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1章 魔法大学入学 魔法大学野外活動1

学校には野外活動はつきものかなと、遠足やキャンプでカレー作るくらいの感じです。

魔法大学野外活動編:魔の森探索

魔法大学の広大な敷地を抜け、一行は「魔の森」の入り口に立っていた。今回の野外活動は、実地での経験を積むための重要なカリキュラムだ。担任のグレン教授は不在で、代わりに探索術の権威であるマクシム教授、薬学のエキスパートであるエルダ教授、そして副担任のラガン教官が学生たちを引率する。


学生たちは五人一組の班に分けられ、ミルディアスの班には、明るく活発なアリス、精霊魔法の才能を開花させ始めたコレット、実直な性格のフレッド、そして召喚魔法の使い手であるズィガと、彼が使役する大型の犬型魔物「ボルカ」がいた。ボルカは、牛より少し小さいくらいの巨躯を持ち、その背にはズィガが軽々と乗ることができる。


「よし、みんな、いいか! これから二日間は魔の森での活動だ!」ラガン教官の力強い声が響いた。「一日目は薬草採取と環境把握、二日目は魔物討伐の実地訓練を行う! 三日目にはダンジョン探索が待っている。くれぐれも油断するなよ!」


マクシム教授が補足する。「魔の森は奥へ行けば行くほど危険度が増す。しかし、その分、貴重な薬草や強力な魔物が潜んでいる。自己の限界を見極め、決して無理はするな。分からないことがあれば、すぐに教員に報告すること!」


エルダ教授は薬草の図鑑を広げながら微笑んだ。「薬草は種類によって生育環境が大きく異なるわ。匂いや葉の形、土壌の色など、五感を最大限に活用して見つけ出しなさい。間違ったものを採取すれば、効果がないどころか毒になることもあるから注意するのよ」


説明が終わり、各班はそれぞれ指定されたエリアへと散っていった。ミルディアスの班は、森の奥へと続く小道を進む。


魔の森探索:一日目「薬草採取の妙技」

「うわー、森の中って、こんなに湿気が多いんだね」アリスが額の汗を拭いながら言った。


「そうね。地面もぬかるんでるし、ちょっと歩きにくいわね」コレットが足元に注意を払いながら続く。


ズィガがボルカの背に乗ったまま、その大きな頭を撫でた。「ボルカもちょっと歩きにくそうだな。おい、フレッド、そっちの道はどうだ?」


フレッドが地図と周囲を見比べながら答える。「こっちは少し地面が固そうだ。ミルディアス、この辺りに『グリーンプリンセス』は生息しているらしいが、見当たらないな」


ミルディアスは既に、目を閉じ、深く息を吸い込んでいた。彼の強化された嗅覚は、湿った土の匂い、腐葉土の香り、そして微かな植物の息吹までをも捉えていた。そして、その中に、目的の薬草の独特な香りを嗅ぎ取る。さらに、強化された聴覚が、風にそよぐ葉の音、遠くで跳ねる小動物の音、そして微かに土の中で根を張る音さえも拾い上げていた。


「もう少し、奥ですね。この風に乗って、甘い香りが微かに届きます」ミルディアスは目を開け、指をさした。その方向は、誰もが「ただの雑木林」としか思わないような場所だった。


「え、本当に? ただの草むらにしか見えないけど…」アリスが半信半疑で呟く。


「ミルズが言うなら間違いないだろ」フレッドが信頼の眼差しでミルディアスを見る。


ズィガもボルカを操りミルディアスの後を追う。「へぇ、すげえな。俺には何もわかんねえや」


ミルディアスの案内のまま進んでいくと、確かにその場所には、他の場所では見られない、淡い緑色の小さな花をつけた「グリーンプリンセス」が群生していた。


「わぁ! 本当だ! ミルディアス君、どうして分かったの!?」コレットが驚きの声を上げた。


「匂いです。それと、意識すれば遠くまで鮮明に見えるので、色合いの違いも分かります」ミルディアスは事もなげに答える。彼にとって、五感の強化はもはや日常の感覚であり、その強弱を自在に操ることで、まるで高性能な魔道具のように周囲を把握できたのだ。不快な匂いは意識的に遮断できるため、森特有の湿気や土の匂いも彼にとっては気にならなかった。


