破壊神のご到着
長いです。
遡ること一時間前.......
風希がまだ帰っていない その言葉を聞いて我は自分がミスを犯したことに気づいた。
この男たちはなるべく能力が強力な子供をさらっていたと言った。
ということは前もってここら辺の子供たちのことを調べていたということになる。その中に風季も入っていたのだろう。
確かに風季の能力はそこらの子供にしてはなかなかのものだ、こ奴らが目をつけるのも不思議ではない。
我は自分の失敗を再確認してから改めて母さんにいう。全く、これをいきなり使うことになろうとは......
「母さん、実はこういうこともあろうかと念のため風季にもう一つの通信魔道具をもたせてあるんだ。それで風季の居場所を探してみるよ。」
「わかった、それじゃ母さんは風希ちゃんのお母さんに説明しておくから何かわかったら言いなさい。」
「りょうかい」
我は通信を切り、すぐさま風希の持つ魔道具に向けて探知を開始する。
......そしてすぐに居場所を確認した。
どうやらここからずいぶんと離れた場所に風季は連れて行かれたらしい。
我はかあさんにそのことを伝えてから急いで『時空魔術』で転移する。転移する際、母さんが慌てて待ちなさいという声が聞こえたが今は急ぐ必要があるので聞こえなったふりをしよう。
着いた先は人気のあまりない、古びた建物から数メートル離れたところであった。
おかしい、我は風希のすぐそばに転移しようとしたのだが建物の中に入れていない。
だがその疑問はすぐに解消した。建物の周囲を見てみれば妨害の魔術らしきものがかけられているのがわかった。あと認識阻害も。
これらのせいで転移する位置を我はずらしてしまったのだろう。まあ普通ここを通りがかった者は誰も気づかないようなのだが元破壊神の我はすぐに気づいたので良かった。
我は建物の壁に近づいて透視の魔術を発動する。この魔術は壁などを通り越して中を見ることができるのだ。
......因みに生物は見ることはできないので安心してほしい。なので我をそのような変態に向けるような眼差しで見るのはやめろ。
そんなことを思って中を覗いてみるとそこには拘束された子供達を複数の大人たちが囲み、そして手に持った剣で一斉に振り下ろそうとしているところであった。
「cm;$$#%#"$%$%$''!!!???んjkんck&&!?」
我はとっさに子供たちに向けて遠隔操作で『障壁魔法』をかける。魔法は寸分違わず発動し、子供たちを剣から守りきる。
あっ、あっぶなー。思わず変な声が出てしまった。
みればいきなり現れた障壁に中にいる全員が驚いている。
その瞬間に我は『獄炎魔法』で壁に穴を開け、そこから突入する。
錬金魔術でも壁に穴を開けることはできるのだが、我はあえてそれをしなかった。理由は二つ、一つは変なやつらの注意を我に向けさせること。
一言二言我が狂信者たちに言うと案の定、子供のように怒った。
全く哀れなことだ、図体だけでかくなって中身が子供のまま成長しちゃったんだね。
「貴様ら......私の幼馴染やクラスメイトを殺そうとして......覚悟はできているのであろうなああああああああ!!!」
最後にそう締めくくる。
いきなり爆発したところから我に散々な物言いをされ、ブチ切れていたがリーダー格の男が冷静になり、仲間を落ち着かせる。
「ふんクソガキが言いおって。とはいえその爆発の能力は強力だ、儀式の邪魔をしたのだ、貴様も悪魔召喚のためにその命をささげるとしよう。」
さっきの魔法を能力と勘違いしたらしい。それはいいとしてだ、
「そちらが私を捕らえて殺そうというのなら......」
「さあ者共、そいつを殺せ!」
「正当防衛ということでこちらも手加減はしない」
我は、最初に襲いかかってきた者数人に向けて『迅雷魔法』を放つ。
緑色の雷は数人の奴らに当たるとその者たちはひとしきり痙攣した後、そのまま床に倒れた。
さっきの魔法だけしか使えないと思っていたのであろう。
我が緑色の雷を放って数人を一瞬で完封したことに呆気にとられている間に、我は『風塵魔法』をまとって雷を放ち、次々と気絶させていく。
「このクソガキがあ!燃やしてやるよおお!」
一人の男が魔術で炎を我にはなってきたので我はその炎ごと男を『極寒魔法』で氷漬けにした。
「こ、この野郎!一体いくつの能力を使えるってんだ!」
「違う、まさか魔術か!?この歳で魔術を使えるのか」
「子供一人に慌てるな!魔術だというのなら囲んで魔力切れになるまで絶え間なく打てばいい!」
ふん、我が魔術を使っているということに気づけたことは褒めてやるが、我が貴様ら程度に魔力切れを起こすわけがないだろう。
狂信者たちが我の周りを囲み、消し炭にしようと特大の魔術や能力を放つために魔力を貯め始める。我はその間に、子供達が衝撃の余波を受けないよう障壁結界を強める。
「拓良くん!」
風希が不穏の気配を感じてこちらを不安そうに見てくる。
我はそれを安心させるようにウィンクする。
我が障壁結界を頑強にしたのと敵が魔力を貯め終わるのはほぼ同時だった。
「さあ終わりだ!灰になれ!!」
「そいつはどうかな!」
多種多様な砲撃が放たれると同時に我は、竜化し、魔力を込めて解き放つ
『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!』
我の竜の咆哮はそれだけで衝撃波となり、こちらを消し炭にしようとしたあらゆる攻撃を飲み込むどころか、周りを囲んでいた者たちすらも吹き飛ばす。
