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言葉を閉ざす時

連続投稿!

や、筆が乗りまして




「それで、もう一度確認するけど、何故セリカは市場に居たのかな?」



あの馬に轢かれそうになる事態からなんとか生還(ルイス様が助けて下さりました)し、あまりの恐怖に失神したフィリア様をクラウス様の部下の方が送り届け、私はクラウス様の馬車に乗りながら取り調べを受けている最中だったりします。



「...ですから、何度も申し上げましたように、クラウス様が市場に現れるという噂を耳にして、フィリア様とお忍びで伺っただけです」



もう三度目になるやり取りをしながら私がそう話すと、クラウス様は笑みを深める。



「セリカ、質問を変えようか、何故、キミはフィリアと居たのかな?」



「...その質問の意図が分かりかねます」



「質問の意図をキミに話す必要性があると思うかい?」



「では、私がその質問に答える必要性は無いと思いますので、回答を控えさせて頂きます」



お互い笑顔なのに流れる空気は寒々しい。



「キミは矢面に立って欲しいと話したこちらの意図を理解しているものだと思ったけど」



穏やかな口調でクラウス様はそう話す。



「ええ、ですが、理解していても気持ちはどうにもなりませんわ。それにこれくらいで何か変わる事があると思いますか?」



「...そうだね、変わらないかもしれない、だからこそ怒っているんだけどね」



いや、怒っているのは知っているけれど、それと私とは、



「関係無いと思いますが」



つい、思った言葉が口から溢れてしまったと思う。

今のは明らかに私の失言だ。



「セリカ、」



ピリリとした空気の中クラウス様に名前を呼ばれる。

空気はピリリとしているのに彼の口調がやけに丁寧で甘さ程感じる程で、なんだか身の危険を感じる。



「なんでしょうか?」



この異様な空気の恐さに負けないように気を張りつめて睨むようにクラウス様を見たら、毒気の無い笑顔でにこり、と微笑まれる。




え、と思った次の瞬間、私の頭に警報が鳴り響いたけれど、この狭い馬車の中では役に立つことは無くて、抵抗する間もなく私は呆気なくこの王子様に捕まったのだ。




「...」



「...」



腕を引かれて、気付いたら抱き止められていて、クラウス様の上に乗り上げるような体勢に、30cmも離れて居ない距離、私の頬に添えられている手。



「キミの事は何一つ、俺の思い通りにならなくて、腹が立つよ」




瞳を覗かれながらそう囁かれて、私は無言でクラウス様の手を払い除けると、とうの昔に歩を止めていた馬車から降り出て、自身の屋敷へと走り込んだ。




クラウス様の碧眼がやけに視界にこびりついて、今夜は寝ずに夜を明かしそうだ。




もう一話書きたい!

けれど明日も仕事だから寝ないと、ヤバい!

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