村人とギルド
難産っていうか当初と方向性若干変わって来てしまいました。
やはりきっちり構成をするべきですね
あと、ガルパンはいいぞ
数日前の出来事を思い出し道のど真ん中で呆けていたが、今度は自分の今の状態を思い出してげんなりする。
あの後、新たな夢に背中を押されいてもたっても居られなかったナギは、次の日の朝早く、今までコツコツと貯めていたわずかな金といろいろ教えてくれた元冒険者のお下がりの鎧と剣を引っ提げて一番近くの街へと直行したのだった。
しかし、田舎の村でせっせと集めていた金では旅どころか街に滞在することさえままならない。
そこで、これからの事を考えて冒険者登録をすることにした。
冒険者は、ギルドという組合に登録することでなれる身分で、様々な国や街や施設でも冒険者の登録証が身分証としても使える。
そして、ギルドとは個別に仕事を持ってくる依頼主にギルドに所属している冒険者を斡旋する場所である。
依頼主も冒険者も仲介される第三者を置くことにより、仕事に責任と信頼が持てるような仕組みだ。
さらに、仕事の達成率や達成した仕事の種類や数などの冒険者の情報も管理しており、個々の冒険者にランク付けすることでより円滑な仕事の斡旋をできるようになっている。
ランクの高さは信頼度の高さに他ならないというわけだ。
ギルドへの依頼は様々で、いなくなった動物を探してくださいみたいなものから軍や騎士が出張るよな魔物や悪魔の討伐まで多種多様で、難しければ難しいほど報酬も跳ね上がる。
成功を積み上げて難易度の高い依頼を達成して億万長者という夢を見ている冒険も少なくない。
そんなわけで、今日を生き抜き明日を豊かにするためにナギもせっせと依頼をこなしていたのだ。
しかし、駆け出し冒険者であるナギができる依頼などたかがしれていて……。
「あーもう無理だ。このままじゃ冒険者っていうより配達員だよ……」
近場ででき、かつ新人にできる探し物の依頼の中で他より報酬がよかったものを説明を読み飛ばして受けたのがこのざまだ。
「どうすんだよ、もう十日目だぞ。このままじゃ本当に臨時配達員になっちまうよ」
別に超有名冒険者になりたいわけではない、いやちょっとは憧れたりかっこいいなーとかあるけども……。
ただ、これはない。村にいたころと変わりない完全に雑用係。
金に関しても日々ギリギリの生活、むしろ貯金を少しずつ切り崩してさえいる。
初めての街だし慣れる為にもと思っていたがそろそろ次の段階に行くべきだ。というかいかないと金がなくなる。配達員に永久就職してしまう!
明日だ……明日、討伐系ないし最低でも街の外での依頼をこなしてみよう!
♦
「え! ナギ君も遂に討伐依頼を?」
ギルドに着いて早速相談をすると、半ば配達員と化していたため受付のお姉さんに驚かれた。
この人は低ランクの冒険者のサポートメインの方で、シルヴィアさんという茶髪の頼れるお姉さまって感じだ。
「ああ、そうだな……」
「ふふ……。遂にナギ君も外の依頼ですか。若い新人さんは最初に無理に討伐とかに行って鼻をへし折られる子が多いから中々言ってこないのでめずらしい子だねって話してたんですよ」
そういいいながら手元の書類と魔道具の端末をいじる。
この端末がそれぞれの冒険者ランク証明証とつながっており、個々の情報を管理しているらしい。
やっぱ街は魔術に溢れてて便利だなぁ……。
「あ、これならいいかも!」
そういってシルヴィアさんが依頼内容を教えてくれた。
森の中にある薬草の採取で、最近このギルドでポーションを販売している魔術師の依頼らしい。その依頼人の彼ともう一人神官の男と俺三人で依頼をこなすことになった。
二人に連絡を取ってもらい、ギルドの中の椅子に座って待つ。
にしても、どんな感じなんだ……。二人とも俺と同い年でなおかつ最近冒険者になったらしいけど……。
やっぱあれか、同い年の冒険者だしこう舐められないようになんかこう圧力かけていく感じか?それとも基本に忠実に丁寧に行くべきか?
くっそ……全然わからん。そもそも立って待つべきなの? 座って待つべきなの?
というかめっちゃ嫌味な奴だったらどうしよう……。親父も都会の魔術師と女は高圧的だって言ってたし……。
グルグルと頭の中で回りだす。
というか緊張してもう気持ち悪くさえなってきた。
なんかお腹も痛くなってきたし、あれ? これ体調悪いし見合わせたほうが良くない?これは今回はあれな奴でしょ。
……の……ませ……。
ああ、やばいちょっと便所行ってこようかな。なんかゴロゴロいってるし。
……あの……みませ……。
やばいよこれちょっと頭痛いしなんかこう熱っぽいもんなんというかここまで見知らぬ人と冒険をしに行くことが緊張するとは思わんかった。自分の思わぬ弱さに俺自身が一番びっくりだよ。そういや、口乾いてるけど声でるのかこ。
「あの! すいません!」
「んひぃっ!」
そこそこ大きな声を耳元で出されてびっくりして思わずのけぞってしまった。それにわけわからん声も出た。
「え……?」
顔を上げると眼鏡の女の子がいた。ゆったりしたローブを着ていて深めの青い髪を肩口につくくらいでそろえており目がくりくりしてて小動物のような印象を受ける。
その後ろに背が高めで短い髪でがっちりした体格の僧侶がいた。たぶん戦う僧侶の武僧というやつではないだろうか、怖いわけではないが独特の圧力がある。
二人とも驚いた俺に対してさらに驚いていている。最初の出会いとしてはまずまず最悪の系統の出会いだろうな素晴らしいわ。
しかし、そのまま三人で止まっていても仕方ないしそもそも気まずい。先手は取られたけど今度はこっちで主導権をとっていくしかない。まずは咳払いでこの凍り付いた時間を動かす。
「悪いな。少し考え事をしていた。それで何か用か? 俺は暇じゃないんだが」
一息で相手の目的と自分が急いでる事を伝える事により早めに会話を切る高等戦術だ。これはこの町でアホみたいに配達を頼まれたときに編み出した技だ。さらに、ここに少しとっつきにくい感じを出すことによってさらに謎めいた感じを加速させる。第一印象の情けなさを払拭するために少しでも足掻く。
というかいきなり喋りかけて来て、しかもなんか可愛い系の女子っていうのが卑怯だと思う。だって緊張するし。
この事件を機にこのギルドの女性陣になんか喋り方気持ち悪い新人いるんだけどって言われだしたら立ち直れない。
さて、この二人の目的はなんなんだ?
「はい、あのナギさんですよね? 僕の出した薬草採取の依頼をこちらのミッドさんとナギさんが引き受けてくださったとお聞きしたのですが」
「ああ、俺だ……。そうか、お前らが一緒に行くふた……。」
言いながら思う。あれ? そういや俺が一緒にいく二人って確か。
「あれ? 男?」
やはり町は村と全然違うわ。