この星に生まれて
そこまで長くする予定はありませんし、息抜きが書かせていただいたんで、続編は期待しないでください
目が覚めた…というより意識がはっきりしだしたのはいったいいつのことだったのだろうか。
当初は目なんてものは無くて、ただじっとしている。それだけだった。
ただ、時間がたっていくにつれて感覚がはっきりしてきた。青々とした木々が生い茂り、動物達は独自の生態系を築いていることに気付き、時間の経過とともに自身が成長していっていることにも気付き始めたのもこの頃だ。
成長していく中で、自然環境に手を加えることも可能であると理解した。とある丘に向けて大量の土砂とマグマを集めて火山にしたり、巨大な鍾乳洞を空けたりした。それら全てはとてもゆっくりとした時間の中で作られていった。
成長し、ついには視力も手に入れることが出来た。
自分の周りに広がる環境に興味が向いて、動かない身体をゆすって動こうともした。一歩たりとも動くことは無かったのだが、周りの精霊が自分に気付き、近くに寄ってきたりしてくれた。
その頃の自分以外の始めて世界を知り、目に見えるもの全てが新鮮で面白くて、憧れた。
ただ、自分は動けなかった。どうすることも出来なかった。見ているだけだった。
それからは、とにかく環境に手を加え続けた。どうにか自分のいるところに精霊を招きたかった。精霊という存在が、自分を変えたのだった。
ときどき、惑星規模での大量絶滅が起こったこともあった。自分のまわりにいた小さな精霊達がいなくなって、動物たちも少なくなって、再び寂しくなることもあった。
そんなサイクルが繰り返されていくなかで、動物たちは無駄を削ぎ、環境に適応し、強くなっていった。時に大きく、小さく、あっさりと死んだり、しぶとく生き残ったり。そんなことが繰り返される中で、気付いたことがあった。動物は、比較的小さく賢い動物たちであれば生き残りやすいのだ。
それから、自分の興味はそれらの動物の観察になった。
そして、時は過ぎ…
体中に違和感があり、体中をゆすり続けていたある時。ついに我慢の限界に達し、文字通り身体を爆発させた。
「……?」
気がつくと身体が小さくなっていた。場所は…どうやら火山の火口のようだ。どうしてこのような場所に出てきたのか不明だが、でてきた理由は本能的に理解することができる。
物体に精霊が宿ることがあり、その精霊は、条件がそろうと顕現することができるのだ。
どうやら自分は噴火が顕現のトリガーになっていたようだ。
ここに居てもすることが無い、顕現したての自分はそう判断し、山を降りるように身体を動かそうとすると、目の前に人が現れた。
「アルヘイア山の不審な火山活動があったから見に来れば、たった一体の精霊の仕業だったのか」
「……」
「チッ…無視かよ。まぁいい、いたずらするような精霊には仕置きが必要だがな!」
そう宣言すると、その人は長剣を担ぎ、下衆た笑みを浮かべて接近してきた。
「食らえ!」
「……?」
突きの形で放たれた一撃は、寸分たがわず自分の胸を捉えていた。
「硬すぎんだろ…!」
それが何を意味するのかは、本能だけが理解できた。
『汝、なぜ我を攻める。我、汝と敵対するつもりあらず』
「精霊言語…っ!それに、なんだ、この魔力密度…っ」
攻撃するということは、反撃されるということも視野に入れるべきことだが、この人はそのことを考えていなかった。自身の力量すら理解することが出来ないものは戦いに出るべきではないものだ。それがましてや、勇者という称号をもつものならばそれが必要最低限のことだろう。
「俺は勇者だぞっ!何者にも負けない最強の男だぞ!それなのに、なんでだ!」
『我、再び問う。汝、なぜ我を攻める』
距離をとった男にことばを投げかけるが、返ってくるのは先ほどと同じ下衆た笑みだけ。
「なぜお前を攻撃するか、だって?ははっ、知ってるか?顕現した精霊には、魔力の源、核があるが、それがいい値段で売れるんだよ。それが、不可思議な火山活動の原因の精霊だとしたら、なぁ?」
『理解できぬ』
身体に違和感を感じて久しく観察は行ってこなかったが、最後にこの種族を観察していたころには貨幣なるものがあった。
「お前には理解できなくてもいいんだよ、理解する前に死んでもらうからなぁ!宝具展開」
男が握る長剣に魔力がまとわりつく。しかし、自分にはそれは一切の脅威に感じることは無かった。しかし、本能は、告げている。
『仇す者を攻めよかし』
直後、男は先ほどのスピードを遥かに上回るスピードを出して接近してくる。
「おら、死ねぇ!!」
が、所詮見切れる程度の速度しかでないのだ。
男が長剣を振り下ろす前に、魔力を男に向けて放つ。
放たれた魔力は男の身体を粉砕して空気中に霧散していく。残されたのは、男が持っていた長剣の先端部分と足だけだ。脚から上は、粉砕され、魔力の奔流に飲まれ跡形もなくなっていた。
興味をなくした自分はすぐに向きを変え、山を下ろうと移動を開始した。
やはり噴火の影響か、周囲にあったはずの自然はいまや焦げた木に灰が積もっている荒廃した光景に変わっている。豊かな自然に囲まれて生活していた生物達もその姿を消し、静寂だけが場を支配していた。
しかし、自分は知っている。このような環境の変動の後に、また新たな地形ができ、生態系が出来上がることを。失うことは悪いことではない、むしろそちらのほうが生物達にとっての進化のチャンスを与えることにつながると、自分は知っている。
はじめのほうの動物や植物って言うのは、三葉虫たちが居た時代の生物達が陸上にいたり、裸子植物が繁栄していたり、シダ植物が繁栄していたりと、カオスな状態になっています。
ま、まぁ、ファンタジーだし…?それくらいはね?




