厄災の魔女 Side・エウレカ
エウレカ・ペスト
レーヴェ帝國軍少尉。
魔道を得意とする魔道士兵。
帝國軍でもかなりの魔道の使い手でありとあらゆる魔道を扱え、さらに自身が編み出したオリジナルの魔法も扱える。
しかし、人間性はかなり最悪で人間なんてモルモットとかそんな風にしか思っておらず、時に敵兵を拉致し、とんでもないことをしていたりと……。
それでも彼女の魔道は最強であるため、必要不可欠である。
彼女にはいろんな秘密があるようである……だが、探ろうとすれば命の保証はない。
分隊の隊員達以外敵味方双方から恐れられている人物である。
人間という生き物は自分達とは違う異質な者を忌み嫌い、迫害する。
それはこの世界でもあの世界でもどの世界でも同じようで、特に人間至上主義の国は魔族に対して迫害、排除対象であり、獣人や亜人種のような種族は駆除するか、奴隷にするか、いずれも彼らの存在を貶める行いをするのが当たり前のようになっている。
そして、誰かが共存を謡おうとする人間がいれば、その人間も彼らと同じように迫害され、存在を消されてしまうことも。
まったく、人間という生き物は度し難いものですわね。
ちなみにわたくしも人間ではありますが、わたくしにとって、人間も獣人も魔族も……いや生きとし生けるものすべてにおいて、羽虫にすぎませんけどね。
もちろんあのおバカの双子共に能天気のデカ女、小心者の剣士君にいけ好かない冷血中佐、そしてあのクソガキ少佐も含めて。
しかし、ある人物だけは非常に興味があります……。
それはわたくしの上司であるヴェルトラン・シュタイナー……否、五堂藍染である。
ええ、わたくしは彼のことならいろいろ知っていますわ。
どうやって知りましたかって?
それは……彼と初めて出会った際にわたくしの実験活動を見られたので気絶させて拉致してついでに頭の中を魔道で覗かせていただきましたわ。
彼がシュタイナー将軍の養子であるとわかりましたが、そこはどうでもよい……のですが、ここで消したら面倒になると思いましたので記憶だけ消して、適当な所に返そうと思いました……。
だが、そこで興味深い記憶を見つけました。
わたくし達がいた世界とは全く違う異世界。
あの戦火絶えない世界とは正反対の平和な世界で見慣れない物、知らない物がたくさんあり、なんだかとても面白そうな世界でしたわ。
わたくしにも異世界へ転移できる魔法があれば行ってみたいなと思ったのですが……残念なことにわたくしは異世界へ干渉するタイプの魔法はあまり使えませんのです。
魔法に関してならありとあらゆることなら自由自在に扱え、いろんな魔法の創作すら可能なのですが、どうにも異世界にまで及ぼすほどの魔法がうまく扱えないのが欠点です。
本当なら異世界へ転移ぐらいできますわよ……と言いたいのですが、転移できても自分が行きたい世界へ行くことができませんのです。
前に異世界に迷い込んだある人物のお話をしましたが……実はあれ、わたくしです。
はい、わたくしは藍染……否ヴェルトラン達の戦火が絶えない世界の人間ではありません。
ましてや今いるこの世界の人間でもありませんけどね。
わたくしは彼らの知らないある世界の者でございます。
元の世界でちょっとばかし、いろいろやらかしてしまいまして、やむを得ず異世界へ逃げ込みました。
あ、ちなみに異世界渡航は計十回はやってます。
逃げた異世界でもいろいろやらかしましてね。
何かをしでかしては別の異世界へ逃げての繰り返しでこうなったのです。
そして、今回の異世界召喚に巻き込まれての異世界渡航は十一回目です。
え? あなた何者だよって?
