ギフト茨城
運送会社に勤めております。
ひとつ仕事が終わると社長に電話をします。
もちろん完了報告なのですが、同時にそこで初めて次の仕事を知らされます。
私が聴覚に軽い障害のあるせいもありますが、社長と電話で話すと、大抵何を言ってるのかわからない……。
「神戸、完了しました」
『あー、お疲れさん。じゃ、こっち帰ってギフト茨城』
「え?」
『ギフト茨城』
「ぎ……、ギフト?」
『もうっ! わからんかな!? ギフト茨城だってば!』
あぁ……と、なんだかわかった気がして、聞いてみた。
「岐阜と茨城……ですか?」
『なんべん言わせんのよ! そうだってワシ、なんべんも言っとるのに!』
すみませんでした……。
なんか私の頭の中の『岐阜と茨城』とはアクセントが違ったんです。
──と、いうだけのお話でした。
これだけじゃあんまりなので、『ギフト』についてもう1エピソード──
私は高校生の頃ぐらいまで音楽はロックしか聴かないやつでした。
そんな私がある日、たまたま聴いたジャズのある曲に、衝撃を受けました。
『The Gift』という、ジャズというかボサノヴァの名曲──
ブラジル音楽独特というか、メロディーもコードも半音ずつ上がり下がりするような複雑な構成と、お洒落な雰囲気に心打たれました。
そんなお洒落なイメージのある『ギフト』と、のどかで巨大な大仏さまの聳える『茨城』の組み合わせは、なんだかとっても斬新でした。




