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すみません、妻です  作者: まんまるムーン
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「失礼します!」


彼女は玄関先に置いていた昨日と同じ大きな唐草模様の風呂敷を背負って入ってきた。


何で風呂敷なんだろう? 


まあいいや、考えるのも聞くのも面倒くさい。


どうせあと何日かでお別れなんだ。


やり過ごそう。



彼女は入るなりキッチンへ行くと、風呂敷からフライパンを出して、何やらゴソゴソ始めた。


うちの事務所にはキッチン用品をほぼ置いていない。


せいぜいお客さんに出すお茶やコーヒーのセットくらいだ。


ここで料理などしないからフライパンや鍋は必要ない。


彼女は持ってきたフライパンに何かの豆を入れたかと思うと、それを火にかけて炙り出した。


「何してるの?」


「コーヒーを焙煎してます。」


「え? コーヒーの焙煎って自宅で焙煎できるの?」


「できますよぉ~。」


彼女はニコニコしながら俺を見て言った。


コーヒーを炒る手は休めずに。


すごいな…この子、何でも出来るんだな…。


普段はお客さんからお中元やお歳暮でもらっているドリップパックでコーヒーを淹れている。


それが無い時はインスタントだ。


豆から炒る子って初めて見た…。


しだいにコーヒーのいい香りがしてきた。


まるで老舗のコーヒーショップにいるみたいだ。


いかん! 


癒されてしまう! 


そんな身の危険を感じていると、彼女は風呂敷から今度はコーヒーミルを取り出した。


ミルまで持ってきてるのかっ!





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