ふふ……それはいずれまたお話いたしますわ。
で、一度だけもうほとぼりが冷めたであろう元の世界へ戻ろうとしてみました……が、全然違う世界に飛んでしまい、見事に失敗しましたわ。
三回試しても失敗して、挙句にあの戦火絶えない世界に流れ着いたのです。
魔法に関しては何をやらせても完璧で最強であるこのわたくしも流石に異世界へ干渉する魔法は上手くコントロールができないわけです。
まだまだですわね、わたくしも……。
ちなみにあの時皆さんに話した異世界から迷い込んだある人物の話もほとんどフィクションですので。
まあ、あの世界に迷い込んだのはホントの話ですけど。
それにしてもわたくし達を巻き込んでの異世界召喚……。
何らかの条件が必要であるのとはいえ、わたくし達を異世界から召喚するとは、大したものですわね。
……この異世界召喚の根源たる何かを知れば、異世界転移を自由自在にこなせるに違いない……。
ただ、これを調べるには恐らくあの王城の書庫か秘密の部屋的なものかあるいはあのオルティア姫やあの王様の脳から覗き見る……と言いたいのですが、ちょっと難しいですわね。
なにせ、直接相手の頭に触れないと覗き込めませんので。
それに……あの王様からは何か得体の知れない物が憑いているような感じがしまして、手を出すのは難しいと思いましてね。
まさに触らぬ神に祟りなしですわね。
姫の方なら何とかなる……と言いたいですが、あの臣下やあの侍女が邪魔になりそうなので彼女も迂闊に手を出すのは難しいですわね。
まったく、中々隙が無いですわね。
まあいいですわ。時間はまだまだたっぷりございますし、それに……いろいろ楽しめそうなことはたくさんありますしねぇ……。
ああ、ちなみにこれで異世界転移の魔法を自在にこなせたら皆さんとはハイ、さようなら。という事にはなりませんのでご安心ください。
ええ、大丈夫ですよ。彼が……ヴェルトランが生きている限りはね……。
さて、わたくしがベルガー君とカルさんを置き去りにして、いったい何をしていたのかをお話しませんとね。
事の発端はあの奴隷馬車からですわね。
わたくしとディートリヒ、カルさん、ベルガー君の四人で城下町を歩いている途中、例の奴隷馬車が通り過ぎて行きました。
三人とも殺気立ってあの馬車に襲いかかろうとする感じだったので、とりあえず三人を止めました。
「皆さんも落ち着きなさい。気持ちはわからなくもありませんが今はダメですわよ」
まあ、こいつらがどんな面倒事を起こそうが普段なら知ったことではございませんが、流石に異世界で今面倒事を起こすのはちょっとよくないと思いましたので。
あいつらだと絶対目立ってしまうので。
「まったく、血の気が多くていけませんわね。もう少しやりようが……!!」
と、そんな時に館周辺に仕掛けたサーチソナーが反応しました。
やれやれ、こんな時に来客とはねぇ……。
とりあえずわたくしはヴェルトラン達の現在地を捕捉するために意識を飛ばし、ヴェルトランを探しました。
ヴェルトラン達はすぐに見つかりました……が、なんか面倒事になってますわね。
変な連中に絡まれてるなんて、しょうがない人ですね。
テレパスで今すぐ彼を呼び出したいところですが、やめておきますか。
なんか面白いことになりそうな感じですし。
「皆さんちょっとよろしいでしょうか」
とりあえず三人を路地裏へ連れて行きました。
『どうしたんですか、いったい』
「現在、何者かが我らの屋敷に向かっているのを探知しましたわ」
誰が来るかは分かりませんが、探知した人数は三人……。
『到着予定は?』
「十五分後」
この速さからして馬車で移動してる感じですわね。
まあ恐らくあの王国関係者でしょう。
『なら、今すぐテレパスで大佐をここまで呼んで――』
「いえ、ここで少佐を拠点まで転移させて、応対してもらいますわ」
ヴェルトランは現在お取込み中ですので副官たるあなたに行ってもらいますので悪く思わないでね。
わたくしはそのままディートリヒを転移させました。
「……さて、ベルガー君」
「な、なんでしょうか?」
「あなたはカルさんと一緒に大佐と合流してください。わたくしはちょっと野暮用を済ませますので。大佐にもわたくしは野暮用と伝えておいてくださいね」
そうしてわたくしは二人を置き去りにして転移しました。
転移した先は先程の馬車がある場所……その近くの建物の屋根の上に着きました。
先程の例の馬車に常人には見えないマーキング魔法を付けておきましたので、あとはマーキングを中心に半径数十メートル範囲内ならどこでも転移することが可能ですの。
さて、ここは……。
馬車の近くに何の変哲もないただの雑貨店を見つけました。
そこに先程の捕まっていた奴隷達が中へ収容されているのを確認しました。
建物の構造はそんな大きい店ではない……恐らく地下室でもあるのでしょうかね……。
とりあえずしばらく様子見て、それから動きましょう。
数十分後。
納品し終えたのか馬車からはもう誰も出てこなくなりました。
商人や護衛の人間も中に入って行きました。
もう少し様子を見て数分後……。
「……では、そろそろ行くとしますかねぇ」
わたくしは屋根から飛び降り、風魔法でフワッと着地しました。
アイケやディートリヒだったら魔法がなくても軽やかに着地できましょう。ですが、あの二人みたいに軽やかに着地できるほどの身体能力はございませんので。
わたくしが魔法なしでそんなことやったら複雑骨折ものですよ。
まあ、わたくしなら魔法で骨折ぐらいすぐに完治できますけどね。
さて、まずはこの格好を魔法で変えましょうか。
わたくしは指をパチンと鳴らし、軍服から貴族らしい恰好に早着替えしました。
これで大丈夫かな。
早速店に入ってみると……なんて殺風景な。
奴隷や商人共はどこに……?
