なし崩し
何故かうちに澄香が来る事になってしまった。こいつには危機感というものがないのか。俺を信用しているからか。あれから何年たったと思ってるんだ。女が一人男の部屋に来るという行為がどういったものか位こいつにだって分かるだろうに。よっぽど切羽詰まってるのか・・・
「ごちそうさん。久しぶりにまともな飯食ったわ」
「お粗末様でした。てか克己はいつも何食べてるのよ」
「所詮野郎の一人暮らしだ。飯なんてコンビニとか出来合いのもんばっかだ」
「ちゃんとしたの食べないとダメだよ?野菜とかも取らないとだし」
「へいへい。気を付けますよ」
相変わらず澄香は澄香だな。
洗い物までしてくれ一息つく。
「今日はありがとな。いい時間だし送るよ」
「・・・」
なんだ?やっぱ何かあんな。どうすっかな?あまり深入りしたくはねえが、飯の借りあるし。
「お前何かあっただろ?俺で良ければ聞くだけ聞くぞ?何も出来ないかもだけどな」
「うん。大丈夫」
ああ、やっぱ面倒臭い。気を使って下さいって事だろ?でもいいってんならほっとこ。
「そうか。大丈夫なら良いか。とりあえずあんま遅くなるとアレだし、送るよ」
いやだいやだ。考え過ぎたくないが、何故か気になってしまう。
いや、いいや。俺は・・・
「行くぞ」
「克己・・・今日泊めてくれない?」
何言ってんだ?やっぱこいつおかしいだろ?
「バカか?俺男だそ?やめとけ。」
「いいよ」
「克己~朝だよ。お仕事でしょ?ご飯出来てるし、顔洗っておいで」
やっちまった。結局澄香が抱えてるもんも教えてもらってねえし、まあ成り行きでってのも良いかな?って事で。
「サンキュー。お前これからどうすんの?」
「えっとね。克己さえよければここに置いてくれないかな?あっこれお弁当ね」
マジかよ。でも嫌な気分にならない。俺はこいつと一緒にいたいのか?好きか嫌いで言ったら、まあ好きなのか?
「そうか。まあその内で良いからちゃんと理由聞かせろよ?居たいならいろよ。」
「ありがと」
こうしてなし崩し的に同棲?みたいな生活が始まった。
なかなか異世界行かないです。ゆっくりですが進める予定です。