(完結)
ラストです!お読みください^_^
理由はわからないがハマってしまう作品。
それは、自分の無意識を投影している。
なぜそんな願望を持つに至ったのか理由すら分からない。でも、繰り返し選んでしまうモチーフ。
しかし、あまり浸りきるのはよくない。
また、あんな混線が起きてはたまらない。
瑞稀はそれ以降、『恋の罪』を見ないようにした。
そして、平日の明るい時間――その日も、書泉ブックタワーへ営業回りをしに寄った帰りだった――男に追いつめられたあのブロック塀の角へと行ってみた。
恐いもの見たさで。
十五時の太陽に照らされたそこは、あんな淫らなことが起きる場所にはまったく見えなかった。
何の変哲もない、単身者用とおぼしきマンションのごく狭い駐輪場の片隅。
あそこで自分は、見知らぬ男に抱きすくめられ欲情された。そして、頭や眼球の裏にタナトスの映像を見た。瑞稀は不思議な感覚に襲われた。
自分は一体、深層で何を望んでいるのか。
どんな種が自分の中にあるのか。
自分の何が、あの男の意識とつながり合い、彼を呼び出し、あの行動を取らせたのか。
――わからない。わからないけれど……。
瑞稀は、いつの間にか肩からずり落ちてた営業鞄のハンドルを、再び肩にかけ、そのヒールの足で力強く歩きだした。
秋葉原の改札をくぐり抜け、エスカレーターをあがり、飯田橋へと戻る黄色い電車に乗り込んだ。
目の前の座席が三つ空いていた。
そのうちの一つに、座った。
――あまり入り浸らないほうがいいのだろう。深追いしてはならないのだろう。そして何より、望んではいけないのだ。
私は普通に幸せで、普通に生きている。
だから、これ以上でも、これ以下でも望むことは愚かなことである。
瑞稀はすでに全てが満ち足りている。
何よりも、この明るい太陽の下で、真っ当に生きていかねばならないのだから。
【完】
過去の体験をもとに書きました!
最後までありがとござました〜