そんな時、一人の老人の男が現れました。
「いらっしゃい」
「どうもこんにちは~」
わたくしは手をひらひらさせながら挨拶をする。
「何か御用ですかな?」
「えっと……ここは奴隷を売っている場所でしょうか……」
一見殺風景に見えて実はどこかに奴隷達を隠しているはず……。
「ご予約の名前をよろしいですかな?」
予約ねぇ……。
まったく、こういう店はなんとも用心深いのやら。
適当な名前使うと面倒になりそうなのでここは……。
「すみません。ここには初めてでございまして。なにか奴隷が欲しいなぁと思いまして……」
「……紹介状はございますかな」
じっとこちらを見て訝しむ老人。
とことん面倒ですわね……。
「ああ、すみません。実は他の方々からお噂を聞いてここに」
「おかしいですね。ここは限られた者しか立ち入れぬ場所ですぞ。例えここのことを誰かから聞いたとして、紹介状が渡されてないのはおかしいですぞ。紹介状もない者の立ち入りは許されておりません」
「そ、そこをなんとかぁ」
「駄目です! だいたい、貴女のような胡散臭い貴族なぞ見たことがないわい」
う、胡散臭い……!?
「貴女のような者が貴族になれるなら、ワシは大商人にもなれますぞ」
鼻を鳴らしながらそう言う老人。
ええ、ええ。そうですか。そうですか。そうおっしゃりますか、このクソじじい……。
なんだかイラっときましたわ。
「わかりました。もう結構ですわ」
「ならさっさと――」
次の瞬間、わたくしはあのじじいの胸を手刀で貫きました。
「がはっ……!?」
「さっさと死んでくださいませ」
わたくしは刺した手を抜くと、じじいの胸はぽっかりと穴が開いて、大量に血を流して倒れました。
あーあ、もう早速死人をこしらえてしまいましたわ。
なるべく穏便に済ませようと思いましたのに……。
まあどちらにせよ最終的には死人は出ますけどね。
「まったく、あなたのようなゴミ虫以下の人間が……ん?」
そんな時でした。
「おい、爺さん。何騒いで……!?」
奥から用心棒であろうごつい男共が二人現れた。
「おい、爺さん!?」
「この女!!」
用心棒達は武器を構えてくる。
「てめえ、まさか魔族か!?」
「クソ、ブッ殺せ!!」
やれやれ愚かな傭兵風情が。
襲い来る用心棒に対し、わたくしは指をパチンと鳴らした。
すると……突然用心棒達の下から岩のトゲが現れ、彼らは串刺しになりました。
「ぐはっ!?」
「がはぁ……」
バカな人達。
指をまたパチンと鳴らすと岩のトゲは消滅した。
さてと……。
わたくしは目を閉じ、この場から数メートル範囲の空間構造及び生体反応を確かめる魔道波を飛ばす。
ちなみにこの魔法はわたくしにしか扱えない創作魔法ですので。
サーチソナーや意識を飛ばしてヴェルトラン達の様子を覗き見ることもわたくしならではできる創作魔法でございますので。
さあ、空間構造把握、生体反応複数キャッチ。
生体反応は全て地下にありますわね……。
しかし、階段は見当たらない……だけど地下に生体反応が複数……。
「となると転移系魔法ですかな……」
どこかしらに転移魔法の魔法陣かなにかあるに違いありませんわね。
あるとしたらあの受付のジジイの奥の所か、用心棒が現れた方か……。
「…………?」
用心棒が現れた方からは少し獣の匂いがしますわね……。
わたくしは匂いがある方へ向かった。
そして、そこにたどり着くと……そこは小汚い小部屋だけでした。
「魔法陣は見当たらない……しかし……」
この下にはいくつかある生命反応ある中で、この真下だけ生命反応が複数集まっていた。
「…………?」
この床……少し違和感が……。
「ん? これは?」
少し離れたところに不自然に垂れ下がっているロープを見つけたわたくし。
ロープの下に近づき、それを握ってゆっくり引っ張ってみる。
すると、先程調べた床が突然パカッと開いたのであった。
「これはこれは……」
もう一回ロープを引っ張ると、床は再び閉じられた。
「なるほど……」
どうやらここに奴隷を運び、この地下へ落としているようですわね。
まったく、どうしようもないですわね。
わたくしは意識を地下の方へ飛ばしてみる。
そこには手枷足枷を付けられた獣人やエルフとダークエルフに……亜人種の有翼人にハーピー等が檻の中にいました。
しかも檻はあちらこちらと乱雑に。
そして皆、身も心もボロボロで。
