


他のパーティーの冒険者たちも、ミルズの言葉にざわめき始めた。


「気のせいじゃないのか? 普通はそんな…」


ミルズは彼らの疑問には答えず、先を促すように歩き出した。ガルドはすぐにミルズを信頼し、彼の指示に従ってパーティーを率いた。


「よし、ミルズの言う通りに動くぞ! 他の連中も、早く動け!」ガルドが周囲に呼びかける。


彼らがミルズの指示に従って森の奥へ進むにつれて、徐々にその痕跡がはっきりとしてきた。木々の間に隠された獣道、地面に残された足跡、そして、所々に仕掛けられた、通常の冒険者なら見過ごしてしまいそうな罠の仕掛け。


「これは…!」ガルドが罠に気づき、思わず声を上げた。それは、枯れ枝で巧妙に隠された落とし穴だった。


「この仕掛け方は、やはり『闇牙』だな」ミルズは冷静に言った。「罠は他にもあります。この先、数メートル間隔で、弓の仕掛け罠が張られています」


ミルズの強化された視力は、木々の間に隠された弓と、それを起動させるための見えない糸を捉えていた。それは、ごく細く、通常の目ではほとんど視認できないものだったが、彼にとっては問題なかった。


ミルズは、魔力杖を構え、狙いを定めた。彼の魔力弾は、狙い澄ましたように弓の弦と起動装置を正確に射抜き、**パキン!**と音を立てて破壊した。


「すげえ! 一瞬で罠を無力化しちまったぞ!」リリアが驚きの声を上げた。彼女の素早い動きをもってしても、あのワイヤーを見つけるのは困難だったはずだ。


エリックも感嘆の息を漏らす。「魔力弾で直接罠を破壊するなんて…信じられません」


他のパーティーの冒険者たちも、ミルズの常識外れの能力に目を奪われていた。彼らは、ミルズが魔法を使えないことを知っていたからこそ、その光景はより一層、信じられないものに映った。


ミルズの索敵能力と、魔力杖による罠の破壊によって、彼らのパーティーは、他のどのパーティーよりも早く、そして安全に盗賊団の拠点へと近づいていった。


「この先に、強い魔物の気配と、多くの人間の気配を感じます。おそらく、ここがアジトでしょう」ミルズは、微かに鼻をひくつかせ、静かに告げた。強化された嗅覚と聴覚が、アジトから漏れ出る人々の声や、魔物の唸り声を明確に捉えていたのだ。


彼らの目の前には、岩肌に隠された、いかにも盗賊のアジトといった風貌の洞窟の入り口が姿を現した。


「流石だな、ミルズ。お前がいなけりゃ、もっと時間がかかっただろうぜ」ガルドが感心したように言った。


盗賊団の拠点を発見したことで、前半の任務は完了だ。ミルズの五感強化と魔力杖の応用が、他の冒険者たちに強烈な印象を与え、彼の実力をまざまざと見せつけた瞬間だった。


突入か、待機か

アジトの入り口を前に、ガルドは興奮を隠せない様子で大剣を握りしめた。

「よし、このまま一気に突入して、奴らを叩き潰すぞ!」


しかし、ミルズは冷静に首を横に振った。

「待ってください、ガルドさん。このアジトは、予想以上に大規模です。それに、盗賊団の親玉クラスの気配も複数感じます。このまま突入すれば、不必要な損害が出る可能性があります」


リリアが眉をひそめる。「でも、せっかくここまで来たんだ。他のパーティーもまだ合流してないし、今がチャンスじゃないのか?」


エリックも心配そうな顔で言った。「僕たちの回復魔法にも限りがありますし、消耗戦になれば不利です」


ミルズは、彼らの焦りを理解しつつも、最善策を提示した。

「私は週末冒険者なので、今日はもう時間切れです。明日には大学の授業がありますから。無理に今日中に決着をつける必要はありません。一度ギルドに戻り、詳細な情報を共有し、より大規模な討伐隊を編成してもらうべきです。あるいは、私に一晩時間をいただければ、より確実な作戦を立てられます」


ガルドはミルズの言葉に、一瞬考え込んだ。彼の言う通り、このアジトは想像以上に手ごわそうだ。しかし、目の前に獲物を置いて引き返すのは、冒険者としての血が許さない。

「…だがな、ミルズ。このまま引き返せば、奴らは警戒を強めるだろう。それに、他のパーティーが手柄を焦って、無茶な突入をする可能性もある」


ミルズは、ガルドの懸念を理解していた。

「その可能性は否定できません。だから無理強いはしません、私の都合ですから。私と今日は帰って来週挑戦するか、それとも私抜きで今日突入するかガルドの判断を尊重しますよ。」


ガルドは腕を組み、唸った。リリアとエリックも、ミルズの冷静な判断に納得しつつも、やはり焦りの色が隠せない。

「…分かった。お前の言うことも一理ある。だが、このまま引き下がるのも悔しい。もし、他の連中が抜け駆けしやがったら、その時は…分け前が減るかもしれんが仕方ないな。俺たちもその間万全の準備を整えて、来週突入だ!」

ガルドは、ミルズの提案を渋々ながらも受け入れた。彼の言葉の裏には、「もしもの時は、お前の常識外れの能力に頼らせてもらうぞ」という、ミルズへの信頼と期待が込められていた。


「ありがとうございます、ガルドさん。では、一度ギルドに戻りましょう」


こうして、ミルズのパーティーは、盗賊団のアジトを目前にして、一旦引き返すことになった。彼らの決断が、次週、どのような事態を引き起こすのか、誰も知る由もなかった。

ガルドは良いやつのようですね。

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