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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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70話 味方拠点





 弾薬残量に不安が残るも売ってないんだから仕方ない。

 最悪、戦場荒らしと言われる行為で弾薬を調達しなくちゃいけないな。

 結局は前線へと行かなくてはいけないということだ。


 しかし敵はゴブリンと言えども、今度はしっかりと組織化された軍隊だ。

 今までと同じ気持ちで行くと足をすくわれる。


 俺はみんなを集めて戦闘方法の提案をした。

 ゴブリン帝国を主張している地域は元ゴブリン王国があった地域に近い。

 その近くまで行けば戦闘に参加できるのだが、あまり前に出すぎるとこの自走砲やハーフトラックでは一発で破壊されてしまう。

 そういった理由から前に出すぎず、しかも敵の位置がわかるギリギリのところから攻撃しては引き下がる、ヒットエンドランの作戦を考えている。

 ハーフトラックで偵察観測してもらい、無線で連絡を受けつつ攻撃しては逃げる。

 俺が真剣な表情で戦い方の説明をするのだが、誰も理解している感じがしない。

 今まで魔獣相手にそういった戦い方はあまりしてなかったからな。


 こうなったら実戦で慣れてもらうしかない。

 まずは前線へ移動する。

 アシリアからだと3時間ほど走った辺り、この間の廃墟の街のさらに先にある地域が最前線らしい。


 さて出発するかという段階になってケイからストップがかかる。

 食料の調達をしてほしいということだ。

 なるほどと思い、食料の買い出しへ立ち寄ってから戦場へと向かった。

 俺はその買い物に口出しはしなかったんだけど、ちょっと6人分の食料にしては量が多い気がする。

 大量のパンならまだ理解できる。でも大量のソーセージとケチャップとマスタードの意味が解らん。

 組み合わせからみてホットドックなんだろうけど、これだと毎日ホットドックになりそうで怖い。

 それと燃料の補給だが、これも一苦労だった。

 こちらも長蛇の車列ができていて、補給に2時間かかったが予備燃料の補充もできた。


 そして街を出るとこれまた街道は非常に込んでいた。

 交差路のたびに渋滞が発生しているのだ。

 そんな中、いつもの倍位ほどの時間を掛けて、この間までいた場所へとたどり着いた。

 ストマックレイク中継所だ。

 中継所へ立ち寄るとここも大混雑で、防壁の中へ入れない車両や人もいて中継所の周りがキャンプ地のような状態だ。


 ここでハンター達からの情報によると、この先の休憩所や中継所はすべて機能していないという。

 全部ゴブリンに占領されているそうだ。

 ここへは情報を仕入れてあわよくば弾薬補充もと立ち寄ったんだが、ここも街と同様に弾薬は売り切れ状態だった。

 そうなるとここにいてもしょうがない。とっととこの地を離れた。


 野戦砲だろうか、時々砲声が響いてくるが思ったより平穏だ。

 廃墟の街に通りかかると街は人間側の軍が駐留していて、どうやらここが人間側の拠点となっているらしい。

 偵察部隊だろうか、装甲車や小部隊の兵隊が慌ただしく出入りしている。

 俺達も情報を仕入れようと廃墟の街中へ入ろうとすると、検問で止められた。

 軍の人間以外は入れないそうだ。


 見れば、さっきの中継所と同じように、街の所々壊れた外壁の外には多数のテントが張ってあった。ハンター達の野営地だ。


 もうすぐ陽も沈む時間だし、俺達もここで野営の準備をすることにした。

 車両を止めて野営の準備を始める。

 ガキンチョ共も野営の準備をするのだが、ケイは1人食事の準備に忙しそうだ。

 エミリーとミウはあまり料理は上手ではないから助かるな。


 そう思っていると大量のソーセージを茹で初め、大量のパンにナイフで切れ込みを入れ始めた。

 その数がちょっと尋常ではなくて、さすがに俺は「作りすぎだろ」と声を掛ける。

 するとケイから返ってきた言葉の意味に唖然としてしまう。


「別に私達が食べる分じゃないから。今からこれを売るに決まってるでしょ」


 訳が分からず俺は「誰に売るんだよ」と聞き返す。

 すると近くにいたエミリーが言葉を挟む。


「もしかしてここにいるハンター達や兵隊さんを狙ってる?」


 するとケイは得意げに笑みを浮かべて言った。


「前線で戦う人達はこういった食べ物にはお金を出しても欲しがるものなのよ」


 さすが死の商人のご令嬢だ。


 それを聞いたタクとソーヤも商売人のような笑みを浮かべ、ホットドックの露店作りを手伝い始めるのだった。


 その夜、ホットドック屋は街で買うよりも遥かに高い値段にも関わらず、大盛況で幕を閉じたのだった。


 はっきり言おう、ぼろ儲けだったと。

 材料をもっと買っておけばよかったと非常に後悔するほどだ。

 よし、次回はでかい鍋と大量の材料を積んできて、ホットドックにスープも売って儲けてやる。

 うん、ハーフトラックは便利だな。


 俺はニヤニヤしながら眠りにつくのだった。







 翌日の明け方、激しい砲撃音で目が覚めた。


 廃墟の街に駐留中の野戦砲が一斉に砲撃を始めたからだ。


 俺は慌てて簡易テントから這い出し、近くに通りかかったハンターに砲撃について聞いてみると、ゴブリンの大部隊がこちらに移動を開始したらしい。

 その部隊への一斉砲撃だという。

 

 周りを見ると、ハンター達が慌ただしく出撃の準備をしている。

 早いハンターはすでに出撃してるという。


 俺達もこうしちゃいられない。


 眠そうな目をこすりながら起きてきたメンバーに急いで準備するように伝えて、俺もメンバーをけしかけながら荷物をまとめた。


 そして、これから俺達は最前線に向かうんだという雰囲気に浸りながら、俺は腕を組んでメンバーを見渡す。


 するとケイが下着姿で歯を磨きながら尻をポリポリしているのが目に入る。


 それを見た途端、俺の中で一気に緊張感が崩れ去り、それが不安感へと変わっていくのだった。










遂に戦場へと突入です。


次回、道に迷った一行が目にしたものとは……



次話投稿は明日の20時の予定です。



明日もどうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] ぼろ儲け( ゜д゜) (1つ前?のコメントに「知らんけど」つけ忘れたぁぁぁとか考えていたというどうでもいい話) …なぜ戦車とか色々無知なのにたどり着いたかはわからないが興味を持つ切っ掛け…
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