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「すみません! それ、私です!」
おふくろは全く理解できない様子だった。
「お風呂の掃除してて…」
「お風呂の掃除であんな恰好するの? ちょっとミー君いったいどういう事!」
分かってもらうには現状を見てもらうのが速いと思い、見せたくはなかったがオフクロに風呂場を見せた。
廊下に流れ出たゴミは彼女がすでにまとめていてくれたが、風呂場の中はまだゴミだらけで、しかもすごい異臭がしていた。
おふくろもようやくわかってくれたようだった。
「それにしても! あなたその恰好で玄関開けたらダメじゃない! 私だったからよかったものの、お客さんだったらミー君の顔を潰すようなものよ!」
そのミー君が風呂場をこんなゴミ溜めにしたんですけどね…。
おふくろはよっぽどショックが大きかったのか、ガスマスクだけでなく汚い風呂場までまるで彼女のせいみたく彼女を叱っていた。
「母さん、俺のせいなんだからもうやめてよ。」
「何よミー君、ママが悪いの? ママが悪者なの? あなたの為に言ってるんじゃない!」
「彼女うちに来てまだ一週間そこらじゃないか! ここまでのゴミ溜めになるのに何年かかると思ってるんだよ! 俺がやったの! 事務所開設してからここ一度も掃除したことないんだから!」
おふくろは改めて風呂場をのぞいた。
「…確かにそうね。こんな過酷な環境なら…私だってガスマスクに防護服を着るわ…。ごめんなさい、私が悪かったわ…。」
着るのか?
おふくろでもガスマスクに防護服を着たくなるほどなのか?
…そこまで過酷な環境なのか?