被害はそれだけにとどまらず、小屋を内側から破壊した。
狂信者たちは森の中に死屍累々と転がっており、逆に子供たちは我の障壁結界のおかげで傷一つ付いていない。
「う、うう」
という苦悶の声が聞こえたので振り返ってみると、あのリーダー格の男が見るも無残な状態でかろうじて残っていた小屋の柱に寄りかかっているところだった。そして我の姿を見て驚愕する。
今の我の姿は緑と金の瞳孔が縦に割れたオッドアイ、頭から青い角を生やし、背中には黒銀の鱗に包まれた竜の翼が生えている状態である。
さながら本物の悪魔に見えたことだろう。
「おーやおや、あれだけ私のことをガキガキ言っていた割にはたいしたことないのう」
と、我が満面の笑みで言うと、男の表情が怒りで真っ赤になっていく。
「この、化け物がああああ!!」
リーダー格の男は激昂しながら剣で斬りつけてきた。
その剣筋はなるほど、頭のイカレた者共をまとめていただけはある。
だがしかし、我にはそんな物通用しない。何故なら元いた世界でこいつを超える剣士と死ぬほど戦ってきたからだ。
男の剣は我の首を切り飛ばそうとして、首の所に生えた鱗によって弾かれ我が振るった鉤爪の一撃で根元からポッキリ折れた。
折られた剣は弧を描いて夜空を舞い、そしてカランと音を立てて地に落ちた。
そこで、リーダー格の男はやっと自分の立場を理解した。
「ま、待て、待ってくれ。話せばわかる、私の話を聞け」
とふざけたことを言った。
「話せばわかる?私の友人たちを殺そうとしておいてか?ふざけるのも大概にしろ!!」
そう我は言い放ち、男の後ろの柱も鉤爪で粉砕する。
柱が音を立てて崩れ、男はそれを見て自分が殺されると思ったのだろう、「ひっ」と言いながらその場に崩れ落ちた。
それを見た我は邪竜化を解いた。
「たっ、たすかっ..... 」と、男が言い終わらないうちに我が指先から放った光線に貫かれた。
気絶しただけなので死んではいない。
我は男が気絶したのを確認してから子供達にかけている『障壁魔法』を解いた。
ざっと見たところ、全員怪我はない。
それを確認してから子供達の手首などを拘束している縄を指を鳴らして『風塵魔法』で切る。
自分たちの拘束が解けたのを確認し子供たちは次々と騒ぎ始める。全員我の方をチラチラと視線を向けてきている。
我はとりあえずこれからどうしようか悩んでいるとそこへ、「拓良くん!」と言いながら風季がかけてきて抱きついてきた。
「ごわがっだ、ごわがっだよう」
「おお〜よしよし、すまなかったな助けに来るのが遅くなって。もう大丈夫だからな〜よしよし。」
.......なんか、まるで怖い夢を見た孫をあやしているおじいちゃんだな。
まあ実際我にとって風季は年の離れた孫としか思っていないのだが......
それは置いといて我は風季以外の子供たちに向けて『精神魔法』をかけて眠らせる。騒がしかったからといってちょっと強引な気もするが。
「さて、本当にこのあとどうするか。いっそ全員転移させようか」
「その必要はないわよ」えっ?
いきなり後ろから声が聞こえて慌てて後ろを見てみると、そこにはなんと母さんがいたのだ。我はそれをみて風季も気づいたのか「おばさん!」と言って母さんに抱きついた。
「風季ちゃん頑張ったわね。でも、もう大丈夫よ」
と、言うと風季はまた泣き始めてしばらくすると泣きつかれたのか寝てしまった。そして母さんは風季を地面にゆっくりと下ろしこちらに向き直り我に近づいてくる。
そしてパアーン、と我の目でも追いつけないほどの勢いで頬を叩いたかと思うと次の瞬間には抱きしめられていた。
「心配したでしょう!たっくんは強いかもしれないけどもしものことがあったらどうするの!」
母さんは我の実力を知っている。それを知った上で我の事をこんなに心配してくれているのだ。
そのことを認識するとなぜか申し訳なく思ってしまった。ここは素直に謝ろう。
「心配かけてごめん母さん。そして来てくれてありがとう。」
「本当にわかっているの?もう一人で解決しようとしない?」
「ああ、次からは気をつけるよ。」
「そう、ならいいわ。怪我もしてないようだし。じゃあ後は母さんに任せなさい」
と言って母さんはスマホ(この世界の通信道具)を取り出すと何やら作業し始めた。
......そのあとのことを簡単に説明すると、まず警察などがたくさん来て狂信者たちを拘束したり、子供たちを家に返したりといろいろあったが何とか事件は無事終息した。
そしてその警察たちにいろいろと指示していた母さんの謎はますます深まった......
というか我の気配探知にも引っかからなかった母さんて本当何者?
そして風希を家に送り届けた。風季の両親たちに我は何度もお礼を言われたのであった。帰り際.....
「拓良くん!私も拓良くんみたいにもっと強くなるよ!」
と何やらやる気に満ちていた。まあ自分の身は自分で守るというなら我も楽ではあるがな。
そして現在、我と母さんはというと.....
「えっ!今日の夕飯まだ作ってないの!?」
「そうなのよ。あれからすぐにたっくんのところに行ったから。一応鍵は閉めてきたけどね。だから今日はどこか外で食べるのはどうかしら」
「おおそれは素晴らしい!ならば近くに出来た私が一度行ってみたかったラーメン屋に行こう!」
「食のことになるとたっくんは抜け目ないわねえ」
ラーメンはとても美味かった。
因みに我は醤油ラーメン、母さんは塩ラーメンだった。
次からは主人公が高校生です。また読んでくれたら嬉しいと思います。