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1話 絶望しながら生まれてきた……

夏のホラー2019

 私たち夫婦は結婚して5年間、子供が出来ませんでした……。

 二人共が子供を望んでいましたので、病院へ行き、先生に子供の出来にくい体であると告げられました。夫と話し合い、不妊治療を受ける事に決め、一年……。

 痛みや不快感に耐え、私たちは比較的早くに子供を授かる事が出来ました。

 それから安定期に入るまでも辛いものとなりました。流産の危険があるということで、絶対安静。一歩も家から出ることが出来ませんでした。

 そういうこともあり、私はお腹の中の子供のことが、他の事を考えられないくらい愛おしくて仕方がありませんでした。この子がいなくなったら生きていけないというくらいに……。

 そして、予定日1ヶ月前になり、私は実家に帰る事になりました。実家の近くの病院で出産する為です。その病院は、私が生まれた病院でもありました。


 実家での生活は、両親のいる安心感もあり、それまでよりリラックスして過ごす事が出来ました。疲れているだろうし良いと言ったのですが、夫も休みの日には必ず会いに来てくれました。


 そして、出産当日……。


 オギャアオギャア……。


「かわいい女の子ですよ。」


 看護師さんが生まれたばかりの赤ちゃんを私の側に連れてきてくれました。私が赤ちゃんを見ると、赤ちゃんは泣き止んで口をパクパクさせていました。

 看護師さんは、


「お母さんとお話がしたいのかな?」


 と笑って言いました。

 私は、喋るはずのない赤ちゃんが何を言っているのか気になり、耳をすましました…。


「……かった。……で……なかった……。」


「……っ!!」


 ……私は凍り付きました。私には分かってしまったのです。それは、生まれたばかりの赤ちゃんが到底言うとは思えない言葉でした。

 あの子は私に向かって、何度も何度もこう繰り返していました……。


「産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった。産んで欲しくなかった…… 」


 私は目の前が真っ暗になっていくのを感じました……。



 その後、先生と二人で話す機会がありました……。


「この病院では良くあるんですよ……。」


 先生はそう言ってニッコリと微笑まれました……。

 先生が言うには、この病院の近くには黄泉の国の入り口と言われている洞穴(ほらあな)があるそうです。もしそこから来た魂がお母さんのお腹に宿って赤ちゃんとして生まれて来てくれるのなら、黄泉の国と近いこの病院で生まれた赤ちゃんは、まだ向こうの世界を覚えているのかもしれないね……とも。


「……先生、私はあの子をちゃんと育てられるでしょうか?絶望しながら生まれて来たあの子を……。」


 先生は、不安な私を(いた)わるように優しくこうおっしゃいました。


「大丈夫ですよ。あなたのお母さんは、あなたをこんなに立派に育てられたのですから……。」


 先生の言葉を聞いて私は思い出しました。


 そうだ……。

 私も絶望しながら生まれて来たんだった……。

明日、明後日と投稿して全3話で完結させます。

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