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夢の中


意識を失った私は、真っ白な部屋にいた。

窓がなく、少し息苦しさを感じる場所。

全部が白で、目が痛い。


ここは、どこだろう?

私は、死んだのかな?

だとしたら、ここは死後の世界?


色々考えてみたけど、答えは出なかった。

だって、知らない場所だから。


「私の愛しい子。」


優しくて、泣きたくなるほど愛おしさに溢れた言葉。

私のことだと、すぐにわかった。

わかったけど、反応ができなかった。

だって、私は、そんな声で呼ばれるような人ではないから。


ずっと、愛してくれる人なんて、いないと思っていた。

私は一生、1人なんだと覚悟していた。

なのに……


「私の愛しい子よ。こちらを向いておくれ。」


その声に促されて、俯いていた顔を上げた。


目の前にいたのは、見たことがないくらい美しい人?

いや、違う。

人間じゃない。

きっと、もっと高貴な……


「愛しい子。ずっと会いたかった。まだ時間はある。話をしよう。」


その方が片手を振ると、机と椅子、それからお茶会のセットが現れた。

どこから持ってきたのか不思議に思うけれど、あえて触れなかった。

まぁ、そう言うこともある。

……たぶん。


「あの……あなたは?」


「私は、人間たちが神と呼ぶものだよ。」


「神様……」


「今まで、よく頑張ってきたね。私は人間の世界にあまり干渉できないから、見ていることしかできなかった。これほどもどかしいと思ったのは、初めてだったよ。人間界がそれほど悪意に満ちていたなんて、時が過ぎるのはなんて早いのだろうか……」


「私は……頑張ってなんか……」


「いや、頑張ったよ。どんなことがあっても、逃げなかっただろう?」


「逃げる場所なんて……」


「逃げるのは、別の場所に行くだけじゃない。君は死ぬことを選ばなかった。生きることを選んだ。それだけで、すごいことなんだよ。」


死ぬことは、一度も考えたことがなかった。

それが、生きることを選んだと言うことなんだろうか。

神様の言っていることは、難しい。


「あの……聞いていいですか?」


「ああ。答えられることなら、何でも答えよう。」


私が一番知りたいこと、それは……


「何故、私が神子なんですか?」


「君が……と言うより、君の魂が、と言う方が正しいかな。」


「魂?」


「そう。君の魂は、本来は神になれるほど美しく綺麗なんだ。歪みも汚れも全くない、純白。けれど、大昔の君は、神になることを望まなかった。人間として生きて、人間として死ぬことを望んだ。すごく残念だったけど、強制はできなかった。だが私は、君の魂を愛していた。だから祝福を与えたんだ。君が幸せになれるように。そして、ずっと人間として輪廻を巡ることになった君は、いつしか人間から神の愛し子、神子と呼ばれるようになった。」


「つまり……記憶はないけど、今までの神子も私だったと言うことですか?」


「そうだよ。いつの時代の君も、大切な人たちのために、国を守った。今の君のようにね。」


人間の本質って、死んで生まれ変わっても変わらないんだね。

今までの知らない自分は、全員大切な人がいたんだ。

何だか感慨深く思う。


彼女たちは、恋をして、愛し愛されたのかな?

それとも、愛した人と一緒にいられなかったのかな?


知らない自分がどんな人生を歩んできたか、少し興味が湧いてきた。

きっと、知ることはできないだろうけど。


「過去の私たちは、幸せでしたか?」


「……それは、どうだろう?幸せは、人の数だけ存在する。他人から見て幸せでも、幸せじゃないことだってある。逆もまた然り。ただ一つ言えるとすれば、誰1人として、後悔して死んだ子はいなかったよ。最期には、満足げに笑って死んでいった。」


そうか。

なら、きっと、幸せな人生だったんだろう。

最期に笑えるなら、それまでが苦しくても、悔いの残らない人生だったに違いない。

私なら、きっとそうだから。






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