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すみません、妻です  作者: まんまるムーン
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「…いない。」


ホッと胸を撫でおろした。


また彼女が駅前広場でパフォーマンスをしているのかと思って焦った。


さすがにもうそんな恥さらしな事はしないだろう。


安心して帰ろうと思った時、中国っぽい音楽が聞こえてきた。


駅前にある小さな公園、いや、三角地帯といった方が良さそうなスペースに、チャイナ服を着た女が歌いながら踊っていた。



…彼女だ!



彼女は本当に合っているのか定かでないヘタクソな中国語の歌を嬉しそうに歌っている。


そして見た感じド素人がマネしただけとすぐわかるような太極拳風の舞を舞っている。


お世辞にもうまいとは言えない、普通このレベルで人前でパフォーマンスをしようなんて思うはずが無い! 


心臓に毛が生えているのか? 


それとも羞恥心が無いのか? 


俺はますます彼女の事がわからなくなってきた。


それでも観客はどんどん増えていった。


ちょうど学校や仕事帰りの時間とあって、すぐに人だかりができた。


呆れたように見ている人もいれば、あからさまにバカにして笑っている人もいた。


しかしこのヘタクソなダンスだ。


ずっと見ている観客はいず、ほとんどが少し眺めたら去っていった。


彼女にはこの観客たちの反応が見えないのだろうか? 





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