王宮騎士の迎え
やっとの更新。
本当は昨日の金曜に上げたかったけど、なかなか難しくて日付跨いでしまいました。
せめて金曜は毎週更新できると嬉しいのだけどね。
「ご歓談中、失礼します」
マッテオ様と今後のにゃんズの絵画をどこに飾るか話をしていると、柔らかい声色で気遣わしげに声をかけられ、私とマッテオ様は振り返った。
「やぁ、レイバン家の黒猫くんじゃないか」
振り返った先に居たのは、柔らかそうな黒髪の癖っ毛と輝く金瞳を持つ王宮騎士。
しかも、その中でも剣の腕が立つと評判で、25歳の若さでクラウス様の護衛長も勤めている、ルイス・ゲルガー・レイバン様。
フィリア様が我が家のライオネル様に似ていることから、マッテオ様は何故かルイス様も猫に見えるらしく、彼の事を黒猫くんと呼ぶのだ。
「ルルシャント卿、お久しぶりです」
ルイス様はそう言うと丁寧に頭を下げる。
本来、王宮騎士でもあり、伯爵家でもあるルイス様がマッテオ様に頭を下げることは貴族通例としては間違いなのだけど、誰に対しても物腰柔らかく丁寧に接するルイス様がやると嫌味も無い。
「相変わらずだね、キミも。今日はどうしたんだい?あのぽんこつから呼び出しでも来たかい?」
マッテオ様がそう言って冷ややかに笑うと、ルイス様は小さくため息をついた。
マッテオ様はクラウス様のお母様の愛人で、クラウス様との仲は冷え込んでいるという噂がある。今日まで、噂は噂だと(誰も婚約者が王妃の愛人だなんて噂を)積極的に信じて居なかったのだが、このマッテオ様の反応を見るとその噂もあながち間違いでもなさそうな気もしてくる。
「ルルシャント卿が言うポンコツは知りませんが、クラウス様がエピナス様をお呼びです」
そう言ってルイス様は金の瞳を私へ向けると頭を下げる。
今までほぼほぼルイス様と関わりがなかったのでまじまじと彼を見たことがなかったので私は気付かなかたのだが、彼の態度自体は柔らかいのだが、彼の瞳は冷ややかだった。
いや、冷たい、というよりも涼しげというか、柔らかい態度と裏腹に表情だけでは彼の感情が全く読めないのだ。
「...分かりました。クラウス様がお呼びならば行かない訳には行きませんので、本日はここで失礼致します」
感情の読めないルイス様に一瞬気をとられ、ワンテンポ遅れながらも返事を返し、マッテオ様に礼をする。
「王子様からの呼び出しじゃ仕方ないね、また逢えるのを楽しみにしてるよ」
マッテオ様は肩をすくめてそう言ったあと、私の頬に挨拶代わりの軽い口付けを落とした。
「マッテオ様、人前です」
やめろと言いたくてそう呟けばマッテオ様はちょっと意地悪そうに笑うとウィンクを投げてくる。
「俺の婚約者ならこのくらい慣れないとね、レイバン」
キミもそう思うだろう?とでも言いたげに、私を通り越してマッテオ様がルイス様に声をかければ、ルイス様は難しそうな表情を浮かべた。
「アハハ、キミはそう思うの?いいよ、仕方ない。レイバン、キミに免じて今日はセリカを諦めるよ。セリカ、王子をあまり待たせるのも良くないし、行っておいで。絵の事はまた後日、ね」
何かを一人納得して笑いを溢すと、マッテオ様はそう言って私の背中を軽く押す。
二人きりの時にしか呼び捨てにされないので少し驚きはしたが、私はマッテオ様に頷くと、彼に送り出されながらルイス様を引き連れバルコニーを離れた。
ルイス様やっと登場!でも無口! 笑