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「ありがとう。このコーヒーカップ、持ってきてくれたの?」
「山から発掘してきました!」
「え? ここにあったんだ。こんなにお洒落なのが…」
思い出した。友達の結婚式の引き出物でもらったんだ。
「そう言えば、さっきお客さんに出していた湯飲みも見たことないやつだった…。てもしかして…」
「発掘しました。」
「マジで? スゲー!」
「キッチンにあった湯飲みを使おうと思ったんですけど…湯飲みの内側が茶色で…そういうデザインなのかなと思ったら、よく見ると茶渋で…。たまたま山の中から湯飲みセットを発掘したので、そちらを使わせていただきました。先生…もしかして今迄こっちでお茶出してました?」
「うん。まずいかな?」
「う~ん、茶渋もここまでくると、こういう柄って誰しも思うだろうから大丈夫かも…です。」
「え~! 俺、そんな酷いの使ってた~?」
彼女は何とも言いにくそうな顔をしたまま答えなかった。
真実を言うのをためらったのだろう。
「続きまして、キッチンの清掃に入らせていただきます!」
「全部任せます! その調子でお願いします!」




