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「みんながいい妖精さんとは限らないからね。知らない妖精さんも、もちろん知らない人も、ついて行っちゃダメだよ。もしまた妖精さんが来たら、必ずママに教えてね!」
「わかった!」
それからしばらくして、再び麗子の元へ妖精のおばあさんが現れた。
妖精のおばあさんは麗子の元へ近づこうとしたが、麗子は大急ぎでマンションの中に入って行った。
「ママ! 妖精のおばあさんが来た!」
麗子は綾子に知らせた。
そして綾子は麗子に部屋から出ないように言って玄関に鍵をかけ、妖精のおばあさんの元へ向かった。
綾子はその人物を見て固まった。
そこにいたのは、麗子の祖母、夫の母だった。
綾子は夫の母に深々と頭を下げた。しばらく沈黙が続いた。
「あの子は、来年から小学校へ上がるんでしょう?」
「はい。」
「地元の公立の学校へ行かせるのよね? だいたい聞いていますけど…」
「はい。」
「綾子さん…私の事を恨んでいるんでしょうね?」
「…。」
「無理もないわ。一郎とあなたの仲を無理やり私が引き裂いたんだものね…。」




