青春の日常
ようやく暑さもやわらぎ、過ごしやすい季節がやってきた。
俺こと岡丸克己は高校三年の青春真っ只中にいた。ゆっくりと時間を感じてるのを邪魔する奴が俺にはいる。
「何黄昏てんだ?お前」
ほらな?こいつは俺の幼なじみの林原昴。何の因果か幼稚園からの腐れ縁だ。
「はぁ、アホ昴か」
「アホ言うな。ため息なんかついちゃって、克己ちゃんは恋するフォーチュンなクッキーなのかな?」
ウザイ。果てしなく、納豆の薄いフィルムに納豆がついちゃう位、粒の入った缶の飲み物を飲んで最後下に粒が残ってしまったのに取れなくてイライラする位ウザイ。
「失せろ!このゴミめ!」
「お前、ちょっと心配してやったのにさっきから何だよその態度は!」
「知らねーよボケ!余計なお世話だ!」
「何だ?この野郎?喧嘩うってんのか?」
「上等だ!!」
と、まあこんな感じでいつもやりあっている俺達だが、ここでまたお節介な奴が登場するまでがデフォなのだけれども。
「あんたらね~いい加減にしないと知らないよ?」
森岳澄香。お節介な女だ。女は女でつるんでりゃいいのにやたらと俺達に絡んでくる。ハッキリ言うと俺は苦手だ。もう一度言う、俺はだ。昴は澄香に絆されていやがる。バカな野郎だ。
「お~澄香ちゃ~ん怒らないでよ。克己がバカなのがそもそもの原因なんだって」
「何でだよ!お前が喧嘩売ってきたんだろうが!」
「ふざけんな!俺はお前の事を心配して声かけてやっただけだろ!」
澄香は溜め息をつき、やれやれといった表情をする。
「はいはい。分かったから。そろそろ先生くるよ」
昴は「は~い」なんて言いながら自分の席に戻って行った。
「克己と昴って仲良いんだか、悪いんだか良く分からないよね?」
「うるせーほっとけ。お節介女め」
「またそんな口の聞き方する。克己の悪い所だよ」
面倒くさっ。どうして女ってのはこう面倒臭いのだろう。ほっとけよ。
どうも俺は学校。というか集団での行動が苦手らしい。コミュ障という訳ではないと思うんだが、一人で好きな様にしたいと思ってしまう。俺の家庭環境何かも影響しているかもしれないが・・・
さてそろそろ下校の時間なのだか、恐らくお節介女が来るはず。その前にとっととトンズラしなければまたネチネチ言われてしまう。
下駄箱に着くまでの途中で、部活に向かう昴に蹴りを入れ意気揚々と進んでいると何やら人だかりが出来ていた。
「やめて下さい」
澄香が何故か男子生徒を庇っている。俺は何気なく観察する事にした。だって面白そうだろ?
「いいからどけよ。お前なんだ?してほしいのか?」
ゲラゲラとゲスい声をあげて笑っているのは、あの倒れてる生徒をやった奴だろう。
「鼻血出てるじゃないですか!先生呼びますよ?」
全く、澄香は俺の悪い所ばかり言うが俺から言わせてもらえばあいつの方が悪い所があると思う。お節介すぎんだよ。そんなもんほっとけよ。
「先生だとよー。早く呼んでこいよ」
こういった奴らにはそんな脅し文句は通用しねぇって。まあ俺には関係ないし、帰ろ。
「きゃっ」
ドカっと鈍い音がして澄香の悲鳴が聞こえた。ほらみろ言わんこっちゃない。だから言ってんだ。お前はお節介すぎんだよ。俺は知らん。
「おい」
その声に振り向いた奴の顔面に一発、二発とぶちこんでやった。
「ぐはっ」
顔を押さえ込み疼くまるが、すぐ睨んでくる。が、俺の顔を見て驚愕の顔をする。
「お、岡丸!?」
「目障りだから消えろ」
俺が言うとそそくさと退散していった。
「お前いい加減そのお節介やめろ」
「克己」
俺はそれだけ言って下駄箱に行き帰路についた。