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生活困窮者のファド Fado dos Pobres

作者: 黒実 音子

泥の貝を食べ続けた者が

顎口虫症(ニャトストミアシス)になる様に、

貧困者は肺を蝕むその痛みを

戸口に招き入れるのだ。


貧困は吸腔(ソルベオ)(コンチャ)の様に肉体を蝕む。

その潰瘍を抱えて、

貧者は己の血を吐き出し、罵る。

ああ!!そこに慈悲など無いかのように。


苦痛に賄賂を渡し、

心臓に十字架を突き立て、

歯の無い梅毒と踊る。

詩人よ。

それを誰がご存知なのだろう?


ああ、高官は追いやられた者を笑う。

キリスト教徒でさえも愚かな罪を犯す。

ラケルの墓を讃え、

痛みなど無かったかのように生まれる。

ズレイカやロクスタに唾を吐き、

見事に己の罪を埋葬する男達を

私は知っている。


魂の困窮に救いはないのだ。

石牢の中で目隠しされ、

ただ、飢えだけが彼らを殺していく。

ああ!!そこに知性など無いかのように。


契約の民よ。

その身に染みついた貧しさの泥の中で、

自分だけの痛みを抱え、

タールの様な罪を嘔吐する。

どうか、生活困窮者のファドを笑ってくれ。


それでも何処かでテチス海を探している。

そこには孤独と気高さがある。

ポティファルに売られても

夢を見る気骨がある。


清浄を知る者は幸いだ。

気づけば誰もが

希望と書かれた新聞を広げている。

本質的には、涙を嫌う者はいないという証に。


アルベンダゾールを飲み干し、

その肉体に住む貧困が

我が身を蝕んで殺していく様を見つめながら、

キリスト像を見つめ、

「それもまた人生だ」と笑うのだ。

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