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「で、何?」
晴香はソファに横になって言った。
「ずっと家にいるの?」
「あんたに関係ないでしょ。」
「お母さん、心配してない?」
「ママはもうそんな事も訳わかんないくらいになってるわよ! あんたたちのせいでしょ!」
晴香は麗子にクッションをぶつけた。
「用が無いなら帰ってよ! 毎日毎日入り口にたむろされちゃ、他の住人に変に思われるからもう来ないで!」
「何か、させてもらえないかな?」
「あんたにしてもらうことなんて何も無いわよ!」
「お願いします! 何かさせて下さい!」
麗子は晴香に頭を下げて、そこを動かなかった。
次の日から麗子は晴香の家を掃除することにした。
業者に頼もうかと思ったが、晴香が人と会うのを極端に拒絶するし、部屋の状態がここまで酷いと、他人に見せるのもためらいがあった。




