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「誰が言ったの?」
「絵梨ちゃん。絵梨ちゃんのママが言ってたって。」
綾子は絶句した。
ただひたすら悲しそうな顔をしていた。
麗子は母親の変化に驚いた。自分が何か悪い事を言ったんじゃないかと思った。
「麗子…」
「何、ママ!」
「ママね、麗子に話さなきゃいけない事があるんだけどね、あなたはまだ小さいし、よくわからないと思うの。ただ、ママはパパの事が大好きで、パパも私たちの事を本当に愛しているって事をわかっていてほしいの。」
「うん。」
綾子はそう言うと、麗子をぎゅっと抱きしめた。
麗子はまだ小さかったが、父と母には何か悲しい秘密があるのだと理解した。
そして自分は二人が大好きだし、二人も自分をとても愛していると思った。
だから自分が大好きなパパとママを守ろうと誓った。
 




