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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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55話 パーティー





 しかし歩く速度で戦車を動かすのって結構イライラする。

 何よりいつ狙われるか不安でしょうがない。

 こんな軽戦車だと下手したら対戦車銃の1発でも動けなくなる可能性が大だ。

 ゴブリン製の戦車に比べたら格段に信頼性は高いんだけど、人間が作った戦車に比べたらやっぱり不安は残る。


 それに味方はいるけどアルファのメンバーだから皆素人に毛が生えた程度の力量だ。

 せめてもの救いは、そんな彼らの装備だけは強力なところだ。


 全員が自動小銃セミオートライフルを所持していて、さらにタク・ナンブは50㎜擲弾筒も装備している。もちろんナンブ製の擲弾筒だ。

 ただ問題なのはそれを使いこなせる腕はあるのか?

 

 50㎜擲弾筒は1人で扱える迫撃砲というか擲弾発射機。

 ライフル銃を使って飛ばす小銃擲弾に似ているけど、これは擲弾専用の射出機だ。

 照準器がないのだけどベテランになると思ったところに着弾できるようになるらしい。

 使いこなせば敵にとっては厄介な武器になる。


 とにかく一刻も早くこのジャングルを抜けて人族側の街道に出なくちゃいけない。


 気持ちは急ぐのだが、実際の速度は歩く速度だ。

 俺は操縦するから周りの監視もできないから余計に不安が募る。

 素人同然の金持ちのボンボンに警戒業務ができるのだろうか。


 60型戦車の砲塔内で主砲に着くのはケイ・ホクブ。

 一応ハッチから上半身をだして警戒している。

 俺の操縦席から振り向くとケイの下半身が目の前に見える。


 いやあ、なんか新鮮の光景だなぁ。

 うん、悪くないよ、悪くない。

 ミニスカートかショートパンツだったらよかったんだけどね。

 非常に残念だ。


 戦車のエンジンルームの上に座って警戒するのはソーヤ・ラムド。

 穏健そうな顔をした、いかにも坊ちゃん的な存在だ。

 頭は結構いいらしい。


 そして戦車の後ろから俺が借りたバイクを押してくれているのがタク・ナンブ。

 彼らのリーダー的存在のようで、いつも彼が仕切っている。

 それと男の俺から見てもイケメンだ。

 金持ちの息子でイケメンってどんだけ恵まれてるんだか。

 

 1時間ほど歩いてやっと中継所が見えてきた。

 なんとか無事にたどり着いたようだ。


 門をくぐって入場料金を払い場内へと入る。

 俺は3人に「それじゃあ」と言って別れようとすると3人は「え?」という顔をする。

 それを見た俺も「え?」となる。


 何?

 まだ何か用があるのかね。

 まさか手伝ったから分け前よこせとかいうのか。

 う~ん、そういわれると拒否しづらい。

 確かに彼らのおかげでこの戦車とバイクを運べたんだからな。

 しょうがない。

 俺は懐から彼らに渡すお金の用意をしようとしていると、タクが俺に声を掛けてくる。


「あの、何をしてるんですか?」


「いや、何って、色々手伝ってくれたお礼の賃金を用意してるんだけど」


「えっと、それはそれでありがたいことなんですけど、それは遠慮しておきます」


「ん、いらないの。それじゃあ何かまだ俺に用があるの?」


 するとタクは少し言いづらそうに言葉を続ける。


「あの、僕たち4人って一緒のパーティーですよね?」


 はあ?!

 何を言ってるんでしょうか。

 まあ、確かにそんな形にはなったけどさ。それはこの安全地帯にたどり着くためのサバイバル状況で自然とそうなっただけだから。

 別にパーティーを組もうと思ってまとまったんじゃないしね。

 だいたいそんな約束してないよ。

 これってやっぱり金持ち故の世間知らずなのか?

 これはストレートに言ってやるしかないか。


「いつパーティー組んだの。そんな約束してないよね」


 するとケイが反論してきた。


「よくそんなこと言えるわね。あなた“お前らの面倒をまとめて見てやるからついてこい”って言ったわよねぇ」


 うっ、確かにそんな言葉を言ったかもしれないよ。

 でもその“面倒みる”とか“俺についてこい”っていうのはチームを組もうとかそういう意味とは違うでしょ。

 

 俺は返答に困る。

 こいつら金持ちのガキンチョは育ちが違うからか話が通じないのか。

 こうなったらあれを出すしかないな。

 我らが最恐の守護神。


「そこまで言うならいれてやってもいい。だけど条件がある」


 タクが不思議そうな表情で俺の言葉を繰り返す。


「条件、ですか」


「そうだ。その条件と言うのはな、俺のチームにいる影の総番長の許可が出たら認めてやろう」


 ふはははは、エミリーがこんな危険なガキンチョ共をチームに入れるわけないから。

 エミリーならきっぱりと『ダメ』って断ってくれるからな。

 いやあ、俺天才。


「わかりました。それではその総番長とやらに会いに行きましょう」


 まじで会うつもりか。

 そこは諦めるところだろ。


 ということは結局しばらくはこいつらと一緒ということかよ。

 俺は頭を抱えるのだった。





何故かアルファー3人組と一緒に行動することになった主人公。

次回は3人の力量を見調べるのだが。


次話投稿は明日の予定です。




とうとうストックがなくなりました。

そのうち、1日置きの投稿とかになりそうです。



取り合えず明日もよろしくお願いします。




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