まったくずいぶんひどい扱いですことで……ってあの人間共には知ったことではないことですわよね。
ちなみに戦火世界においては亜人種の鳥翼人とハーピーの違いは、背中に羽があるのか腕に羽があるのかで違いが分けられているのである。
まあ、簡単に言うとハーピー種は性質的に鳥で、亜人種である鳥翼人は人に羽が生えた獣人のようなものである。
でもあの王国連中からすれば魔族と一括りするでしょうけどね。
まあ、ともあれ。彼らは助けてあげませんとね。
「さて……一方であっちの方は……」
わたくしは別の小部屋……ジジイがいたところの方も調べてみました。
そこには魔法陣がありました。
「これは……お客様用の魔法陣ですかな?」
あのじじいに予約やら紹介状やらを要求されたところを見ると、どういうわけか一見さんお断りでここの会員にならないと利用できない変に用心深い店のようですわね。
あの国ならば普通そんなことをする必要はなさそうだと思いますけど……。
ま、あれこれ考えても仕方ありませんわね。
とりあえず、ここは……。
「ん? おいなんだ貴様――」
魔法陣から現れた用心棒の男がいきなり現れた……が。
「がはっ!?」
手の平から魔法で作り出した氷の子槍を一瞬で生み出し、素早く用心棒の心臓に投げ当てました。
「さくっと潰させていただきましょうか」
とりあえずさっきの穴から侵入しますかね。
あの魔法陣から侵入すれば多分警報か魔法陣を作った術者にすぐバレる可能性がありますので。
ちなみに先程生命反応確認のために魔道波を飛ばしましたが、逆探知される心配はございません。わたくし並みの者でもない限り。
さて、恰好は流石に軍服でやるのはちょっとマズいですから……ああ、これがいいですわね。
わたくしは指をパチンと鳴らし、再び衣装を変える。
衣装は夜空のような色のローブにフェイスベールで顔を隠し、黒のとんがり帽子をかぶったどこから見て美しい魔女の恰好に変身しました。
この格好も懐かしいですわね……。
軍属になってからほとんど軍服しか着てませんでしたからね。
それでは始めましょうか。
かつて厄災の魔女と呼ばれたこのわたくしが愚かな売人や用心棒達に厄災を振りかけて差し上げましょう……。
うふふふふ……。
早速わたくしはあの仕掛け床を開けて、下に降りてみる。
あ、ちなみにこの店の周りにちょっとした幻覚魔法を仕掛けておきました。
ここに近づこうとしても逆戻りしてしまいます。
夜には幻覚魔法が消えますので、夜にならないうちに終わらせませんと。
地上の方も死体はある魔法を使って隠し、血痕や魔法を使用した痕跡は全部掃除済み。数分で片付け完了。
最後に魔法陣にはちょっとした細工をしておきましたわ。どんなのかはお楽しみで。
さて、行きますかね。
仕掛け床から降りたわたくしは辺りを見回す。
空間構造を確認した時にはかなり広い場所ですが……薄暗いですわね。
わたくしは手の平に小さな火を灯すと……周りは先程見た通りの状態でした。
「!?」
火を灯した際に檻の中に入っていた兎耳が生えた獣人の少女がわたくしの存在に気づき、小さな悲鳴をあげ、震えながらこちらを見ていました。
あらあら、随分と怯えて……。
それにしても、改めて捕らわれている彼らを見ると随分と酷い扱いをされていますわね……。
ろくな食事もとらされておらず、衰弱している者や傷だらけでそのままにされてる者……中には今にも死に瀕している者も。
どうやら管理も雑ときていますね。
どこまで腐っているのやら……。
まあ、わたくしもあまり人の事は言えませんけどね。
今でも秘密裏に敵国たるルスラン王国兵を拉致って、魔道でありとあらゆる人体実験をしてますので。
その実験のおかげで相手の記憶を弄ったり、人格を変えたりもできるようになりましたからね。
ちなみにこれ知っているのはヴェルトランだけ。
バレたら軍にはいられませんからね。
さて、彼らをどうやって運び出しましょうか……。
彼らを一か所に集めて大規模転移魔法で街の外に転移することぐらい造作もありません……が大規模転移はちょっと時間がかかりましてね。
ちなみに転移先は街の外で転移先に魔法陣を貼る必要がありますが、先日の真夜中にもう貼り付け済み。しかも他者には見えないようかつ魔力探知もされないように施してますので、バレる心配はございません。
さて、大規模転移は時間がかかりますので、まずは――。
「おい、そこに誰かいるのか?」
