知らされた現実。積もる後悔。
目覚めた。
と、いっても形的には夢を見ていることにでも なっているのだろうか。
めろは、モニターで家族の様子見れると
言ってたが、気になりすぎてモニターをつけて
すぐベッドに入ったため、家族の様子は
脳死して以来、まだ1度も見ていない。
いきなりの出来事に脳がついて行かなかったせいか、この頃の私はまだそんなに重大なことだと
はわかっていなかった。
いや、全くわかっていなかったわけではないが、
わかりたくなかった。
そんな恐怖心を抱きながら、モニターから自動的に送り込まれた病院をただただ歩いていた。
次の瞬間、事の重大さがわからないなんて
言いたくても言えないような、思い知らされたかのような現実の世界が私の目に
飛び込んできた。
ママとパパがベッドに横になっている少女の
手を握りしめ、泣いていた。
病室の隅にいる中3の妹、春希は、寝たきりの姉と今まで見たことのない両親の泣き顔を見て戸惑いつつ、声を押し殺して泣いていた。
ベッドに寝かされ、管や機械を大量につけられ
ている少女は間違いなく私だった。
私は私に駆け寄った。
脳死の私は、悲しそうな顔をしているような
気がした。見ているだけでつらかった。
あの時どうして私は、少しのイライラも
抑えられなかったのだろうか。
あの時、もう少し我慢していれば…
あと、ほんの少しだけでも我慢してば
こんなことにはならなかった。。。
脳死の私に触れようとしたが、透明な壁が
邪魔をした。
「触れないんだ。。。」
そりゃそうか。一応、幽霊なのだから。
私は久しぶりに涙があふれた。
「パパママ…ごめんなさい…
こんなことして…ごめんなさい…
やり直したいよ…ちゃんと生きたい…」
そして久しぶりに私は、はっきりとした『生きたい』という感情を抱いた。
パパとママはずっと脳死の私の手を握り、
泣いていた。
きっと私が地上にくる前もずっと泣いてくれていたのだろう。何時間も何時間もただただ泣き続けていたのだろう。
もちろん、見ているだけで辛かった。
でもその場から離れたくなかった。
放心状態のまま、私は現実をただただ見続けていた。




