元JKの始まり
長らく失踪してしまい申し訳ありません!しばらくはこれを中心に出していきます!
この作品は第三者視点で進む話となります。しかし最初は主人公視点で書いていたため、少々おかしいところがあるかもしれません。そんなときはぜひともご報告を宜しくお願いします。
ざわざわ
ざわざわ
「おっはよ!執実!」
「ん?創華ですか。お早う御座います」
顔を隠すために着けている伊達眼鏡をあげながら返事を返す、執実と呼ばれた少女。
「おい、置いて行くなよ創華。あ、おはよ書来」
「お早う御座います流君」
彼女の名前は書来執実。すこしきつめの青い猫目に、肩まで伸ばした黒い髪。ごくごく平凡な顔をしていると彼女は思っている。(これ、創華に言ったらなぜか怒られるんですよね。「あんたが普通なら全人類にはブスしかいないわ」って。By執実)目が青いのは先々代からの隔世遺伝だ。
そしてもう1つ。彼女はヲタクである。とても珍しい名前で、ヲタクだということも友人たちは全く気にしない。朝一番から声を掛けてくるのは友人の綾川創華と時雨流。創華と流は幼馴染で、高校生になってもとても仲がいい。そして、彼女にはもう一人男の友人がいるが...また遅刻しそうだ。
彼女の席は窓際の一番後ろ。所謂主人公席だ。依って外の様子がとてもよく見える。そして、今校門に入ってきた容姿端麗・成績優秀・運動神経もいいのに朝に弱くよく遅刻する男、小鳥遊鏡也こそ彼女の最後の友人であり幼馴染なのだ。
で、今頃鏡也が本気で階段を駆け上ってきていると思うのだが...そろそろチャイムが鳴る。
キーンコーンカーンコーン...
鏡也は遅刻しすぎな男だ。毎日チャイムが鳴った後に教室に滑り込む。担任はまだ来ていないが。
「はーはー.....よーしぎりぎり間に合って...」
「「「「「「「ねぇよww」」」」」」」
「「「「「「「ないよww」」」」」」」
「間に合っては無いですね。鏡也君、お早う御座います。そして198回連続遅刻おめでとう御座います」
「おはよう!朝からニッコリ笑顔の辛辣で全く嬉しくない報告をありがとう執実ちゃん!」
これはほぼいつものやり取りだ。強いて言うなら毎回回数と鏡也の返事が変わるくらい。
「執実ちゃんってさぁ」
「どうしました?鏡也君」
「朝超低血圧で魔王の眼光で恐ろしいのに、学校に来るの早いよね。なんで?」
確かに。執実はよく鏡也に魔王と呼ばれている。朝に弱いのは彼女も同じだ。寧ろ彼女の方が弱い。
「習慣ですよ。幼い頃から鍛錬で4時30分には起きていたので。今でも朝は走り込みをしていますしね」
ははは...とみんなが笑い、意外だよね、などと感想が聞こえてくる。
ここで彼女、書来執実について説明しておこう。彼女はあの紅里だ。あのってどのだよ、と思う人もいるかもしれないが血染めの紅里はいい意味でも悪い意味でも有名だ。血痕があったら気をつけろ、そのすぐそばには紅里がいるぞ、っていう言い伝え...言い伝え?が広がっている。
また、黒の悪魔という異名もついている。紅里と黒の悪魔が同一人物だというのはここら辺では有名な話だ。なお、彼女自身は「私はただ道場破りを楽しんでただけなんですけどね」と言っている。
ざわざわ、と。まだ喧騒が続いている。
どうでもいいんだけど、彼女は(席の周りで駄弁るのやめて欲しいですね。とても邪魔です)と思っている。
「ファっ!?」
次の瞬間、その騒めきは急に現れた光によって驚きに変わった。彼女も驚きで変な声が出ていた。珍しい。
「何これ!?足元に光が...」
「うわっ!何だこれ、何が起きてっ...!」
これは魔法陣?まさか異世界召喚...そう思ったのも束の間、視界がすべて光で塗りつぶされた。ついでに彼女は驚き、立ってしまった衝撃で眼鏡を落としていた。だが一緒に魔法陣のような物に飲み込まれたため平気だろう....おそらくきっとたぶん。平気であってくださいお願いします。物静かな彼女の心中は、実はとても騒がしいのだった、