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次に目が覚めるときは。  作者: ぺるー。
2/5

思い出した、全部。

目覚めた。


私の記憶、全部が。


私には自傷癖があった。

理由はわからないけど、小さな頃から

壁に頭を打ちつけたり、わざと熱いものに

触れたり、ミミズ腫れになるまで腕を引っかいたり、何かと自分の体を傷つけてきた。

中2の頃には深い病み期に入り、とうとう私はリストカットにまで手を出してしまっていた。

死にたい、と本気で思ってしまうことが何度も

あった。

中3になる頃にはリストカットも自然としなく

なっていたし、この問題は解決したものだと

思っていた。

その頃には、母は私の異変に気づいてたのだろうか。

「病院、行ってみる…?」

心配そうな顔で母が聞いてきたのを覚えている。


「病院って。。。まさか精神科のこと言ってるの?ふざけないで。そんな頭のおかしい人が行くところ、絶対に行かないから!!!」

わかっていた。その時私は実際、頭がおかしくなってしまっていることを。

でも精神科に行ってしまったら、それを認めるような気がして、絶対に行きたくなかった。


しかしその後も、ちょっとイライラしただけでも自分を何かしらの方法で傷つけなければ落ち着けない状態が続いた。

私が最後に意識を失うまでも、そうだった。

私の自傷は癖になっていた。

痣ができるまで腕をなぐった。

気絶寸前まで首を絞めた。

脳の血が減って、ふらふらになる感じが

快感だった。

自分の首を絞めると、イライラがふわ~っと

消えるような感覚がして、それがものすごく

快感だった。危険なものだとわかっていても

辞められなかった。

そういえば、3分以上脳が酸欠になると脳死になると聞いたことがある。


…脳死。。。?

そうだ、私はきっとまた無意識に自分の首を

絞めてしまっていたんだ。そしてやりすぎて

脳が酸欠になって。。。


脳内の疑問がすべて繋がった。

それと同時に自分がしてしまった事の重大さを

思い知り、どうしていいかわからなかった。


「…ちゃん?32番ちゃん?」


脳内でいろいろ考えすぎて、なかなか気づかなかった。


「あ、ごめんっ。」


「大丈夫ー?32番ちゃん、すっごく混乱してたみたいだけど。」


「うん。。。あ、なこ!私なこっていうの!

名前で呼んで!あなたの名前は?」

その子は、テーブルにおいてあった紙の右上を

シャーペンでトントンと指差した。


【和音】


「えーっと、わおん…ちがうか、ん~あ、かのん…?」


「めろでぃ。きらきらネームってやつだね。

親が両方バカだからこんな名前つけやがって。

幼稚園児ならいいんだろうけどさ、いつまでたっても幼稚園児なわけじゃないんだから。高校生でめろでぃとかまじでない。何でもっと考えてくれなかったのあのバカ親。」


「そ、そうなんだ。。。」


「あ、めろでいいよ。」

この子は親が好きじゃないんだな。

あまりお母さんとかと仲良くできてなかったのかな。黒ベルトってことは自殺したってことだよね。自殺した理由ってなんなんだろう。

こういうのって、あんまり聞いていいものじゃないよね。。。

ベルトには9と書いてあった。結構前からいるのかな。


「そういえば、私32番ってことは少なくとも32人はいるってことだよね?ここに32人もいる感じしないけど。。。」


「あ~、地上に行ってるんじゃないかな。」


「地上?行けるの?」


「新人だからまだわかんないのか。

教えるよ。ついて来て。」


ついたのは、私の部屋、32番だった。

「モニターつけたら家族とかの様子見れるよ。

画面にヘッドホン繋いで寝たらその場所行けるから。じゃ、私戻るから。」



「あ、ありがとう。」

そして脳死後初めて、私は地上についた。

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