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はじまり

落鷹と申します。

一度違うアカウントで投稿したりしてましたが、まあほぼ処女作です。


よろしくお願いします。


気がついたらそこは森の中だった。


「えっ」


思わず声が漏れる。

目の前には、今の今までそこにいた上司のかわりに、緑一面の景色が広がっていた。


「いや……、なんでだ」


なんでこんな所にいるんだ俺は。


慌てて周りを見渡すが薄暗い森の中という事実は変わらない。

というかよく見ると、森というよりも…


「よく見なくてもジャングルじゃねえかここ…」


その場所は、薄暗い上にむわっとした暑い空気に覆われ、周りはツルが複雑に絡み合う植物にかこまれていた。

上を見上げると何層にも重なって様々な高さの木がそびえ立っている。


「こりゃ1番高いので40メートルはあるんじゃないのっってそうだ!」


俺は急いでポケットを探りスマートフォンを取り出した。


「とりあえずこれで………っ圏外かよ、肝心な時に」


くそっ、ネットにも繋がらない。

これでは現在位置も調べることは不可能だ。


「日本にジャングルは、ないよなぁ」


少なくとも本州にはないだろうなと思う。

沖縄は熱帯だがジャングルがあるという話は聞かない。

いや、あるのかも知れないが俺は知らなかった。


「てことは海外かよ。アマゾンとかだったらシャレにならないな」


できれば白昼夢か何かであってほしいが、その可能性は低く見積もっておいた方が精神的にいい気がする。


しかし、どうやってここに来たんだろうか。

仕事中に真島さん(上司)に事務報告していたと思ったらこの場所にいた。

意味不明だ。

そのときに意識を奪われて運ばれたのだろうか。

会社のオフィスでそのようなことがあるとは思えないが。


そして、もし何者かに連れてこられたのだとしてもこの場所に放置するというのも謎だ。


「なんでここにいるかを考えるのは後だな。考えても分からんし。とにかくジャングルを出なきゃ」


街で育った俺には、もちろんサバイバル技術なんてものはない。

あったとしても、ジャングルに長居したいと思う日本人はなかなかいないだろう。


「人里だ。とりあえず人里に出ればなんとかなるはずだ」


そう信じたい。


「絶対に帰るぞ。こんな所で迷子はごめんだ。会社でも騒ぎになってるだろうし。何より…」


俺はもう一度スマートフォンを取り出し、写真フォルダから妻と、そしてまだ幼い娘と3人で写っているものを選んで、待受画面に設定する。


「帰らなきゃいけない」


俺はひとまず辺りを見渡すため、登るのに適当な木を探し始めた。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




肌にまとわりつくような蒸し暑さは、歩き始めてからますます酷くなるばかりで、改善される気配はなさそうだ。



「もう2時間は歩いたか…」


木の上から見渡した所、俺のいるジャングルはとてつもなく巨大であるということがわかった。

なにせ四方を見渡してもどこまでも続いていくかのように広がっていたからである。

それだけで心が折れかけたが、よく見て見ると、ジャングルに線のような隙間のある場所を発見したので、とりあえずそこを目指すことにした。

そこに川があることを期待したのだ。


人間は昔から川沿いで発展してきた。

すぐには人の痕跡が見つからなくとも、川をたどって行けば何かしら見つかるだろう。

たとえ見つからなくても、水は俺が生きのびるためにも必要だ。


「しっかし、ジャングルにしては生き物が少ないな…。もっと危険生物がうようよしてるもんだと思ってたけど」


昔テレビで見た危険生物特集を思い出して、俺は身震いした。


「まあ、いない分にはいいんだけどなっっと」


道中手に入れた、30cmほどの枝で草をかき分けつつ進む。

この短い時間で、デスクワーク専用だった俺の手には小さな傷がたくさんついていた。

一張羅のスーツも、ジャケットを腰で結び、シワシワのズボンと情けない姿となってしまった。


「このスーツ見たら、絶対南怒るよなあ」


おだやかな性格のあいつも、子供を産んでからはすっかり口うるさくなった気がする。

まあ可愛いんだけど。


「女から母になったってことか。男は勝てないよな……ん⁈」


何か聞こえた気がして、俺はすぐに息を潜めて、耳をそばだてた。


水の音…か?


そうだ。

水だ!


川についたんだ!



俺は考えるより前に、音が聞こえる方向へと走り出した。

俺は自分が思っているより消耗していたらしい。

水分を体が欲していた。

スーツに新しい汚れがつくことにも気づかずに、目の前の蔦や枝をかき分けて一心不乱に前に進む。

薄暗かった周囲が徐々に明るくなり、それと共にだんだんと水の音が大きくなる。

自分の背丈ほどはある背の高い葦のような植物を、右手に持つ枝と、無手の左手で懸命にかき分けた。


するといきなり俺の視界は開けた。





「なっ…………‼︎‼︎」






そこには、幅10mはゆうに超えるであろう大きな河と、

その河のほとりで水浴びをする、

見上げるほどに巨大で、()()()()()狼がいた。





(何じゃこりゃぁああ!!!!)








To the next story→→→→→→















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