真っ白な世界に閉じ込められた少女。
目覚めた。
いつから寝ていたのかはわからない。
でも体はすごく重い。
そしてずっと寝ていたせいか頭が回らない。
寝る前に何をしていたのか、最後に寝たのはいつなのか、思い出そうとしても思い出せない。
とりあえず名前とかを思い出して見ることにした。
えーっと、名前は木原なこ。確か…高2…?
高校は…どこだっけ?
私なんでこんな何も覚えてないの?
てか今何時なんだろう…?
そもそも時計とかって…。。。
。。。。。。。。。。。
頭が回り始めて、やっと気づいた。
「ここ…どこ…?」
真っ白な壁、真っ白なベッド、真っ白なテーブルに真っ白なイス…真っ白なヘッドホン…?
唯一真っ白じゃないものはテーブルに置いてある
モニターくらいだった。
他には何もない。明るいが、電気のようなものはない。窓もない。
部屋のすべてが真っ白だった。
小さな部屋をよく見渡すと、ひとつの出口を
見つけた。それもまた、真っ白なレースの
カーテンが掛かっていた。
カーテンの向こう側には部屋が見えるが、
まだ誰もいないらしい。
私はゆっくりとベッドから起き上がり、
出口へと向かった。
本当にすべてが真っ白だ。
私がでてきた部屋と同じような部屋が何個も
並んでいて、その廊下もまた、真っ白だった。
それぞれの部屋に番号が書いてある。
確か私は32と書いてあった。
廊下を歩いていくと、やっと1つ大きな部屋を
見つけた。
ドアに耳をくっつけてみた。
たくさんの人の話し声が聞こえた。
「人がいるの…?」
私は思い切ってドアを開けてみた。
ガチャっ…という音と同時に、部屋にいた人全員が私を見た。でもすぐにまた自分がしていたことに
戻った。
全員といっても5、6人しかいないけど。。。
みんな私と同じくらいの年齢の女性だった。
みんな白のワンピースだった。
話をしている子たち、ひとりでぼーっとしている
子、本を読んでる子、私のことをじーっと
見ている子。
そして部屋はもちろん真っ白だった。
テーブルもソファーもぬいぐるみも全部。
唯一黒のものは、その子たちが腕にしているリストバンドくらいだった。
私は、私のことをじーっと見ているひとりの
女の子のほうへ歩いていった。
「ねぇ、ここってどこな…
「あ、赤ベルト。」
「え?」
「腕につけてるやつ。それ。」
その子は私の腕についてるリストバンドを
指差した。今まで気づかなかったけど、
私だけ、リストバンドは赤だった。
「このリストバンド、どういう意味なの?」
「脳死。赤は脳死。黒は完全に死んでる人だよ
。自殺に成功しちゃった人。
時々入ってくるんだよね~、赤ベルト。」
「自殺…?脳死…?」
「赤ベルトってことはなに?首吊りかなんかして失敗したの?」
その子は慣れた口調で言ってくるが、私は
脳が追いつかないと同時に不安が押し寄せた。
「私…死んだの…?」
そして最後に意識を失う前の記憶が
少しずつ、よみがえり始めた。