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「雇ってやれよ。おまえだって仕事の依頼が増えてきただろ? 一人だったら限界あるぞ! それにそんなおもしろい子なんだったら仕事で疲れた時、いい息抜きになるじゃん。で、どんな感じ、その子? 芸能人に例えると?」
「芸能人って…わかんねーよ。」
「なんかあるだろ! 髪の長さは? 体型は?」
「う~ん、髪は肩より少し下くらいかな…細身で…」
「もしかしてあんな感じ?」
津田はカウンターに座っている女性を指さした。男と二人で座っている。
「…そうだな。あんな感じかも…」
「い~よな~! 俺、好きだよ、ああいう雰囲気の子!」
「後ろ向きだとわかんねーだろ!」
「いや、いい女は後ろ姿でわかるの!」
俺は改めてカウンターの女を見た。
見れば見るほど彼女に似ている気がした。
そして横に座っている男を見た。
同年代か少し年上という感じだった。
シンプルだけどセンスのいい服を着て背も高そうだ。
二人はいかにもお似合いのカップルという雰囲気だ。
「わり、ちょっとトイレ行ってくるわ。」
トイレに行く途中、すれ違いざまにそのカップルを見た。
…彼女だった!




