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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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97話 魔獣襲撃





 大急ぎで出発の準備をして丸太Ⅱに乗り込み、エンジンが温まるのも待てずに走り出す。

 俺達の乗る丸太Ⅱの車体にはオーク軍のマークの旗が貼られている。

 これなら敵陣営でもすぐには撃ってこないだろう。

 しかし車種がオーク軍とは違うから、旗が見えなければ撃たれるし可能性が高く、乗員が人間だと知られればもちろん撃たれる。

 ましてやハンターに合ったら即撃たれることになる。

 まあ、この場所までハンターは入り込んでくるのは珍しいんだけど。


 走りながらリュー隊長から現在の状況の説明があった。


『リューから全車へ。30分ほど前に輸送車らしき車列が出発したと情報屋から連絡があった。トラックが1台と戦車が3両と装甲車が1両だそうだ。それからトラックが現金を積んでいるかは判別できなかったそうだが、俺はこんな時間に1台のトラックの為に戦車3両が護衛に付いているのは怪しいと睨んでいる。現金輸送トラックの可能性が高いと見た。ただし俺の合図があるまで攻撃はするな。以上』


 それで急に出発となった訳か。

 しかし凄い情報網だな、リュー隊長って凄い人なのかも。

 でも戦車の種類とかの情報はないのかな。

 またカステラ戦車みたいな重戦車相手だと厄介だからリュー隊長に質問してみるか。


「こちらドランキーラビッツ、リュー隊長に質問あります。どうぞ」


『こちらリュー、いいぞ。何でも聞いてくれ、どうぞ』


「はい、敵護衛戦車の種類は何か知りたいです、どうぞ」


『あ、ああ。暗くてわからなかったらしいよ。ただこの間みたいな重戦車ではない事は確かだ。あんな鈍重な戦車じゃ護衛にならないからな。まあ、仮に強敵な戦車だったとしてもやることは一緒だ。お前ら、まさか逃げたりはしないだろ。だからそういうことだ。以上』


 勝手に切られた。


 しばらく走るとやっと追いついたようで、ライトを照らしながら走る車列が見えてきた。

 人間の場合だとライトの光も縮小するんだが、オークは堂々とライト全開で走行している。

 オークとは少し考え方が違うのかもしれない。


 しばらくすると運が悪いことに、現金輸送のトラックの車列とすれ違ってこちらに進んでくる車列があった。


 え、ちょっとやばいいんじゃないの。

 すれ違ったということは別のオーク部隊の車列だよね。

 そのオークの車列とかち合ったら戦闘が起こるんじゃないだろうか。

 すれ違うほどの至近距離で見られたらバレる可能性が高いでしょ。


 そんな俺の考えとは反対に、リュー隊長から無線で「やり過ごす」ようにと連絡が入る。


 暗いから顔を出さなければバレないというのだが、オークの戦車の種類とは明らかに形が違うんで、止められたりしないだろうか。

 それに自走砲である丸太Ⅱは、オーク軍に完全にない種類の車両だし。

 もしバレて至近距離での混戦にでもなればそれでおしまいだぞ。


 そんな事を考えている間にも刻一刻とオークの車列は近づいてくる。

 やばい、腹をくくるか。


 徐々にオークの車列が4台だということが見えてきた。

 恐らくオークの車列は装甲車が2台とトラックが2台だけだ。

 正直ほっとした。

 手榴弾が投げ込まれたら丸太Ⅱは終わるけど、接近戦での戦車よりは幾分ましなような気がする。

 

 俺達の車列は先頭が6輪装甲車、次にリュー隊長の4型戦車、続いてタク達のハーフトラック、丸太Ⅱ、ウルセイダーと続く。


 前方30m位までオークの車列に近づいた時、突如その道路わきの茂みから黒い塊がオークの車列の内の一台、オーク兵を載せているらしきトラックに覆いかぶさった。


 俺達の位置からでは暗さも相まって詳しい状況が見えない。


 するとリュー隊長から全車に無線連絡が入り『このまま全速で通り抜けろ』いう指示が出た。


 撃っていいの?

 攻撃はどうなの?

 俺が疑問を投げかける前に俺達の車列は急に速度を上げ始める。


 襲われたトラックは道路の隅に方へ寄って木にぶつかり横転して停車。

 それの覆いかぶさるようにして巨大な魔獣がオークをむさぼっている。

 

 襲われたオーク部隊は車列を止めて魔獣に応戦している。

 見るとオークの車列というのは、軽装甲車2両にオーク兵を満載したトラックが2台のようだ。

 車列は停車して襲い掛かってきた魔獣に必死で応戦している。

 だが体長が7mはありそうなトラのような魔獣は、1匹、また1匹とオークを噛み殺していく。

 オーク装甲車からは機関銃で何発も弾丸を魔獣に撃ち込んでいるのだが、魔獣は全く気にも留めていない様子だ。


 そのすぐ横を俺達の車列が疾走していくのだ。

 もちろん魔獣とは反対側の道路の端っこだ。


 機関銃しか搭載していない装甲車しか護衛がいないこの車列のオーク兵は、“加勢しないのかよ”と言いたそうな表情で俺達の車列に視線を浴びせてくる。

 それを戦闘室の後方部分の隙間から冷や汗を流しながら覗く俺。

 

 しかし俺達は何の挨拶もなしに、顔さえ出さずにそこを一気に走り抜けていく。

 

 そのままその車列とはどんどん距離が開いて行った。

 時折、オークが襲われた場所の辺りだろうか、手榴弾の爆発らしき音が何度も聞こえた。

 その手榴弾の音を聞いて、オークは敵なんだけど魔獣が倒したんじゃないかと思い、なんだかほっとしてしまった。

 

 あれ、そういえばバレなかったみたいだ。

 以外と平気だったな。

 魔獣のおかげ、なのかな。

 オーク達はそれどころじゃなかったし。


 ほっと溜息を吐いて周りを見回すと、みんな低い姿勢のまま手榴弾や銃を握りしめている。

 ケイなんか震える指で手榴弾のピンを握っている。

 今にもピンを抜きそうな勢いだ。

 危ない、危ないからもう手を放そうね。


 エミリーだけは問題なさそうだ。

 操縦しながら俺が箱買いしたチョコレートをポリポリ喰ってるし。


 そしてリュー隊長から再び無線連絡が入った。


『リューより全車。この先に開通したばかりの橋がある。そこで攻撃を仕掛ける手はずになっている。攻撃が始まったら戦車から仕留めろ。トラックへの攻撃はしないように注意してくれ。以上』


 いよいよ攻撃だ。

 しかし橋で攻撃したら橋の守備隊とも戦闘しなければいけなくなるんだけど。

 そんな疑問も持ちつつも俺達はなおも輸送部隊を追跡するのだった。


 


 


すいません、遅くなりました。


年内最後の投稿になります。




次話投稿は1月3日に投稿する予定です。


来年もよろしくお願いします。



それでも良いお年を!



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