班員たちが薬草採取に勤しむ中、別の班の悲鳴が聞こえてきた。


「ギャー! 魔物に襲われたーっ!」


「何だ?!」フレッドが慌てて声の方向を見る。


執事のクラウスから聞いた、魔物を遠くに飛ばせる杖があるかも? と淡い期待を抱いていた魔法道具研究部での成果も、今回の実習ではその片鱗を見せていた。ミルディアスは、この実習のために特別に調整された「魔力食い」の杖を、試験運用という形で教授から買い取っていたのだ。


「何かあったのか?」ズィガがボルカに乗ったまま駆け寄ろうとする。


「大丈夫です。あの魔物は弱い。ただ、油断していただけでしょう」ミルディアスは冷静に言った。強化された聴覚が、魔物の咆哮と、それに怯える学生たちの心音、そして教官の駆けつける足音を正確に捉えていたからだ。


結局、その班は軽傷で済んだが、薬草採取は中断せざるを得なかった。


午後になり、班はさらに奥へと進んだ。エルダ教授から指示された次の目標は、希少な「ムーンライトリーフ」だ。これは夜にしか光らないため、日中の採取は困難とされていた。


「こればっかりは、夜にならないと見つけられないわよねぇ」アリスが疲れたように座り込んだ。


ミルディアスは再び目を閉じた。強化された視力は、わずかな光さえも増幅し、闇の中でぼんやりと輝く「ムーンライトリーフ」の光を捉えることができた。それは、まだ弱々しい光だが、彼の目にははっきりと見えた。


「見つけました。あの岩陰に、いくつか生えています」ミルディアスが指差す先は、鬱蒼とした茂みの奥。


「えっ!? ミルディアス君、どうやって?」コレットが驚きの声を上げた。


「まだ微かに光が見えます。それに、独特の冷たい魔力の流れを感じます」ミルディアスは、ごまかしつつも、精度の高い五感強化の力を示していた。


フレッドは感心したように言った。「すごいなミルディアス。お前がいると、どんな難題も簡単になっちまうな」


ズィガもボルカの背から身を乗り出すようにして、「こりゃあ、他の班との差がどんどん広がるぜ!」


彼らの班は、他の班が夜を待つ間に、日中のうちに多くのムーンライトリーフを採取することに成功した。その効率の良さに、無線で状況報告を受けたエルダ教授が驚きと感嘆の声を上げるのが聞こえた。


魔の森探索:二日目「魔物討伐の巧技」

二日目は魔物討伐の実地訓練だった。学生たちは各自、与えられたエリアで魔物を討伐し、その証拠を持ち帰る。


「さて、今日の目標は『フォレストゴブリン』だな」フレッドが腕を組み、森を見渡した。


「ゴブリンかぁ。ちょっと手強いわね」コレットが精霊を呼び出す準備をする。彼女の周りに、風の精霊が微かに輝き始めた。


ズィガがボルカの首を撫でて指示を出す。「ボルカ、出番だぞ。今日はたくさん倒して、飯にするか?」ボルカが「ガウ!」と力強く吠えた。


ミルディアスは既に、魔力杖を手にしていた。この杖は、彼専用に調整されたものだ。膨大な魔力を必要とするが、その分、使い手の意思によって様々な形状の魔力弾を放つことができる。強弱も自由自在、さらには魔力に紐をつけて放つこともできた。


「森の奥から、数体の魔物の気配を感じます」ミルディアスは、強化された聴覚と嗅覚で魔物の位置を特定していた。「こちらの方向から、三体。そしてあちらから、二体ですね」


アリスが目を見開いた。「え、もう分かったの? 私たち、まだ何も見えてないのに!」


「ふむ、ミルディアスの索敵能力は群を抜いているな」フレッドが感心したように言った。


ズィガが「よし、ボルカ! 行くぞ!」と叫び、ボルカに乗ったままミルディアスが示した方向へと走り出す。ボルカの巨体が森の中を駆け抜け、地面がわずかに揺れる。


一瞬にして、数体のフォレストゴブリンが姿を現した。彼らは原始的な棍棒を振り回しながら、唸り声を上げて襲いかかってくる。


「風よ、我が盾となれ!」コレットが詠唱し、風の精霊が作り出す微かな障壁が彼女の前に展開された。


ミルディアスは冷静に魔力杖を構えた。彼はまず、一番手前のゴブリンに向かって、矢のような形状の魔力弾を放った。それは空気抵抗をほとんど感じさせない速度でゴブリンの急所を貫き、一撃で仕留めた。


