不審者との邂逅
前回に続き長くなりました。
我は今、いつもより早く終わった学校から家に風季とともに向かっている。
「今日はいつもより早いから私の家によって来なよ拓良くん。最近遊べていないしさ!」
「先生に寄り道せずに帰れと言われたばかりだろう風季よ。それに私は家に帰ってやらないといけない用事ができたのさ。それに最近は不審者が出没していると聞く。そのための備えをしておかないとね。」
「それ前にもいってたよ!それに最近、用事用事ってばかり。家で一体何をやっているのさ!」
我が最近遊びに行けていなかったからだろう。風季がいつもより駄々をこねているので我は今、とても困っているのだ。
因みに、我は家で何をやっているのかというと、生前使っていた魔術の練習である。 能力はこれからあまり人目のあるところでは使えない分、応用力のある魔術をこの体に慣れさせているのだ。
因みに、かあさんには我の『邪竜化』を既に見せている。子供の体から禍々しい角、翼、尾、爪、鱗が生え、さらに右は緑色、左は金色で、両目とも瞳孔が縦に割れた目をしている少年の姿を見せたのだ。
我の事を知ってもらおうと、気味悪るがられることを覚悟していたのだが、 これを見た母さんの反応はというと......
「あらたっくん、その姿いつもよりとても強そうねえ。たっくんが空を飛べるようになったら、かあさんをいつか載せてちょうだいね。」
......という反応だった。全くの無駄な心配だった。
まあ能力はあと一つあるのだが、我が『邪竜化』を使えることを知ってもらえてよかった。
.....全く、我にはもったいないほどいい母さんである。
その他にも、生前使っていた魔術も一部見せたがかあさんは「凄いわねえ。たっくんは変わった魔術を使えるのね」 と言われ、自宅か母さんの目の届く範囲でなら練習してもいいと言われたので、なるべくそのようにしているのだ。
だから家に帰って早速結界魔法の練習をしたいのだが、まだまだ遊びたい盛りの風季にとっては、納得いかないらしくぶーたれている。
「ほら、ここからだと私の家の方が近いからちょっと遊びに来てもいいじゃない!お母さんとお父さんも拓良くんにたまにはきて欲しいって言っていたしさ!」
......ふむ、このままだと明日もこんな感じであろうし、それに確かにここから風季の家はすぐそこである。今日は我が折れるとしよう。
「そうだな、じゃあ少し寄って行くとしよう。それに私も久しぶりに風雅さんと冬季さんにも挨拶しておきたいしな。着いたら母さんには連絡を入れよう。」
「やったー!じゃあ早く行こう!」
そんなこんなで到着した至善宅。「ただいまー」と風季が言うと、
「おかえり風季。あら、久しぶりね拓良くん、いらっしゃい。」
と言って我らを出迎えてくれたのは、鮮やかな黒髪を後ろでひとつにまとめた女性、風季の母親 至善冬季である。
「すみません、冬季さん。急に来てしまって」
「良いわよ、そんなにかしこまらなくて。さ、入って入って」
「お邪魔します。」と言ってから家の中に入れさせてもらい玄関で靴を揃えていると、ドタドタという足音が聞こえ......
「おお、拓良くんいらっしゃい!元気にしていたかい?」 「こんにちは、風雅さん。お邪魔しています。」
と出迎えてくれたのは黒髪を短く刈った男、風季の父親 至善風雅。ここにある道場の師範代をしている男だ。
この後、我は電話で家に連絡を入れ、至善家でしばらく談笑していたらあっという間に5時になっていた。
さすがにこれ以上は迷惑になるので早々に帰る準備をするとしよう。
「では、あまり遅くなるといけないので私はここでおいとましましょう。」
「あらもうこんな時間。そうね、きおつけて帰るのよ。」
「むうう、もっといればいいのに。」
「そう言うな風季。じゃあ拓良くん、気をつけて。」
お邪魔しました。と言ってから家を出る。さて帰るとしよう。
今日の晩御飯が何か当てながら帰路についていると近くの公園に差し掛かった時、我は何者かの視線を感じ、そこで足を止めた。
視線を感じた方を見てみるとそこには、公園の隅の方に怪しい男と思しき者がじっとこちらを見ているのがわかった。
男がいるところはちょうど影になっていて、普通こちらからは見えないのだが、我の元破壊神の眼をもってすればあちら側など鮮明に見えるのだ。
我が突然立ち止まりこちらを向いたことに驚いたのか、わずかに身動きした男は、数秒こちらを見た後、いきなりこちらに向かって電撃を放ってきたのだ。
我は慌てずに八芒星型の障壁を作り出す。男が放った電撃が我の八芒星に当たった瞬間、電撃は男に向かって跳ね返ったのだ、それも倍の威力で。
これは『障壁魔法』『ミラージュ・シールド』である。
『障壁魔法』とは文字通り、魔力で作り上げた障壁であり色々な効果を持たせることができる。
『ミラージュ・シールド』は相手の能力や魔術を我が指定した威力で跳ね返すことができるのだ。
電撃を我に倍の威力で跳ね返された男は慌てて躱し、そのまま全速力で逃げて行った。今のは一体何者だったのだろうか。まさか例の不審者か?だとしたらいきなり襲いかかってくるのはどういうことか?
と、思っていると新しい気配を感じ、そちらを向くと遠方で誰かが逃げていくのが見えた。
......まあいい。こののままだと門限に遅れるので帰るとしよう。
......それに、奴らの魔力はもう覚えたので次は仕留める。
家に帰ると.....
「おかえりたっくん。今日はカレーよ。」
いよっしゃーーー!!!