表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

プロローグ:賢者と魔女

どこかで聞いたことがあるタイトルだなあと思ったあなた。はい、あれ(の異世界版)です。完全不定期連載です。

 私の名前はアオイ。数か月前までは、冒険者になりたての、どこにでもいそうな16歳の田舎娘、という風体だった。


「今回の成果も素晴らしかったよ、『流星のアオイ』」

「ありがたき幸せ。で、ですが殿下、その二つ名は恥ずかしいので…」

「あはは、そうだったね。でも、ワイバーンの群れを炎の槍で瞬殺した君にふさわしいのでは?」

「お戯れを…」


 それが今は、この国、神聖レグリシア帝国の皇城の謁見の間にて、皇子のミリオン殿下より、ねぎらいの言葉を受けている。


「さて、今日も慰労会には出席しないのかい?」

「は、はい。堅苦しいのはどうにも…」

「わかった。じゃあ、この後、僕の部屋でお茶でも飲もうか」

「ありがとうございます」


 ミリオン殿下―――ミリオン・ラーク・ド・ハイドス。神聖レグリシア帝国の第三皇子。


 弱冠12歳ながら、国政の多くで数々の功績をおさめた天才。近隣諸国との和平や農地改革など、その影響は計り知れない。ただし、この皇子が表舞台に出たのは、やはり数か月前からなのであるが。


「賢者の皇子に、魔女の冒険者。稀代の英雄が同時代に相まみえるとはな」

「ああ。数か月前まではそんなこと信じられなかったな」

「しかも、年齢も近い男女…。皇子が公国領を興し、魔女を妻に迎えることもありうると聞くぞ」


 皇子の部屋に向かう途中で、皇城内の家臣たちのささやき声が聞こえてくる。『聴覚強化』は今日も絶好調だ。


 けれども、その噂の通りには絶対に(・・・)ならない。なぜなら…。


「じゃあ、ユーリ。僕はしばらくアオイと部屋で話をするから」

「かしこまりました」


 ミリオン皇子お付きのメイドであるユーリが、お茶菓子と飲み物をテーブルに置き、お辞儀をしてから部屋を出ていく。


 バタン


「はー、疲れたー。やっぱり一人二役(・・・・)は面倒だよー。『幻影解除』」


 ふっ


 私の近くにいたミリオン皇子の姿が、すっと消える。


「ユーリはしばらく部屋に来ないし…このまましばらく寝てよっと」


 ぽすん、と部屋のベッドで横たわる、私、冒険者のアオイ。


 ―――まあ、本当の『僕』は、第三皇子のミリオンなのだけれど。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