「おっと」
見回りをしている男の声に気づき、魔法で姿を消したわたくし。
ランタンを持った傭兵がこちらにやって来て、辺りをきょろきょろした。
「? 誰もいねぇ……ん」
傭兵は檻の中にいる先程わたくしを見ていた獣人少女を見ると、いきなり檻を強く蹴った。
「おい、クソ獣!」
「ひっ!?」
「今ここに誰かいたような? どうなんだよ、おい!」
傭兵は何度も檻を蹴り、獣人少女や他の獣人達も怯えさせる。
檻を何度も蹴る傭兵はだんだん面白がってくる。
「なんか足疲れちまった。ああ、そう言えば今日剣を新調したんだった。よしせっかくだ」
ランタンを適当において剣を抜き、檻の鍵を破壊し、檻の扉を開けた。
「お前の身体で試し斬りさせてくれや」
「ああ、あ……ああ」
恐怖で身がすくんでしまう獣人少女。
「へっへっへっ……!?」
わたくしは傭兵の背後を取り、指を小さく二回鳴らした。
「!?」
傭兵は身動きが取れなくなった。声が出せなくなった。
傭兵は何が起きたのかわからず、表情だけ狼狽していた。
当然です。わたくしが魔法で傭兵に金縛り状態にさせ、さらに声を封じさせましたから。
わたくしは傭兵の前に立ち、ついでにその新調した剣を奪った。
ちょっとばかし重いのでさりげなく身体強化の魔法で剣を扱える程度ぐらいに強化もしておきました。
わたくし一応魔道士兵ですので。
「この剣、新調したばかりとおっしゃりましたわね」
わたくしは奪った剣を眺めながら動けない傭兵を見て笑みを浮かべる。
「それではわたくしが代わりに試し斬りして差し上げますわよ……」
「?」
わたくしは傭兵に近づきその剣で……傭兵の腹をゆっくり刺す。
「あ・な・た・で」
「!!」
傭兵の顔は絶望の表情に変わり、悲鳴をあげようとするも、声を封じられているため、声は出なかった。
わたくしは狂気的な笑みを浮かべ、刺した剣を抜いて、思いっきりその剣で傭兵の身
体を試し斬りしました。
「あら、中々良い切れ味ですこと」
わたくしに斬られた傭兵は悲鳴をあげることもできずに倒れました。
その瞬間を見ていた獣人少女は涙目になりながら震えていました。
さて、ここら辺をうろついている傭兵は生命反応で確認した限りだとあと二人――。
「おい、何やって……!?」
わたくしは素早く指をパチンと鳴らし、わたくしは転移魔法を使用しました。
そして、転移先は……傭兵の背後に。
「おい!? どうした!」
傭兵はわたくしが斬り殺した傭兵の死体を見て驚く。
わたくしが背後にいることは気づいていないようですわね。
「まさか、てめえら!!」
「ひっ!?」
獣人少女は恐怖する。
このままでは彼女に危害を加えかねませんわね。
わたくしは傭兵の背中に思いっきり剣を突き刺しました。
「がはっ!?」
傭兵は震えながら顔を後ろに向け、わたくしの存在に気づく。
わたくしは笑みを浮かべながら剣を抜き、そのまま斬り捨てました。
「おい、そこで何をしてる!!」
見回りの女傭兵が現れた。
あと一人残ってましたわね。
わたくしが殺した傭兵の死体を見た女傭兵は手に持っているボウガンを構えた
「貴様何者だ!!」
「さあ、何者でしょうねぇ」
「こいつ!!」
女傭兵はボウガンの引き金を引き、矢を放つ。
それに対しわたくしは指をパチンと鳴らし、黒い空間を生み出した。
すると黒い空間はわたくしにめがけて放たれた矢を吸い込みました。
「なに!?」
「ふふ……」
黒い空間に吸い込まれた矢は……黒い空間から出て、女傭兵にめがけて返って来て、そのまま女傭兵の額に命中しました。
「え……?」
女傭兵は信じられない表情をしながらそのまま倒れた。
「さようなら」
わたくしは倒れた女傭兵に向けて手をひらひらさせながらそう言いました。
さて、とりあえずは捕まっている奴隷達を一か所に集めませんとね。
わたくしはこのエリア一帯に魔法陣を浮かばせ、わたくしの前にも、もう一つ魔法陣を浮かばせる。
そして、わたくしは一息入れてから指をパチンと鳴らす。
すると、檻の中に入れられていた獣人やエルフ等の奴隷達を一か所に転移され集まりました。
突然、一か所に集められた奴隷達は全員困惑していました。
ですが、わたくしはそんな彼らを気にせず、今度は治療魔法を行使しました。
とりあえず傷を負っている者達の治療は完了。
ですが、栄養失調してる者や衰弱している者は急いで食べ物を与えないと危険ですわね。
