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徹甲弾装填完了、照準OK、妹よし!  作者: 犬尾剣聖


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49話 隠し部屋





 ハッと我に返る。

 

 すぐに時計を見るとそんなに時間は経ってないようだ。

 5分くらいだろうか。

 気を失っていたようだ。

 そういえば、ファイヤーボールをかろうじて躱したんだった。

 くそ、頭が重い感じだ。


 怪我はないか自分の体を確認したのち、腰の26型拳銃を抜いて再び廃屋の中へと進む。


 部屋の中には手榴弾の破片を体中に浴びた男が息絶えていた。


 バカな男だ。

 大人しくしてれば苦しまずに済んだのにな。

 ま、結局は悪人の命はないのだけど。


 しかし大きな音を立ててしまった以上、ここに長居は無用となる。

 この辺の縄張りのサガ一家が様子を見に来るだろうからね。かち合ったら面倒だ。

 急いで家の中を探し回る。


 しかしどの部屋を探しても何もない。

 やっぱりアジトではなかったみたいだ。

 全くの無駄骨かよ。

 せめてあの強盗の死体を運んで報奨金でも貰うか。

 さっきあの男は「有名になりすぎてこの街へ来た」って言う様な事をいってたから、もしかして賞金首かもしれない。


 死体を引きずって行こうとしたら表が騒がしい。

 やばい、もうギャング達が来やがった!


 まずい、どこかに隠れなくちゃいけない。

 どうしよう、どうしよう。

 ここ隠れられないかなと思って暖炉の中を覗く。

 するとあった。

 こんなところに隠し扉が。


 俺は大急ぎで魔法の男の死体を引きずって、その暖炉の中にある隠し扉の奥へと入っていった。

 

 俺が隠し部屋の中へ隠れて扉を閉めたと同時にギャング達が室内へと入って来たらしい。


 俺は聞き耳を立てようと壁に近づくと隙間を発見。そこから隣の部屋がところどころ見えるようだ。


 どうやらギャンク達は表に置いてある死体に疑問を持ったらしい。


 そして今度はこの廃屋内を調べるつもりか。

 くそお、短機関銃を置いてきちまった。

 でもさすがにこの隠し部屋は気が付かれないだろう、と思う。


 全部で5人ほどいるが、全員がショットガンや拳銃を持っている。


 しかし10分もしないうちに立ち去ってしまった。

 助かったよ。

 でも俺の38型短機関銃は持っていかれちまった!


 とりあえず一安心した俺はこの隠し部屋内を探索する。

 4m四方の小さな部屋だが、中にはベットやら生活用遺品が揃っている。

 その中から金になりそうなものを探さないと。


 20分ほどかけて部屋中を探して選んだものをバックに詰める。

 残念なことに現金は2,000シルバほどしかなかった。

 それで金になりそうな物を選び抜いたのだが意外と重い。

 これに加えてこの死体も持ち帰らないといけない訳だ。

 結局は時間をかけて選んだ品々をだいぶ減らさないとすべては運べないことが判明。

 泣く泣くバックから捨てました。


 武器類は出回りすぎていてよほどの物でないとあまり金にならないし、さらに重いという難点があるのでほとんど置いて行く。

 ただし使えそうな拳銃を1丁と見覚えのある武器を見つけた。

 拳銃は口径9㎜のオートマッチックピストル。

 ラムド35型拳銃といってそこそこ有名な拳銃だ。

 9㎜拳銃弾というどこでも手に入れやすい弾薬を使っているのもうれしい。


 それと見覚えのある武器なんだけど、棒の先に卵型の丸っこいのが付いている。そして棒状の部分には簡易的な折り畳み式の照準サイトもついている。

 どこかで見たんだっけ――あっ、ポスターだ!

 これって武器店や武装バスに貼ってあるポスターに書かれてる武器だ。

 1発で大型魔獣や戦車を倒せるとかいうエッグ砲とかいうあれだ。

 この対戦車榴弾は3㎏近い重さがあるんだが、置いていくにはもったいない。

 面白そうだから持っていくことにする。


 しかし38型短機関銃に代わる武器はなかった。


 あったのはショットガンかライフル銃くらいだ。


 ライフル銃を持っていきたいところだが、今回は荷物が多いから諦める。別日に改めて取りに来ることにする。


 結局バックの中身は調度品やアクセサリーなど、小物で金になりそうな物ばかりとなった。

 俺は外の様子を十分に確かめてこの廃屋を後にした。


 廃屋の外に置いたもう一人の強盗はちゃんとそこにいたのだが、お持ち帰りは無理があり、報奨金は諦めた。乗り物があれば運べるが今はないから無理だ。

 死体だから後で来ても無理だしな。


 俺は来た道を死体を抱えたまま歩いた。


 これだけハンターが活躍する街だ。

 死体を抱えて街中を歩く姿など珍しくもない。


 何度も休憩を取りながらもやっとのことで保安官事務所へとたどり着いた。

 もうくたくたですよ。


 ここでやっと一番の荷物である魔法使いの強盗遺体を手放せるのだった。





設定資料


エッグ・ランチャー:


棒状の先端に卵型の榴弾が付いた携帯型の対戦車榴弾射出機。

成形炸薬弾を使った対戦車及び対魔獣兵器である。

製造会社が宣伝のために武装バスに供与した。

武器店にも多数ポスターが張られているが、ハンター達の間では使い捨てというのがお気に召さないらしく人気はいま一つだ。

しかし使い捨てだが威力は高い。

放物線を描いて卵型部分の榴弾が飛翔するのだが、命中率はお世辞にも良いとは言えない。

その為、通常は複数人数での待ち伏せで連続攻撃という戦法を取る。

ただし射程は100mしかなく、使い手は死と隣り合わせである。

最新式は150mまで射程を伸ばしたタイプも作られて、射手の安全は格段にアップしたのだが、命中率はぐっと下がることになる。

ER-100、ER-150など、射程距離の違う2種類が有名ではあるが、それ以外にも数種類出回っているらしい。






次話投稿も明日の予定です。


明日もどうぞよろしくお願いします。






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