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元破壊神の現代世界(異能に溢れた)転生記  作者: キタムー
麒麟学園
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狂信者たち

今日も長いです。

 「ほう、ということはやはり最近の誘拐事件はお前達の仕業であったか。ならば誘拐した子供とその子らが今どこにいるのかを簡潔に述べるのだ。」


「はい、ここから3キロ離れた森の中の大きな小屋で、雇い主たちに引き渡してます。それとおしっこしたいです」


「知るか」

 

 今、我は男から情報を聞き出している。そして男は我がした質問に対して素直にハキハキと答えている。


どうやっているかというと、我はこの男の頭に『精神魔法』をかけているのだ。


 『精神魔法』は、その名の通り相手の精神に干渉して幻影を見せたりする魔術である。今、男にかけているものは主に質問したことに対して素直に、覚えていないことも喋らせるものである。


......ただ、この魔術は『精神魔法』の中でも比較的弱いものなのだが、やりすぎると今後の人生すべてにおいて正直に喋るようになってしまい、嘘が全く吐けなくなるという一歩間違えると人生が社会的に終わる魔術なので、良い子は真似しないように。


 しかも、精神魔術ではこれが一番効果が弱いものなのでその他のものは全て一歩間違えると傷心したり、トラウマを植え込んでしまったり、最悪の場合廃人になってしまうので良い子は本当に、決して真似しないように。


 さて今回の犯行だが前述の通り、最近の誘拐事件はやはりこいつらの仕業であった。


だが真の黒幕ではなく、こやつらは雇われた傭兵団の工作員らしく、ただ仕事で子供達をさらっていただけのようだ。

 

 それに、誘拐した子供はたくさんいるらしいのだがその子供たちの居場所まではわからなかった。


 どうやらさらった後、指定された場所へ行き、そこで顔を隠した雇い人に会って、そのまま渡したらテレポート(おそらくこの世界の空間魔法であろう)の使い手でさらに別のところに移動するらしい。


「ではさらう子供の基準というのはどういったものなのだ。」


「それはなるべく強力な能力の子供とだけしか言われていません。あとおしっこ漏らしそうです」


「漏らせ」


なるほど。それならば我を捕まえようとするのは不思議ではないな。

.......まあ、一番最初に見せた『ミラージュ・シールド』は魔法なのだがそれでもこの世界では見たこともないから間違えるのは当然か。


 そのように考えていると廃ビルの窓の外が暗くなっていることに気づいた。


『時間魔法』で今何時か見てみると、もう5時半だったのだ。


 なので情報収集はこのぐらいにして早く帰るとしよう。

 

 男たちを逃げられないよう錬金術で廃ビルの材質を変換して作った鎖で男たちを拘束していると、突然我のポケットの中の通信魔道具から呼び出しに反応があったのだ。


この反応だと母さんからである。

 

 因みに、母さんにも風季に渡したものと同じ通信魔道具を渡している。我の持っているものには母さんと風季の両方に連絡をかけることができるのだが反対に母さんと風季はお互い通信することはできないがな。


「はいもしもし、どうしたの母さん?」


「どうしたのじゃないわよたっくん!今どこにいるの!?」


「ああ実はかくかくしかじかで.......」


我は心配して連絡をかけてきた母さんに今起こったことを正直に伝える。これで少しは落ち着くかと思ったのだが.....


「えっ!じゃあそこに人さらいたちがいるの!?風季ちゃんはいる!?」


「えっ?いや風季はもう帰ったはずだが、風希がどうかしたの?」


「違うのよ、さっき風季ちゃんのお母さんから連絡があってそしたら風季ちゃんまだ帰ってきていないらしいの!」


............え?







 目を覚ましたらそこは知らないところだった。


まるで体育館のようなところに私は寝転がされていた。


 起きようとしたら上手く立ち上がれない。


目線を下に向けてみると、足と手首を紐で縛られているのが見えた。


視線を周りに向けてみれば、同い年か少し年上の人たちが、同じく紐で縛られているのがわかった。


 あれ私どうなったんだっけ? 確か拓良くんと別れた後家に一度帰ってから公園で友達と遊んでたらもう周りが暗くなっててそれで早く帰ろうと近くの裏道を通っていたらいきなり男の人が出てきてそれで.......