そしてすでに死んでしまっている者は残念ですが……。
いくらわたくしでも死人を蘇らせることはできません。
いえ、できないことはないですが……かつて一度だけ人を蘇らせようとした結果、それは人ではありませんでしたわね……。
ああ、ホントにまだまだですわね、わたくしも……。
「おい、人間」
「はい?」
鋭い目つきでわたくしに問うのは人狼の青年だった。
「貴様の目的はなんだ!?」
「若!! あまり刺激させない方が……」
「爺やは黙っててくれ!」
若……ね。
この獣人はそれなりの身分ある方のようですわね。
「随分な言い方ですわね。あなた方を自由にしてさしあげようと思いましたのに」
「な、何が目的だ!」
「目的? ありませんわよそんなもの」
「なんだと?」
「これはあくまでわたくしの気まぐれですわよ。わたくしの気まぐれに感謝してくださいまし」
「…………」
睨みつける若と呼ばれし人狼の青年。
他の皆さんも怯えたり、睨みつけたりと、まあ、わたくし完全に信頼されておりませんわね。当然ですか。
あの獣人少女にいたっては、わたくしが傭兵を殺す場面を間近で見てしまったのかで怯えてしまってるようで……。
やれやれ、仕方ありませんわね。
わたくしは獣人少女に近づき少女の顔に手を近づける。
「おい貴様、何をする気だ!?」
若や他の奴隷達が騒ぐ中、わたくしは少女の顔前で指をパチンと鳴らした。
少女や全員は目をぎゅっと瞑った。
少女は目をゆっくり開けると……少女はる物を見て目を見開いた。
わたくしが魔法で出したのは一発の弾丸でした。
ちなみに火薬は入っておりませんので弾が飛び出ることはありませんわ。
「差し上げますわ」
「???」
「ふふ、お守り替わりと思ってもらえれば」
まあ、弾丸がお守りというのもね……。
でも、少しでも不安が和らいでくれればいいですけどね。
さて、と。
それではそろそろ行きましょうかね。
わたくしは立ち上がり、移動し始める。
「おい、どこへ行く気だ?」
「ちょっとゴミ掃除に。結界を張っておきますので、その魔法陣からけっして出ないようにお願いいたしますわね。あと上から敵は来ないようにしてありますのでご安心を」
わたくしはそう言って、指をパチンと鳴らして、防御系の結界を張っておきました。
彼らの守りは完璧。
あとはゴミ共を全部殺すだけですわね。
さあ、どう殺して差し上げましょうかね……ふふ。
わたくしは奴隷達の部屋を出ると、いきなり傭兵と鉢合わせた。
「な、なんだお前!?」
「どっから入ったんだ!?」
「くそ、やっちまえ!!」
傭兵達は一斉に襲いかかってくる。
わたくしは手を前に出して、魔法を唱えました。
「“ウィンド・スピア”」
魔法を唱えると風の槍が襲いかかってくる傭兵達の数だけ現れ、傭兵にめがけて風の槍は目にも止まらぬ速さで飛んで行った。
「がはっ!?」
「ぎゃっ!?」
風の槍は全ての傭兵達の心臓を貫き、全員倒れた。
「何事だ!?」
新手が来ましたわね。
「クソ、どこの奴隷商だ!?」
どこの奴隷商?
つまり、ここ以外にも城下町のどこかに奴隷商があるわけですか……。
「答えろ、貴様――」
「“スパーク・ショット”」
続けて指先から強力な電撃を新手にめがけて一直線に走らせた。
「ぐわっ……」
強力な電撃は相手を感電死させた。
ちなみにディートリヒ少佐も先程の魔法を扱えますが、力の差は当然わたくしの方が上です。例え詠唱なしでもね。
あの世界での魔法は唱える際に詠唱するかしないかで威力が変わります。
強力な魔法な程詠唱は長くて大変で詠唱破棄で唱えると威力は初級レベルまで低下してしまいます。
ちなみにわたくしは唱える必要もなく脳内で何を出すかすぐにイメージして指をパチンと鳴らせば魔法を出せますが、これはわたくしならではの特権ですし、わたくしは規格外なので詠唱しようがしまいが詠唱以上の力を引き出せちゃいますの。
わたくしが本気出せば一個師団……一国くらい滅ぼせますわよ?
まあ、流石に大規模すぎると少し疲れるのでやりませんけど。
さて、まだまだゴミ共は残ってますわね。
おや、奥の方で魔法陣の所へ行こうとする者がいますわね。
ですが無駄ですわよ。今ここで魔法陣の方へ行こうとすれば……。
「なんで扉が開かないんだ!?」
「どけ、ぶち破ってやる!!」
斧を持った傭兵が扉をその斧でぶち破る。
「な!? こ、これは……」
次の瞬間。
ドガァァァァン!!