「す、すごい…一撃…」アリスが息を呑む。


「ミルズの杖、本当に強力ですね!」フレッドも驚きの声を上げた。


続くゴブリンには、ミルディアスは球状の魔力弾を放った。それはゴブリンの腹部に命中し、衝撃で地面に転がったゴブリンは、そのまま気絶した。殺傷することなく、無力化する。これは、教授が求めた「状況に応じた対処」を完璧にこなしていた。


「ミルディアス、なんでそいつは倒さなかったんだ?」ズィガがボルカの上から尋ねる。


「捕獲対象ではないかと。気絶させておけば、後で教官が回収しやすいでしょう」ミルディアスは簡潔に答えた。彼の視力は、ゴブリンの首元に巻かれた、かすかに光る識別の印を捉えていたのだ。それは、討伐対象ではない、研究用の個体を示す印だった。


その間にも、ズィガとボルカが残りのゴブリンをあっという間に片付けた。ボルカの巨体から繰り出される突進は圧倒的で、ゴブリンたちは為す術もなかった。


「これで終わりか! ミルディアスの援護のおかげで楽勝だったぜ!」ズィガが笑いながらボルカの背の上で身を乗り出して言った。


午後の実習では、別の班が苦戦している情報が入った。


「第C班が、巨大な『ツリーグロワー』に遭遇し、足止めされている模様! 応援を要請する!」無線から緊迫した声が聞こえてくる。ツリーグロワーは、森の魔物の中でも特に頑強で、動きは鈍いがその一撃は重い。通常の攻撃ではなかなか倒せない、厄介な相手だ。


「ミルディアス、俺たちも手伝いに行こう!」フレッドが提案する。


「その必要はありません」ミルディアスは首を振った。「あのツリーグロワーは、弱点があります。それに、ちょうど良い実験台です」


彼は再び魔力杖を構えた。そして、今度は魔力弾に、強化された「魔力紐」を繋げる。魔力毛から進化した魔力紐は、彼の意思一つで自在に伸縮し、粘着性すら帯びることができた。


「ミルディアス君、何を…?」コレットが不思議そうにミルディアスを見つめる。


ミルディアスはツリーグロワーの方向へ、矢のような魔力弾を放った。その魔力弾は、狙い澄ましたようにツリーグロワーの堅い表皮のわずかな隙間、関節の結合部へと突き刺さる。そして、その魔力弾の先端から、細い魔力紐が伸び、そのままツリーグロワーの体中に絡みついた。


「え、あれは…!」アリスが驚きの声を上げた。


「魔力紐だ。一度刺されば、離れない」ミルディアスは淡々と答えた。その魔力紐は、一度捕らえたものを決して逃がさない。釣り糸のように獲物を手繰り寄せることも、捕縛することも自由自在だ。


ミルディアスは、魔力紐でツリーグロワーの動きを完全に封じ、地面に引き倒した。その間に、駆けつけた教員たちが、その弱点である根元の部分を攻撃し、ツリーグロワーはあっけなく討伐された。


「まさか、魔力だけであのツリーグロワーを拘束するとは…!」応援に駆けつけたラガン教官が目を見開いて驚いた。


「ミルディアス君は、本当に規格外ですな」マクシム教授が感嘆の声を漏らした。


他の班が苦戦する中、ミルディアスの班は常に楽勝だった。それは全て、ミルディアスの五感強化と、彼専用の魔力杖、そして魔力毛から進化した魔力紐の賜物だった。彼は、自身の能力を最大限に活用し、班員たちに経験を積ませる余裕さえあった。


「はぁ、疲れたー! でも、ミルディアス君のおかげで、全然危なくなかったね!」アリスがぐったりと座り込んだ。


「ええ。ミルディアス君の五感は本当にすごいわ。精霊のささやきよりも正確に魔物の気配を捉えるもの」コレットが素直に感心した。


フレッドはミルディアスの肩を叩いた。「本当に助かった。お前がいてくれて、俺たちの班は最強だな」


ズィガもボルカの背から降りてミルディアスに駆け寄った。「なあミルディアス、あの杖、俺にも貸してくれよ! 俺もあんな風に、魔物をごっそり倒してみたい!」


ミルディアスは静かに微笑んだ。「そうですね。いずれ、皆さんにもその応用を教えましょう」


彼らの魔の森での二日間は、他のどの班よりも効率的で、そして圧倒的な成果を残して幕を閉じた。そして、その裏には、ミルディアスの人知れぬ努力と、二つの部活動での探求の成果があったのだ。明日は、いよいよダンジョン探索だ。

魔法大学でやりそうな野外活動を実施してみたら、

ミルズ君の優秀さがわかりますね。

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