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【ヒューマンドラマ】

大人気の死にゲー

作者: 小雨川蛙

 

 そのゲームは人々には非常人気があった。


 具体的な内容は主人公が非常に陰鬱で不気味な洋館の中で殺人鬼から逃げ回るというものだ。

 主人公は無力な一般人であり、ゲーム中ではどのような手段を用いても殺人鬼に対抗する術を手に入れることはない。

 出来ることはひたすら逃げの一手だけだ。


 そして殺人鬼に捕まった主人公はありとあらゆる残虐な手段で殺される。

 斧で首を刎ねられたりナイフで胸を一刺しのような死に方はまだ良い方で、中には火炙りにされたり水中に沈められたりと可能な限り苦しめられた後に殺されるというものもある。

 その時の主人公の苦悶の表情や慈悲を請う声はまるで夢にまで出そうなものだという。


 さて、このゲームの主人公はデフォルトの姿以外に自分で細部を変えられる。

 それも面倒な調整は必要なく自分自身の写真を読み込ませるだけで即座に生成出来るのだ。

 製作者側の意図としては自分自身に可能な限り似せて作ることで恐怖を追体験して欲しいというわけなのだろう。

 事実、このゲームが大ヒットしたのはこの没入感にこそあるのだろう。


「恐ろしい恐怖に襲われる自分を自分自身が救う。この恐怖と興奮を是非体験してもらいたくて作ったのです」


 製作者は満足気にインタビューに語っていた。

 自分の作品が自分の意図した通りに世界に広まった満足感を眩しいほどの笑顔に乗せて。


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 写真を使えば一瞬でキャラメイクが出来るお手軽さから『大嫌いな人』を読み込ませて、そんな彼らが必死に苦しみ無力に死んでいくのを見守るという、あまりにも陰鬱且つ陰険な遊ばれ方をしていることを製作者が知るのはもう少し先の話である。

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― 新着の感想 ―
オチにやられました。 なお、実在するゲームとしてはSFCの新桃太郎伝説に立ち寄らなくてもいいサブダンジョンに「怨みの洞窟」というのがありまして……
オチが良い。 是非やりたいw 嫌いな写真を撮ってw
 表面上の利益にこうした真実は追わず、その殆どが語られる事は無い。けれど使い勝手の裏側を知る者には、性善説よりも性悪説の方が現実的でもある。  拝読後、ふと漢字の読み方を考え、現代社会の稚拙さを物語る…
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