「ぐわぁぁぁぁ!?」
奥から爆発が起き、数人の傭兵達が吹っ飛びました。
「な!?」
「い、いったい何が!?」
実はあの奥の魔法陣がある部屋にある仕掛けをしておきましたの。
まず奴隷部屋に入る前に地上の魔法陣からあの部屋に侵入し、中にいた傭兵をすぐに始末、その後扉に魔法で鍵をかける。
ただ、乱暴に開けようとして破壊されたらそれまでですが……緊急時でもないかぎりそんなバカな真似はしないと思うでしょう。頭の悪い奴でもいない限り。
そして、ここにディートリヒからくすねたクレイモアといわれる兵器を複数設置。
火属性の魔道具が使われた物で、主に罠として使用し、罠にかかった相手を強力な爆発で吹っ飛ばすディートリヒ特製の兵器だそうです。
まったく、よくもまあこんなものを作りましたわねぇ……。
クレイモアは設置から数秒後、誰かが近づくと爆発するようになっており、先程傭兵が魔法陣の部屋の扉をぶち破った直後にクレイモアが反応して爆発を起こしたわけです。
ちなみに魔法や投擲物で刺激を与えたりすると容赦なく爆発するそうですわよ。
恐ろしいですわね。
「く……魔法陣が……」
「これじゃあ地上に上がれねぇ……」
「クソ、こうなったらあの女をブッ殺せ!!」
残った傭兵達が一斉に襲いかかる。
「うふふ……」
わたくしは笑みを浮かべ、今度は指をパチンと鳴らした。
すると、わたくしの背後から水色の魔法陣が現れ、そこから氷でできた大きな蛇竜が現れた。
「!?」
「な!?」
氷の蛇竜は複数の傭兵を食い殺し、さらにその巨体で押し潰し、一人残らず惨殺せしめました。
「さて、あとは……」
わたくしはある扉を横目に見る。
その扉は少し豪華でした。
いかにも責任者の部屋っぽいですね。
念のために周囲の生命反応を確認すると奴隷達が捕まってる部屋以外ではあの部屋に四人だけ……。
とりあえず行ってさっさと済ませましょう。
扉を開けると、護衛であろう傭兵が二人、大きな椅子でふんぞり返っている中年の男が一人。そして商人であろう小太りの男が一人。
傭兵達のいる位置からして、あの責任者でなく商人の護衛だそうですわね。でも……。
「なんだ、貴様――」
わたくしは氷で作ったナイフ二本を投げ、傭兵の額に二人共深く刺さり、そのまま倒れた。
「ひっ!?」
商人はビビり、しりもちをついた。
「ほう、中々やるのう」
わたくしはもう一本の氷のナイフを責任者であろう男にめがけて投げた。
だが、氷のナイフは男の前で砕け散った。
「?」
「ふっふっふ……私の前で魔道は効かんよ。そして……」
男は指をパチンと鳴らすと、何か違和感を感じた。
まさか……。
わたくしは指をパチンと鳴らす。
しかし、魔法が出なかった。
「悪いが、魔法を封じ込ませてもらったよ。君だけ魔法が使えなくなったわけだ」
あらま、なんて事でしょう……。
「魔法を封じられるならなんでもっと早くしなかったのです? そうすれば傭兵共の死体の山が出来上がらずに済みましたのに」
「これを使うのに時間が必要でね。君が傭兵と遊んでいる間に準備していたわけさ」
「ふーん……」
「さて、君はどこの手の者かな? 魔族か? 魔族排除主義の狂信者か? それとも他の奴隷商の手の者かな?」
狂信者に他の奴隷商……なるほど。
ここまで厳重なのは他所からちょっかい出されるのを防ぐためにね……。
それに排除主義の狂信者……きっと人間以外の者は神の名前を挙げながら全部殺して回りそうな連中なのかな。
やれやれ、これだから宗教というものは。
ともあれ、この国はいろんな事情が挟んでいるようですが、どちらにせよ魔族や亜人族はまともに暮らしていけるわけがありませんわね。
「ご想像にお任せいたしますわ」
「まあ、どちらにせよ生かして帰すわけにはいかんな。今ここで楽に――」
わたくしは片足をあげ、そのまま床を強く踏む。
すると、何かが割れた音がしました。
「!? な、何をした!?」
「魔封じの結界を破壊させてもらいましたわ」
「ば、バカな!? そんなことができるわけ――」
「“アイス・スピア”」
氷の槍が現れ、男の顔面の隣へ飛んで行った。
「…………!?」
「お分かりで? それではわたくしめも同じものを披露させてあげますわ」
わたくしは指をパチンと鳴らすと、ある結界を張りました。
「!? こ、これは、まさか……!?」
男は手を前に出し、魔法を唱えた。
「“雷よ、我が敵を討て”!!」
しかし、何も起こらなかった。
「な、何故だ!? 何故貴様がこんな短時間で魔封じの結界を!!」
「実力の差ではなくて?」
「な……」
「さようなら」
わたくしは指をパチンと鳴らし、強力な雷を男の顔面に放った。
それが直撃したと同時に男の頭が粉砕されました。
「ひ、ひいいい!?」
商人は悲鳴をあげながら、完全に腰を抜かす。
わたくしは商人にゆっくり近づく。
