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「じゃ、とりあえず中を案内するから。ま、案内するほど広くないけどね…」
「あ、ちょっと待ってください、荷物がまだ外に…」
「え? そんなにあるの?」
岩田麗子は玄関の外に置いてあった大きな唐草模様の風呂敷包みを持ってきた。
「お掃除道具…何があるかわからなかったので持ってきました。」
「そ、そう…」
意外と力持ちなんだな…。
「ここが応接室で…こっちが…」
事務室のドアを開けると岩田麗子は硬直した。
「先生…ここで仕事されてるんですか…」
「うん。僕の机はこっちだから、君はそっちの机を使って下さい。」
「こちらですか…。あの…私の目の錯覚なんでしょうか…? 机が見えないんですけど…」
一人でいる時には気にもしなかったけど、彼女用のテーブルの上に物を置きすぎて、もはや山と化していた。
「あーーー。そうだな…。大事な書類はこっちに全部置いてあるから、そっちは片付けてもらえるかな? 処分していいかわからない物は聞いてくれる?」
「…わかりました! 岩田麗子、全力で取り組みます!」
鼻息交りだ。




