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すみません、妻です  作者: まんまるムーン
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「だったらいいんだけど…それにしてもすごいね。そんなのよく持ってるね…。」


「お褒めのお言葉、ありがとうございまーす!」



いや、褒めてないけど…。時計を見ると、4時になろうかとしていた。



「岩田さん、もうすぐ4時になるからキリのいいとこで上がっていいよ。」


「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。」



彼女は大きなボールの中に入っていた急須や湯飲みやコップなどを水洗いし始めた。


そして出していた掃除道具も1ヵ所にまとめた。



「まだ全部終わっていないので、続きは明日しますね。」



ガスマスク越しの彼女はニコニコしながらエプロンを外した。


流しの横に並べられた食器はまるで買ったばかりのように1点の曇りも無くピカピカに光り輝いていた。


例の内側が茶渋で茶色くなっていた湯飲みも真っ白になっていた。




「これって…こんな色だったんだ…。」


「キレイになったでしょ!」


「うん…驚いたな…そろそろ買いなさおなきゃって思ってたんだけど…」


「買いなおしなんて勿体ないですよ。まだまだ現役で使えます!」


「そうだね…。」


「では、また明日!」



岩田麗子は玄関へ行き、手を眉の辺りにあて啓礼のポーズでそう言った。


え、ちょっと待って! 


その格好で帰るの? 



ガスマスクと防護服だよ!



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