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俺が話しかけようとすると、彼女は身を乗り出すようまた全力で笑顔をアピールしてきた。
まずい…。
向こうは乗り気だ。
早いとこカタを付けた方がいいな…。
そこへコーヒーが運ばれてきた。
緊張しながらにこにこしている彼女に飲むように勧めた。
彼女は全力のにこにこアピールを俺にぶつけたまま、緊張で震える手でコーヒーに砂糖を入れた。
おいっ!
いったい何個入れるんだよ!
彼女は砂糖を入れ続けた。
どうやら緊張のしすぎで頭と行動が一致してないようだ。
そしてコーヒーを飲んで、案の定甘さで顔が一瞬般若のようになった。
が、ハっと気づき、また張り付いたような笑顔に戻った。
おもろいな、この子。
いかんいかん、本題に戻さねば!
「母が何て言ったか知らないんですけど…はっきり言っておいた方がお互いの為と思うので…言いますね!」
そう言ったとたん、さっきまでの笑顔が急に萎んで、彼女の眉がゆっくりと八の字型になっていった。
これから言うことを察したのだろう。
ちょっとかわいそうになった。
でも気を持たせる方がかわいそうだ。
言おう!