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第五話 鈴木
鈴木は可哀想な子であった。
幼い頃に母が浮気して逃げ出し、父と2人の生活を強いられた。
父はいつもタバコを吸っていた。鈴木は父の吐き出す煙の匂いが嫌だったが、なぜこれほど嫌なものを父は自分の身体に取り込み続けるのか気になり、父がいない間に父の真似をして吸った。
咽せた。
美味しくは無かったが、もう一度吸ってみた。
また咽せた。
もう二度と吸わないと誓った。
しかしまた気になり始めて、もう一度吸った。
咽せた。
もう一度吸った。
咽せた。
もう一度吸った。
咽せた。
もう一度吸った。
気づけば、心が落ち着いていた。
涙が出るくらいに。