「ま、待ってくれ、い、命だけは……命だけは!!」
他者を道具のように扱って、何をいまさら……ああ、そうですわ。
せっかくですし、この商人から少し情報を引き出しましょう。
わたくしは商人の頭を掴む。
そして、ゆっくり目を瞑り、商人の脳からあらゆる記憶を覗き見る。
「なるほどなるほど、これはこれは……」
「ひいい……頼む……お慈悲を……」
「……いいですわよ、助けてあげますわ。助けてあげますわよ」
「おお、ホントか!?」
「た・だ・し……」
すべてを済ませたわたくしは彼らの所へ戻りました。
「お待たせしました、では脱出しましょう」
「だ、脱出ってどうやって」
若は声を上げる。
「ふふ……わたくしを誰だと思ってますの?」
「怪しい女魔道士」
「それは手厳しいことで」
わたくしは苦笑しながら準備していた大規模転移魔法を発動した。
転移した先は城下町から離れた森林地帯。
もう夕暮れ時の頃でした。
万が一に備えてのエスケープ先でもあり、転移した後素早く逃げ隠れできるなら丁度良いかと。
ヴェルトラン達なら素早く動けますし丁度いい場所かもしれませんね。
「ここは?」
「城下町から離れた森林地帯。人間共に見つからないようにうまくお逃げなさいな」
「逃げろって言ったって、オレ達はもう帰る場所が……」
そんな時だった。
「若!!」
救出した奴隷達の背後の茂みから武装した若い獣人が幾人か現れた。
「ウェイジ!」
「若、それに爺さんも。どうしてこんなところに……」
「ああ、ウェイジや。この女魔道士の方が……おや?」
老獣人はわたくしを探すようにきょろきょろと辺りを見回す。
「おい、あの女魔道士は?」
若は獣人少女に聞くも首を横に振る。
そう、わたくしは武装した獣人が現れた時、全員が彼らに視線が向いた瞬間に瞬間転移で茂みに隠れ、さらに自身に姿と匂いを消す隠蔽魔法をかけました。
彼らはわたくしが気まぐれで救出しただけ。
後は彼らに任せて、わたくしはここでさよならです。
まあ、あの子に渡したあのお守りもありますから大丈夫でしょうし。
実はあのお守りにはちょっとした魔法が組み込まれてますの。
と言っても、単なる人間除けの魔法ですけどね。
それでもあのお守りがあれば、周囲にいる者達は人間に見られても襲ってくることはありませんので。
あ、ぶつかったり、話しかけたりしたら効力消えますので。
……と、あのお守りを持った獣人少女にテレパスで話しておきました。
それを聞いたであろう獣人少女は、上を向きながらこくりと頷いた。
ま、せいぜい生き残れるよう頑張りなさいな。
そうして、わたくしはそのままこの場をあとにしました。
さて、せっかくですからもう少しだけ遊んでいきましょうかね。
久しぶりに少しだけ張り切っちゃいましょうかしら?
うふふふふふふふ……。
存分に楽しみますわよ。
「で、いろいろあってこんな夜に」
「ええ」
満面の笑顔で答えるわたくし。
ヴェルトランの所に戻った時には夜になっちゃいました。
「……やっぱりこうなりましたか」
「ちょっと張り切りすぎて奴隷商全部潰させていただきました」
「やってくれましたね……」
「ごめんあそばせ」
「別に構いませんが、いきなりやりすぎないでくださいよ。あなたは加減を知らなさすぎです」
「カルさんじゃありませんのに。まあ、せいぜい気を付けますわ」
「……ところで、例の商人とやらはどうしたのですか?」
「ああ、あの男はとりあえず解放してあげました。まあ、記憶はすでに操作してありますし、彼はもうわたくしの操り人形……。彼を開放しようとすれば即あの世行きですわ」
ちなみにわたくし並みに腕の立つ魔道士でなければわたくしの痕跡を辿ることも不可能ですので。
「おお、怖い」
「とりあえず報告は以上ですわ」
「わかりました……はぁ」
「ふふ、明日はあなたのことをしっかりとお守りしませんとね」
「頼りにしてますよ」
「それでは、おやすみなさい。ヴェルトラン」
「ええ、おやすみなさい。エウレカ」
わたくしは部屋を出て自分の部屋に戻り、ベッドに横たわる。
……ふふ、ふふふふ。
まったく、どの世界に行っても退屈しませんわねぇ。
こうしてあの愚かなゴミムシ共を燃やし、切り刻み、粉砕し……。
特に弱者を痛めつけることしかできないゴミムシ共が恐怖に慄き、命乞いする様を見てから助けてあげると言って殺すのは最高に楽しいもので。
え、助けてあげましたのよ?
わたくしという恐怖から怯えずに済むよう一息に……。
まあ、ここでいきなりやりすぎたら面倒ですし、しばらくはおとなしくいたしましょうかね……。
さあ、明日も楽しみですわぁ。
わたくしがしっかり守ってあげますからねぇ、ヴェルトラン……。
ふふ、うふふふふふふふ…………。
「あ、まだやり残したがありましたわね。こうしてはいられません」
わたくしは身体を起こし、スキップしながら部屋を出るのであった……。