破壊神の学園入学
春、それは新しい季節。
春、それは始まりの季節。
春、それは新たな出会いの季節。
春、それは桜という美しい木が満開に咲く季節......
この世界に転生してから早16年。我は高校生になった。
前にも行ったように、この世界では普通16歳になれば高校に入学する。そしてここ日本には数ある高校の中でも有名な高校が2つ存在する。
一つ目は京都の鳳凰学園、そしてもう一つは東京にある麒麟学園である。
この二つが主に有名であるが実質他の高校とはあまり変わらない。ただ他の高校よりも少し優秀という感じだからだ。
......なぜ我が今この話をしているかって?それはこの二つのうちの一つ、東京の麒麟学園に入学することになったからである。
なぜなのかというと.......
数ヶ月前
「さてと、高校どこにしようか。」
「あっ、それがたっくんの高校はもう決まっているのよ。」
「はああ!?えっちょっと待ってそれどういうこと!?」
「それが私の息子ということで私の母校以外いくことができなくなっているみたいなのよ。本当にごめんね。」
「......えっ、それって結構陰謀の匂いがプンプンするんですけど。てか母さんのせいなの?」
「そうなのよ。正直学生時代にいろんなところでやらかしたこと以外身に覚えがないんだけどねえ〜。」
「それカーーー!!というか私は母さんの母校以外全ての高校からNGもらってんの?本当何者なんだよあんた!?」
......というふうなことがあり現在、我は今麒麟学園の真新しい制服を着てベンチに座り、美しく満開に咲く桜の木を現実逃避しながら眺めていた。
我これでも生前、異世界の破壊神だぞ?滅多なことでは驚かないと自分でも思っていたがこの世界に転生してからは未知と驚きのオンパレードである。
まあその未知と驚きも心のどこかで心地よく感じているのであるが。
我がそのように考えながらぼーっとしているとそこへ.....
「いた!ちょっと拓良探したわよ。こんなところでなにやってんのよ!?」
という声が聞こえてきた。
そちらを視線だけ移してみるとそこには風季が我のところに早足できていた。
風季はこの数年で随分と心も体も成長した。
身長は伸び、足もスラリとして胸もちゃんとふくらみもあり、鮮やかな黒髪をサイドテールにし、顔も幼さが抜けすっかり大人びた雰囲気になっていた。
あの頃の無邪気で元気な時の風季が今では懐かしい。そして我と同じ麒麟学園の制服を着ていた。
因みに我の容姿はというと、白い半袖のポロシャツに下は黒い制服のズボン、長めのくせ毛は伸ばし後ろで紫の髪紐で短めのポニーテール。
顔はこの世界では比較的平均な方だと自負している。
身長はあまり伸びていなく、今では風季の方が我より少し背が高いのだ。
そして心はあまり変わっていない。
いや、赤ん坊の頃から500を超える精神年齢なのにこれ以上どう成長しろと?
「どうした風季?まだ入学式には早いんじゃないかい?私はここで現実逃避をしていたところだよ」
「なに変なこと言ってるのよ。それよりも準備しなさい、私は学年総代のスピーチがあるから遅れないようにしないといけないから今から会場に向かうのよ」
「.....なぜ私も今から行くの?私は学園側から早く来いなんて言われてないぞ?」
「いいから一緒に来る!ほら、随分と学園に向かってる人もいるじゃない。五分前行動よ」
「まあ、確かに五分前行動は大事だからな。私もそろそろ気持ちを切り替えるとしよう」
と、言って我は立ち上がり、風季と共に学園へと向かう。
.....そうしてあっという間に着いた麒麟学園。
まだ入学式までだいぶ時間があるがそれでもわれらと同じ1年生は結構集まっているな。
ちらほらと誘導している先輩もいるみたいだし早く着いて正解だったようだ。
「しかし高校になると武器を所持出来るとはいえ、入学式から所持するかね普通。座るとき邪魔ではなかろうか?」
「みんな気が高まってるんでしょ。私は入学式には自分の武器を持ってこいって言われたけど。」
そう、高校からはなんと自分の使う武器や道具を普段から身につけておくことができるのだ。
ふむ、やはり長い得物を持っているものが多いな。
そんな風に我が眺めているとちらほらとこちらを見る者が多いことがわかった。まあ、我ではなく隣の風季に向けてであろう。美少女といって問題ない外見だしな。
「なんかこっちを見る視線が多いわね。」
と風季は居ごごち悪そうにしているが。
因みに風季の腰にあるのはわずかに反りがある黒塗りの片刃剣、刀である。
我も生前の世界で刀を見たことがある。確かそいつらは『侍』なんて呼ばれてたな。
「それはそうだろう。お前の容姿はいい意味で目立つからな」
「......一応、そういう風に思ってくれてはいるのね、ちょっと安心したわ。というか目立っている方といえばむしろあんたの方だと思うのだけど。何も装備してないのあなただけじゃない?」
そういえばそうだな。
我は主に自分の武器を空間魔法で別次元に収納しているので別に目の見えるところに持っていなくてもいい。
だがそれだと、いろいろと舐められると母さんから言われたけど気にしてはいない。
興味津々の視線が多いような気もするがあまり気にしないようにしよう。
なぜか風季の機嫌が悪くなっているが。
この後、我は風季と別れてから入学式の会場へと向かった。我に対しての視線が増えたようだけど.......。
そして入学式が始まり、風季が壇上に立ち立派に学年総代のスピーチを終えた後、学園長である老人の話が始まり、
あっという間に入学式は終了した。
そして現在、我は振り分けられたクラスの自分の席に座っている。風季とはクラスが分かれたようで、我は1−B、
風季は1−Aであった。
我が席に座りながらこれからのことに思いを馳せていると、先生が入ってきた。
「今年よりお前たちの担任になった響慶一朗だ宜しく。」
そう言ったのは筋肉質で、がっちりとした体つきのいかつい顔が目立つ男性教師だった。
どうやらこの男がわれら1−Bの担任らしい。さらにこの男、我から見てもかなりの実力者だと伺える。この学園の教師たちは皆結構な戦闘能力を身につけているだろうと我はこの瞬間に確信したのだった。
我がそんなことを考えていると担任の響先生は我々1年生に向けて
「んじゃあ、さっそく自己紹介と行くか。順番に紹介してけー。」
と言う。結構フランクな感じの先生だな。
そうして自己紹介が始まる。名前と能力、そして自分の得意な魔術と武器を言っていくらしいが能力は言っても言わなくてもいいらしい。
そして我の出番が来る。よしここは普通に行こう。もちろん能力は言わないが。
「初めまして、狭間拓良と申します。魔術はほぼ全般使え、武器も様々なものを扱います。これから1年間、よろしくお願いします」
と自分の紹介を終える。よし、上手く言えた。
我はそう心の中でつぶやきながら、自分の席へと戻る。するとチラチラと好奇の視線が来るのがわかったが、こう見えて我は元破壊神、そういう視線は気にならない方である。
そのとき先生と目があった。先生は我の事を驚いたように見ていたが、我に返ったのかホームルームを始める。
さてと。この学園に入ったからには頑張らないとな。学食楽しみだなあ。
こうして我の学園生活が幕を開けたのだった。
また読んでくれると嬉しいです。
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