プロローグ 「死という名の味わい」
どうも……こんにちは。月石椛(中身は謎の鉄道マニア)です。
この小説は……主人公が異世界召喚されて……魔王を倒すような話です。
主人公には「常にリザオラル」という固定スキルが付与され、冒険が繰り広げられます。
プロローグ「死という名の味わい」ですが、主人公が「常にリザオラル」という能力を知る前に、危機的状況に侵され、結局的にはやられてしまう。という設定ですが、プロローグ以降の話では続きます。
――――ザクッ
不気味な刃音とともに、彼の身体は薄墨色の床にゆっくりと崩れ落ちた。
幽閉された部屋の中、氷のように冷たい床。極端に寒い。
徐々に体力が失われていく。
――――ん?
うつ伏せの状態で、立つことが出来ない。
一様、身体自体は動かせる状態なのだが、筋肉が麻痺を起こしているため、容易には動かせない。
しかし全ての筋肉が麻痺を起こしている訳ではなく、手足の筋肉は辛うじて生きていた。
――トトトン……トトン……トトトン……トトン……。
部屋の端から、物音がする。
物音の後、謎の足音が聞こえたり、聞こえなかったりと不規則な動きが感じ取れる。
「まだ生きてたのね。恐ろしい悪魔さん」
「生きてるなら、殺さなくちゃ。殺さなくちゃ」
暗闇から、怪しい子供の声が響いてくる。
――――うっ
突然、彼の腹が悲鳴を上げた。
腹痛並みの痛さではなく、腹を切られた様な痛さ。
彼は耐えきれず、身体を縮め腹を手で抱えた。
――――嘘だろ……。
手を腹に置いた瞬間、自分がどういう状況下にあるのかハッキリしてきた。
“短剣が腹に刺さっている”という状況。尚且つ、血が溢れている。
普通の人ならば、出血多量などでショック状態に陥り意識が無くなり、大半の人が死へと向かうという恐ろしい話だが、彼はまだ意識がある。
――――貧血なのに……。
意識は残るものの、一つ問題が生じた。
実は彼、貧血なのである。
勿論、貧血の人が大量出血したら、健康な人が大量出血したレベルでは済まされない様な一大事に発展してしまう。というか、生死に関わってくる話かもしれない。
「見つけた、悪魔ちゃん、殺してあげる」
暗闇から一人の少女の影が現れた。
頭に2本のツノを生やし、口には小さな牙。“鬼“という感じではなく、“夢魔“に近い様な感じの少女だった。
――――逃げないと……逃げないと……逃げないと。
彼は脱出を試みる。
が、既に手足の筋肉は麻痺し、その場から完全に動けなくなった。
「死になさい、悪魔ちゃん」
少女の一声と共に無数の矢が彼の身体に突き刺さる。
遠ざかる意識の中、遠ざかる少女を目でひたすらに追う。
何も反撃も出来ずに、人生を終えるのか。なんというか、辛かった。
薄れる意識の中で、 自分は死んだと確信した。
最後まで、お読みありがとうございます。
スラーって書いたので、少し内容が“ヘン”かと思いますが、後日、修正を兼ねまして改めて改稿した文章を出そうと思います。
では、第1話でまたお会いしましょう。さよなら。