銀色のネコ
我が家にはいっぴきのネコがいる。
名前は銀。銀色の毛並み、黒いおめめ。のんびりとしたやつで、我が家の大事な家族だ。
はじめて銀がうちにやってきたとき、
小さな赤ちゃんだった。
ママが銀色のネコだから、
『名前は銀でいいんじゃない?』
って言った。
パパは灰色じゃないかなって苦笑いしたものの、ママのいう通り、名前は銀に決まった。
その頃から銀は我が家のアイドルだった。
少し月日が流れた。
僕ははじめて銀に対して怒った。
僕が大切にしてたママからのプレゼントのコップを銀が割ってしまったから。
ママはまた買ってあげるからって言ったけど、僕は悲しくて泣いた。
銀なんていなくなっちゃえって泣いた。
翌日、本当に銀はいなくなってしまった。
銀がいなくなってしまった事に気がついた僕はすぐに辺りを探し回った。
しかし、銀は見つからなかった。
ママは新しいコップを買ってくれた。
けど、それは僕が大切にしてたコップではない。
僕が好きだった銀もいなくなった。
『無くなった大切なものは元には戻らないの?』
僕の問いかけにパパとママは困った顔をした。
僕はふとした瞬間、心のなかで、
『銀、出ておいで』
まるで、呪文のように呟くようになっていた。
もう二度と大切なものを無くしたくないために。