情報収集、その結果
今、我は赤ん坊用のベッドに寝かされている。それもベビーウェアという赤ん坊用の服を着せられて。
我の母親なる人の家に来て二日目、我は身の回りのことを調べていた。
最初の頃は現実逃避していたが、今ではこの身に起きたことに対してすっかり慣れてしまった。
......諦めたとも言うが。
さて、我がこの二日間ベッドの上で得たこの世界の情報について整理しよう。
まずこの世界には普通に魔術があるらしい。まあ前にいた世界の魔術とは若干違うところもあるようだが、生前に使っていた魔術も問題なく使えるので大丈夫であろう。
さらにこの世界の人たちは一人一人異能というものを持っているらしい。異能とはその人の個性を具現化したものであるらしい。らしいというのは、まだ異能をまだ我は、見ていないからである。まあ固有能力と思っていればいいだろう。
......問題はこの世界の技術力である。病院(我が生まれたところ)からこの家に来る時に我は目の当たりにした。
そして目が飛び出てしまうかと思うほどにびっくりしてしまったのだ。
まず、目に映ったのは地面だ。凹凸がほとんどなく石みたいなものでできており、平べったいのである。
続いて、その道を車輪が四つついたなめらかな長方形の箱が走っていたのである。馬車ではない。それどころか馬や小型の地龍などの気配が全くない。
そして追い討ちをかけるように目に映ったのは、建物がたくさんあり、そのどれもがみたところ鉄や、みたことのない謎の物質でできていたのだ。
......拝啓、生き残っているであろう我が配下たちよ。お元気ですか。我は今、猛烈にカルチャーショックを受けています。
他にも変な柱などががたくさんあったが我の精神が悲鳴を上げているので回想はここまでにしよう。
さて、それでは我の家族について紹介しよう。
まず、驚いたことに父は既に他界しているらしい。なのでこの家にいるのは我と母の二人だけである。
その母......まあ母さんと呼ぼう。 母さんであるが名前は、狭間楓。今年で28歳だそうだ。
......ちなみにこの母さん、我の見立てではとてつもない実力者であると思っている。観察しているとわかるのだが、細身だが無駄な筋肉はなく、佇まいが、元破壊神の我でもやばいと思えるほどしっかりしているのである。さらに体内の魔力量が、我を倒した勇者ぐらいあるのだ。おそらく、最近まで戦場に身を置いていたのだろう。
そんな母さんだが、家事全般でき、さらに我の事を息子として愛情を注いでくれている。
生前は、我は魔族だったが孤児だったので、親というもの知らなかった。なので今はこうやって我に母さんがいることに嬉しく思っていたりする。
そうそう、前述のように我もこの世界で生前の魔術が使える。魔力量がどれだけあるか心配であったが、確かめてみると、生前と同じぐらいの量だったので安心した。ただ、今の自分は人間のため、生前のように無尽蔵に使えるということはないだろうが、まあ、大丈夫であろう。
さてそれでは、我の使える能力を一部紹介しよう。魔術は使えるのが多いので、おいおい説明していく。
使える能力だがまず一つ目は、『邪竜化』というものだ。これは自分の体を巨大な竜にすることができるというものである。そして、人の姿のまま邪竜の鱗、角、翼、尾、爪などを生やすこともでき、毒や病、さらに色々な呪いが入ったブレスも吐くことができるが夜になるとどうしても弱体化してしまうがそれはまた後ほど説明しよう。
なぜなら...........
「さ、たっくん。ご飯の時間よ。」
ご飯の時間だからである。そしてそのあとは昼寝だ。