と考えていると、ガチャリという音がした。そちらを見てみると黒い被り物をした人たちが入ってきたのだ。

被り物をした人たちは広間の真ん中まで行き私たちに向き直った。


「諸君、まずは挨拶といこう。私たちは『白の解放団』、能力者の団体だ。そしておめでとう諸君、君たちは選ばれたのだ。」


............なんで名前に白って付くのにこの人たちは全身黒いんだろう?


 なんかよくわからないこと言い始めた。でもなんとなくわかる。あの人たちの私たちを見る目がなんかとても怖いものを感じたのだ。私たちの不安をよそに覆面の人たちは話し続ける。


「君たちは今宵、その命をささげることによって偉大なる儀式の発動の鍵となるのだ。 そう、悪魔召喚のな。」


 この人たちは何を言っているのだろう?悪魔召喚?頭おかしいの?意味がわからないよ。


.......けどなんとなくわかったのは、私たちはもうすぐ殺されるということだ。それを意識した途端、体の震えが止まらなくなった。中には、泣き始めたり暴れだしたりする子たちが出始めた。


 一人の男子が「ここから出せ!」と言うと、


「残念だがそれは無理だ。なぜならもうすでに儀式の途中だからだ。」


 見てみると床に大きな魔法陣のようなものが描かれていて、ちょうど私たちがすっぽり入る大きさだった。


そして覆面の人たちはいつの間にか剣を持っていてその切っ先を私たちに向けてきた。


 みればこの部屋には覆面の人たちでいっぱいだった。そして全員が私たちの周りを囲んでいて、同じく剣の切っ先を向けていたのだ。


「さあ準備は全て整った。あとは君たちの血をささげるだけだ。」


 そう言って覆面......狂信者たちは剣を掲げて、振り下ろしてきた。私は恐怖のあまり、いつの間にか涙が流れていた目を思わずぎゅっとつぶる。 誰か助けて、と心の中で叫びながら。


だけど、いつまでたっても痛みが来ないので目を開ける。周りの子達も確認していた。


そこには奇跡が起きていた。


剣と私達との間に薄いオレンジ色の膜があり、その膜が私たちを切り裂こうとした剣を止めていたのだ。


そして次の瞬間、私から見て右の壁が爆発した。


「世界はいつだって破壊に満ち溢れている。」


他の人たちが唖然としているとき、私はなぜか安心した。


「あらゆる種族は自分たちの種族の繁栄のために同胞たちと共に立ち上がり、自らの信念のために戦う」


コツ、コツとだんだん足音が近づいてくるのが分かる。


「さてそこで私は、貴様ら矮小なる人間たちに聞いてみたいことがあるのだ」


その声は私はよく知っている。


「なぜ貴様ら愚かなる人間たちはいつも他を虐げるのか?なぜ自分たちとは違う存在を良しとせず、認めず、否定するのか?なぜ貴様らは年中同族同士で争うのか?挙げてみればキリがない」


コツ、と足音が止まる。そして爆発の煙の奥からは人影が見えた。


 そこには少年がいた。その表情は一見とても穏やかだけど、目だけはまるでよく映画に出てくるハリウッドスターのような覇気を感じる。


「まあ、いいや。見たところ君たちは得体の知れない宗教者、それも頭からほとんどのネジが外れていることで有名な狂信者だ。彼らはまともな言葉のキャッチボールができないことを私は知っているから、君たちが私の質問に答えることができないことを私は許してあげるよ」


信じられないぐらい傲慢な物言いである。

 

これにはほとんど話が通用しないことで有名な狂信者たちもさすがに黙って聞くことはできなかったんだろう。ましてや年端もいかないような少年にであるからなおさらだ。


「クソガキ............まずはお前から悪魔に捧げてやろうか?」


「おや、これはこれは.........ただでさえ言語が通用しない君らに私の声が届いているとは............私は今この世の神秘に触れることができて感動しているよ」


狂信者たちが怒りのあまり声を出すことができていないのをよそに少年はしゃべり続ける。


「では狂信者たちよ、愚かな貴様らにその言語能力があるうちに、一言言いたいことがある」


その時風希はとてつもなく安心していた。


なぜならその少年がちょっと...........いや、だいぶおかしいけど


「貴様ら.......私の幼馴染やクラスメイトを殺そうとして......」


私の最も信頼する


「覚悟はできているのであろうなあああああああああああ!!!!!」


幼馴染だったのだから。





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